
一口にカミをキる、と申しましても、色々とございましてね。

私は、

だたの、

カミ結い、

ですよ・・・


ハサミというのは、美容師にとって特別な道具でして、手の一部になるくらい、しっくりとこなければならないものですから、

並々ならぬ、こだわりがあるのです。

先刻、僕の生涯で、おそらく最後の一丁となるハサミを購入しましたので、これまで手にしてきたハサミの記録を、ここに残させていただきたく候。



忍冬
『SWORD MB-1』5.7inch / MIZUTANI
(ブラントカット・メインシザー)
No:150302017 /
刃渡:60mm
動刃:柳刃/蛤刃
静刃:柳刃/蛤刃
鋼材:ナノパウダーメタル
柄 :シンメトリ
螺子:ベアリング埋込螺子

軽量かつ手にしっくりと馴染む、僕のメインシザーの一丁。
ナノパウダーメタルという特殊鋼を素材とした最高水準のシザーです。

5年の歳月をかけて研究し、試行錯誤の末ようやく商品化にたどり着いたというこの特殊鋼は、驚異の耐摩耗性を誇り、その特異的な硬さ、密度の高さによって非常に鋭利な刃角度を可能にしています。
世には粉末ハイス綱というものがありますが、ナノパウダーメタルはそのさらに一つ上を行く鋼材です。

刃がとにかく鋭利なため、髪を逃さず、狙い通りの正確なカットが可能。ダメージヘアでもカットによる枝毛を作ることがありません。
シンプルなメガネハンドルは、ハンドリング・バランスも良く、正にシザーの最高傑作。
唯一の欠点といえば切れ過ぎる、ということでしょうか。



日散
STELLITE alloy 560 6.0inch / MIZUTANI
(オールラウンド・メインシザー)
No:111004019 /
刃渡:63mm
動刃:笹刃/3面ラウンド剣刃
静刃:笹刃/3面ラウンド剣刃
鋼材:ステライト鋼
柄 :キャメル
螺子:ベアリング埋込螺子

錆びない特殊な素材「ステライトアロイ」で作られた、汎用性の高いシザーです。
Kennametal Stellite社のステライト鋼は、摩擦に強く耐熱性がある優れた合金です。
金属疲労・金属摩耗・腐食などによる様々な問題を解消し、過酷な環境に曝されるジェット機やレース用自動車のエンジン部品にも多く使用され、エンジンの寿命を飛躍的に延ばすことも実証されています。
ステライト鋼は、建築でもその信頼性が証明されており、パリのルーヴル美術館の中心部にあるガラスのピラミッドにも使われています。

ステライト鋼はコバルト基合金ともよばれ、成分の約半分(50%以上)がレアメタル(希少金属)のコバルトでできています。
値段が素材の段階で通常の刃物鋼の30倍以上もする素材です。
しかし2つの金属を常にこすり合わせて髪を切るハサミにこそ、強靭で耐摩耗性に優れるステライトは最高の素材になりうると考えられます。
難点はその特徴ゆえに製品加工が難しいこと。
MIZUTANI社の初期のステライトシザーは分厚くて重く、まさに鉄の塊といった様相でした。
この新型のステライトシザーは刃を独自のトリプルラウンド形状にすることで、軽量化と力強さを持たせることに成功しています。

鋼材の特性ゆえに刃角がマイルドで、やわらかで官能的な切れ味があります。
永切れするその特性とカットした時の適度な滑り、重さがあり、シャギーや柔らかいシルエットを作るためのスライドカットやチョップカットにも愛用しています。
ベースカットから仕上げまでこなせる、僕のメインシザーの一振りです。


咲乙女
Acroleaf WIDE M-40 6.0inch / MIZUTANI
(ベースセニング・メインシザー)
No:060125020 / 2006.01.25
刃渡:61mm
動刃:笹刃/蛤刃
静刃:M鋤櫛刃(チューリップカット)/蛤刃
鋤率:40目 25%
鋼材:コバルトモリブデン鋼
柄 :シンメトリ
螺子:埋込螺子DDD

長年愛用しているセニングシザー(鋤きバサミ)です。
鋼材に使用されているモリブデン鋼は、ダイバーズナイフにも用いられる耐摩耗性、耐食性に優れるタフな素材です。

櫛刃の本数が40目と多いにも関わらず、根本の隙間を膨らませ、チューリップの花のように丸みを持たせたM刃にすることで、柔らかく引っ掛かりのない鋤き感を実現させています。
攻めたセニングでもラインが出にくく、常に愛用しているシザーの一丁です。はらはらと切れゆく髪が、散る花のようで美しいものです。
M刃は古いデザインのため、このハサミは生産中止となりました。大切に使い続けたい逸品です。


