富士山本宮浅間大社

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駿河国一宮、静岡県富士宮市鎮座の「富士山本宮浅間大社」(ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ)を参拝してきました。
全国の浅間神社の総本社であり、富士氏が社家を担う大社です。

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一の鳥居は境内入口から200mほど南下した場所にあります。

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そこにある静岡県富士山世界遺産センターがシュテキ♪

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富士山本宮浅間大社は当然のことながら、富士山を神体山として祀る神社であり、境内はこの本宮と、富士山頂上に鎮座の奥宮、2宮からなります。

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また富士山登拝口の須山口、須走口、吉田口、河口湖口から登り着く頂上に鎮座している「久須志神社」は、奥宮の末社で、大名牟遅命、少彦名命を祀っています。
ご来光を拝む位置にあるのが、この久須志神社となります。

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つまり富士山本宮浅間大社の境内は、本宮社地の約17,000m2と、富士山8合目以上の約385万m2を合わせたものという、まさにバケモノクラスの大社ということになります。

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楼門前の石段上に、「鉾立石」と呼ばれる天然石が置かれています。

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これは春秋の大祭で明治初年まで行われていた、山宮との御神幸の際、神霊の宿った鉾を休め奉った所です。

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神域に足を踏み込むと、赤く雅な社殿が出迎えます。

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これは「浅間造」という独特の神社建築様式であり、国の重要文化財に指定されています。

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本殿は徳川家康による造営と伝えられ、その威厳の高さを窺わせます。

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祭神は「木花之佐久夜毘売命」(このはなのさくやひめのみこと)。また、「浅間大神」(あさまのおおかみ)とも称されます。

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配神は、主祭神の夫神「瓊々杵尊」(ににぎのみこと)と父神の「大山祇神」(おおやまづみのかみ)。

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祭神のコノハナとは桜を意味するとし、境内には約500本もの桜樹が奉納されています。

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社内では菊花紋と五三桐紋などを見かけますが、

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富士氏の家紋である「棕櫚の紋」も附されています。

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棕櫚(しゅろ)は、古来より日本に育成するヤシ科の常緑樹で、心霊の依代とされ、棕櫚団扇には神通力が宿るといわれていました。
「日本三大宮司」の1つに数えられる富士氏ですが、「富士大宮司系図」によると、始祖は孝昭天皇の後裔であり豪族の和邇部氏と伝えており、また今川氏・武田氏・後北条氏と関係が深いとされます。

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富士山本宮浅間大社の本殿右側には七之宮浅間神社があり、その間に「富士山頂奥宮境内地行政訴訟勝訴之碑」という石碑がひっそりと立っています。
江戸時代には、徳川家康による庇護の下で、富士山の八合目から上の山頂部の管理・支配は、浅間大社が行うようになっていました。

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この浅間大社に寄進されていた土地は、国有財産法における「社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分に関する法律」により、一時国有化されました。
後に、全国各地の寺社の土地は無償で国から返還されましたが、富士山は特別な山ということで例外として、浅間大社に返還されませんでした。
それに対し浅間大社側は、訴願を申し立て、そして江戸幕府が浅間社に寄進したことを示す古文書といった決定的な証拠により、2004年にようやく浅間大社側に富士山頂部の土地が返還されることになったのです。
ただし、静岡県・山梨県の県境が未確定のため、土地登記はしていないとのことです。

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富士山本宮浅間大社の境内東側に、特別天然記念物の「湧玉池」(わくたまいけ)があります。

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うっとりとしてしまう美しさの湧玉池は、富士山の伏流水で満たされています。

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その水は年間を通してほとんど増減なく毎日約30万t湧き出ており、水温は1年を通して13℃前後で安定しています。

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湧玉池は、古来より富士登拝の道者による禊の場とされてきました。

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この豊富に湧き出る水は、一級河川神田川の水源になっています。

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湧玉池のほとりににポツンと立つ石碑があります。
これは御神幸道の首標で、昭和59年(1984年)に境内の土中から見つかったものです。
「元禄四年末年十一月」と記されています。

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浅間信仰の元宮は、「山宮浅間神社」と言われています。
それは山宮浅間神社が、直接霊峰を拝しているという、古代の祭祀形態を今に残しているからだという話です。

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この山宮浅間神社と浅間大社の間では、かつて「山宮御神幸」という行事が行われていました。

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『冨士大宮御神事帳』によると、1577年には既に行われていたことが記されていますが、詳しい開始年などは不明であり、1873年まで継続して行われていました。

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この儀式の解釈として、神が4月に旧跡(山宮)に戻るという解釈、または山の神が4月に田の神として里(大宮)へ降りるという解釈がなされているそうです。

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この湧玉池を満たす水たる富士の霊水は、こちらの水屋神社で頂くことができます。

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富士山には川が無く、山中に降った雨は地下を通って麓に湧き出します。

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霊峰の大地によって濾過された霊水は極めて透明度が高く、この湧玉池や忍野八海などでその美しさを見ることができます。

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日本の象徴として君臨する富士山。
その霊峰は麓に命の水を与え、樹海を育み、険峻な山と奇怪な洞穴は多くの修験者を虜にしてきました。

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その富士山は美しい山容から女神と見る信仰が古くからあり、近世に入ってからはコノハナノサクヤヒメが当てられてきました。
しかし本来の富士の神の名称は「浅間神」です。ではこの「あさま」とは、どこから来たのか。
これにはいくつかの説があり、南方系の言葉である「アソ」(燃える)や「アサマ」(爆発する)が語源であるという説、アイヌ語で火口を意味する「アソ―オマイ」が語源であるという説、伊勢から富士を遥拝し朝熊山(あさまやま)を語源とする説などが考えられているそうです。

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浅間大社が山宮から当地に遷座される以前には、地主神としてここに「富知神社」(ふくちじんじゃ)がありました。
富知、トミ?
現在は本宮境内の北方に鎮座している富知神社ですが、古くから浅間大社の祭祀に深く関わっており、「富知」の神名は「富士」の山名と深い関係があると考えられています。
なんとなく出雲を感じさせるこの流れに、ひょっとしたら、浅間は出雲の「朝山」ではなかろうか、と僕は考えたのでした。

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4件のコメント 追加

  1. hiroban2 のアバター hiroban2 より:

    湧玉池、美しいですな。
    美しいと言うより、引きずり込まれそう。
    正に(怖い)水神の住処ですね。
    富士山周辺は手強そうで、片手間では許してくれそうにないです。
    お勧めの宿があればご紹介いただけるとありがたいです。

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    1. 五条 桐彦 のアバター 五条 桐彦 より:

      おすすめと言えるか分かりませんが、私が次に行く時、泊まりたいと思っている宿があります。
      それは樹海の中にある集落、精進集落の若葉荘です。精進集落の中でも最奥地にあるようで、樹海ライフを満喫できそうです♪
      忍野八海など、今回行きそびれた場所がいくつかありますので、機会を見て、また行きたいと思っています。

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  2. Nekonekoneko のアバター Nekonekoneko より:

    🐥富士山の美しいハゲ山容…コノハナサクヤヒメはハゲだったんかいな🐤

    いいね: 1人

    1. 五条 桐彦 のアバター 五条 桐彦 より:

      そのうちふっさふさになるから、まっててね☆

      いいね: 1人

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