「坂の街」「文学の街」「映画の街」おのみち。
林芙美子、志賀直哉に愛され、小津安二郎監督や大林宣彦監督を魅了した小さな港町が言わずと知れた「尾道」です。
愛媛ドライブの途中、そういえば娘から職場の社長さんに尾道のおすすめを尋ねられたと言われていたので、少し立ち寄ってみました。
尾道は坂の街。とにかく階段や坂道が多いのです。
なので手っ取り早くロープウェイで山頂の千光寺を目指し、そこからぶらり下ってくる作戦を決行しました。
千光寺山ロープウェイは15分間隔で運行され、所要時間は約3分。
あっという間に山頂に着きます。
千光寺山ロープウェイは千光寺の上を通り過ぎて山頂へ向かいます。
千光寺境内の様々な磐座・神体岩の上を通過するため、利用すべきではないという人も中にはいらっしゃいます。
しかし僕はロープウェイを利用してみて、改めてその価値を認識しました。
考え・信仰は人それぞれですが、乗ってみないとわからない、考古学的に面白い発見が得られたからです。
あっという間に到着。
千光寺山ロープウェイさんのサイトでは、尾道の様々なガイドマップが用意されていますので、あらかじめスマホに放り投げていると便利かもしれません。
ここから千光寺方面へ下っていくのですが、その前にロープウェイ駅の展望台に登ってみることを忘れてはなりません。
なぜならそこから、尾道の街の素晴らしい景観を一望することができるからです。
尾道の市街地と向島を隔てる尾道水道(尾道海峡)は、まるで大蛇が這っているよう。
水道ギリギリまで山が迫り、狭い平野部にぎっしりと民家や会社の建物が敷き詰められています。
この景観こそが尾道そのものなのです。
さて、文学のこみちと書かれた岩から下に降りていきます。
この一帯は至る所に巨岩が散在しています。
その石々はもともとここにあったもので、おそらく古代にはこの場所自体が信仰の対象とされていたことと思われます。
しかし文学のこみちと称されたこのあたりの岩のいくつかには歌や文章などが掘り込まれ、演出が施されています。
これらの彫り物は尾道という小さな街の観光化の一環としてなされたものでしょうが、大林監督が「千光寺山の花崗岩の”傷”」と呼んだような気持ちを、僕も感じたのでした。
ロープウェイ駅から下って程なく、石仏などが見えて来ました。
絶壁の上を見上げると、鏡岩と案内された岩があります。
光の加減で少々見にくいですが、丸く削られた跡があります。
これは太陽を示すものか、あるいは月を示すものか。
さらに歩み進めると、
頂部にヘンテコな玉を乗せた岩があります。
「玉の岩」(宝珠岩)と呼ばれる千光寺で最も有名な聖蹟です。
今乗っている玉は外国人にだまし取られたとか、盗難にあったとかで、電飾の玉になっていますが、かつては「宝玉」がのっていたとされています。
この宝玉は夜になると光り輝き、尾道の町や海を照らしたと云うことです。
そこから大師堂へ回り込むと、
見事な鐘楼があります。
イボ(乳)の代わりに梵字がデザインされた鐘の音は「残したい“日本の音風景100選”」に選ばれており、美しい音色を響かせます。
そしてそこから見える尾道の景色が、またいっそう素晴らしいものでした。
しかしこの鐘楼、龍宮を彷彿とさせます。そして龍宮といえば、そう、親魏和王の豊王国のこと。
鏡岩も玉の岩も、月に関連する神跡なのではなかろうか、と思えるのです。
本堂の手前から上を見上げると
御船岩という、飛び出た二つの岩が見えますが、
この岩の上をロープウェイが通過していきます。
そう、この岩は上から見ないと、その全貌は掴めません。
下から見れば、まあ、船の舳先のように見えなくもありませんが、上から見ると
爬虫類の、いわゆる亀の頭のように見えます。
見えますよね、ね。
数々の磐座を見ていくと、そのいくつかにこの御船岩のように明らかに人の手でそこに乗せ、頭を突き出したように配置されたものを見かけます。
またこんもりと積み上げ、全体で亀のように見える磐座があることにも気がつきます。
玉の岩も見ようによっては亀の頭のように思えるものです。
これらの龍宮を彷彿とさせる千光寺を見ていると、第二次物部・豊東征の時に当地に定住した豊族が、尾道にはいたのではないかと思えてきました。
また更に本堂の先には、出雲も彷彿とさせる磐座がありました。
鏡餅のような三重岩の横を登っていくと、
男女合体の夫婦岩があります。
これは人工的に彫られたものでしょうか。
その横には
鴉天狗の刻印があり、
鎖場が設けてあります。
本物の石鎚山を制したオレ様にはちょろいぜ、と思っていましたが、これがなかなかスリリング。
首から下げたカメラを守りつつ、なんとかよじ登りました。
岩の先にはちいさな石祠と、眼下に尾道水道、
そして玉の岩を望むことができます。
しっかし今年も猛暑、滝に打たれたように汗だくになった体に、尾道の風が心地よく吹き抜けるのでした。
宮島の頂上からの瀬戸内海も素敵ですが、尾道も素晴らしいですね。
行ったことがないので、旅候補リストに載せましたw
首都圏で海と山との距離が近いところと言えば、鎌倉なのですが、相模湾と瀬戸内海は大きく違いますね。
こんな海辺の際まで住宅があるのは、瀬戸内海が穏やかな海だからなのでしょうね。。。
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鎌倉も良いところですが、人が多すぎますね。
その点、尾道はローカルで、のんびり過ごすことができます。
かつて営業マンだった頃、上司に尾道の港にあった海の幸専門の串カツやに連れて行ってもらったのを覚えています。とてもおいしかったです。
港では朝市も楽しむことができます。
車は使わず、徒歩やレンタサイクルであてもなく、ぶらり散策するのが尾道の一番の楽しみ方ではないでしょうか。僕も次尾道に行くときは、そうしようと思います。
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あぁ、尾道は美しい場所ですね。水の綺麗な青色、郷愁を帯びた街並、清浄な磐座の数々。鏡岩はまるで龍の眼の様に静かな燐光を感じます。千光寺の鐘はとても綺麗なデザインかも🐥私もいつか鐘の音を聴いてみたい…
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尾道は良いところですね。
今度は新幹線で行って、車を使わずのんびり歩いて、夜をゆっくり過ごしたいです♪
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