散乙女
ACRO CROSSOVER THINNING 125 正刃・ハンドルカスタマイズ
(ベースセニング・メインシザー)
No:24076004 / 2024.08.08
刃渡:64mm
動刃:柳刃/蛤刃
静刃:3段鋤櫛刃/27櫛 カット率:20~25%
鋼材:ナノパウダーメタル
柄 :シンメトリー
螺子:ベアリング埋込螺子

MIZUTANI社が近年取り組んでいる、理容の力強さと美容の繊細さを織り交ぜた「ACRO COSSOVER」シリーズに登場したセニングです。
ACRO CROSSOVER THINNINGには、先にUSUBAというセニングシザーが発売されていました。それもこれまでになく素晴らしいハサミでしたが、名の通りの刃の薄さ故に切り方によっては”刃噛み”するという欠点がありました。
その改良版がこのシザーになります。

櫛刃の形状は、平坦な平形から、髪をしっかりキャッチできるM型、程よく逃すL型と進化して、この階段状の3段鋤櫛刃が現在の主流となってきました。
櫛刃に角があると、そこで髪の半切れを作り、これが後でちぎれて枝毛になります。3段鋤櫛刃は髪を転がすように切るので枝毛ができにくく、しなやかにカットすることが可能です。

セニングという作業は開閉回数が多く、疲労を蓄積しやすい難点があります。
またセニングシザーというのは、基本的に棒刃のみに刃が付けられており、櫛刃には刃がついていません。そのため、ダメージした髪や手入れを怠ったシザーで切り方が悪いと、枝毛になりやすいのです。
鋼材にナノパウダーメタルを用いたこのセニングシザーは、刃付けが鋭く、耐摩耗性が高いので、カットでによる枝毛の防止はもちろん、軽い切れ味で美容師の手への負担を軽減します。
実際に切った感触は、刃が抵抗なく髪に沈みゆくような、不思議な切れ味がします。
ナノパウダーメタルこそ最もセニングに適していると考えていた僕にとって、このシザーは待望の一品であり、M-40とともに今後セニングのメインシザーとなるでしょう。
これがおそらく、僕が最後に購入したハサミとなるはずです。


大百足
Spectra3Z 6.0inch / SHEEMA(島理研)
(エクストラセニングシザー)
No:0039 / 2008.12.01
刃渡:62mm
動刃:柳刃/蛤刃
静刃:3鋤櫛刃/段刃
鋤率:23目 35%
鋼材:コバルトカーボン鋼
柄 :シンメトリ
螺子:埋込螺子

通常のセニングシザーは、棒刃(フラットな刃)に刃が付いており、櫛刃(櫛状の刃)には刃が付いていません。つまり片刃の状態で切ります。
なので質の悪いセニングシザーは枝毛製造機となります。
上質なシザーを提供することに定評のある島理研のSpectraシリーズは、櫛刃にも刃が付けられており、髪を傷めにくい加工が施されています。
MIZUTANI社以外で僕が所有する、数少ないシザーのひとつです。

櫛刃の形状も、立体的で柔らかなタッチが可能な3段鋤になっており、剛毛で毛量が多い人用のセニングシザーとして購入させていただきました。
島理研はメンテナンス体制もしっかりとしており、気持ちよくセニングできる良いハサミです。


芥骨
Acroleaf WIDE M-12 6.0inch / MIZUTANI
(アレンジセニングシザー)
No:080213005 / 2008.02.13
刃渡:63mm
動刃:平櫛刃/蛤刃
静刃:笹刃/蛤刃
鋤率:12目 10~60%
鋼材:コバルトモリブデン鋼
柄 :シンメトリ
螺子:埋込螺子

12目平刃の、独創的なセニングシザーです。
フラットで大胆な櫛刃は、ハサミの入れ方で鋤き率が10~60%へと変化します。

使用を躊躇う美容師も多いシザーですが、慣れると処理の難しい鉢周りの膨らみをとったり、毛先の自然なシャギー感を生み出したりできる優れものです。
レザーカットに近いテクニックを表現できるシザーです。


羽羽斬
ACRO Z-1 7.0inch / MIZUTANI
(刈上げシザー)
No:130206063 /
刃渡:82mm
動刃:柳刃/蛤刃
静刃:柳刃/蛤刃
鋼材:ナノパウダーメタル
柄 :キャメル
螺子:ベアリング埋込螺子

7インチの大型シザー。
ハサミはテコの原理で切るので、刃渡が大きくなるほど、刃先に力が求められます。
かつて大型シザーを2丁所有していましたが、どうしても刃先に行くほど切れ味が落ちるのが難点でした。
その点、鋭い刃付けが可能なナノパウダーメタルは最適の材質で、このACRO Z-1は刃元から刃先まで、均一なカットが可能です。

SWORD MB-1と比較して手にすると、実際は倍くらいの大きさの違いを感じます。
その大きさに最初は恐怖しますが、使いこなせば、刈り上げや正確な面取りを短時間でこなす、素晴らしいシザーです。


真月
SWORD DAMA INTEGRAL D-02 6.2inch / MIZUTANI
(ブラントカットシザー)
No:071201001 / 2007.12.01
刃渡:67mm
動刃:直刃/3面ラウンド剣刃
静刃:直刃/3面ラウンド剣刃
鋼材:パウダーダマスカス鋼
柄 :キャメル
螺子:カーボン樹脂ベアリング平螺子

この芸術作品のような文様の鋼材は、パウダーダマスカスアロイと呼ばれ、2種類の微細な粉末を複雑に混ざり合わせて超高密度に成形されている強靭な素材です。
美しいダマ模様はそれらを混ぜ合わせたときにできる偶然的な模様のため全く同じものは存在しません。

ハサミの機能を追求した結果、自然と美しいハサミが生み出されるMIZUTANI社の姿勢が好きで、僕はこのメーカーを愛用しています。
それは斬ることを追求した結果、美しい刀身を得た日本刀に通じるもので、日本本来のモノづくりの在り方だと思います。
美しい剣を作ろうとして、ごちゃごちゃと飾り付けてしまう他国品との決定的な違いでもあります。

SWORD DAMA INTEGRALは柔らかな切れ味で、オールラウンドに使えるシザーです。
立体的な文様が美しいシザーですが、黒い部分がわずかな溝になっており、稀にここに切った髪が挟まって、開閉の抵抗になることがあります。
メインシザーとして使っていた時期もありますが、現在は控え選手の位置にあります。


叢雲
刀水DAMA 6.3inch / MIZUTANI
(オールラウンドシザー)
No:051017028 / 2005.10.17
刃渡:67mm
動刃:直刃/蛤刃
静刃:柳刃/蛤刃
鋼材:ステンレスアロイ・ダマスカス鋼
柄 :キャメル
螺子:平螺子

スタイリストデビュー当初に一目惚れし、これに見合う美容師に成れた時に購入しようと決意した、僕の記念すべきシザーです。
実際には待てずに、大枚をはたいてすぐに買ってしまいましたが。

持つことの喜び、切ることの喜びを教えてくれたシザーで、このハサミを自在に使いこなす自分をイメージさせることで、僕の成長を早めてくれました。
SWORD DAMA INTEGRALとの違いは、それが2種類のパウダー綱によって成型されているのに対し、こちらは鋼材を折り返し鍛錬することで作られています。
つまり、この美しい紋様は日本刀の刃紋に通じるものであり、刀水の名前の由来となっています。

非常に稀有な特殊鋼材で、MIZUTANI社でもすぐに廃番となりました。思い切って買っておいてよかった。
直刃と柳刃を合わせた形状は、開閉のどの位置でも刃角が同じになるように設計されており、安定したカットができます。
非常に硬質さを感じるハサミで、まさに水を切るような感覚を覚えます。

二つの刃を留める螺子は平螺子といって従来からあるスタイルです。いつでも簡単に微調整でき、出っ張りが引っかかってシザーケースから落下することを防止しますが、逆にいうとネジかひっかかってケースに収納しにくく、また勝手にネジが回って調整が狂いやすいという欠点にもなっています。
それゆえ、最近では専用のドライバーで調整する埋込式が主流となっています。


燕女
BVS30 “Custum Handle” 6.0inch / RINX
(調整用セニングシザー)
No:CHIRICO / 2005.04.06
刃渡:63mm
動刃:笹刃/剣刃
静刃:L鋤櫛刃/剣刃
鋤率:30目 15%
鋼材:コバルトカーボン鋼 V10
柄 :シンメトリ(Custum)
螺子:ベアリング平螺子

初期に購入した、RINX社のセニングシザーです。
L型の櫛刃で、毛を適度に逃しつつ適度に切る、そんなシザー。
仕上げ用に使用していましたが、今は使う機会が減りました。


淡月
Baby leaf 4.3inch / MIZUTANI
(フィニッシングシザー)
No:J-B02937 / 2018.10.25
刃渡:30mm
動刃:笹刃/蛤刃
静刃:笹刃/蛤刃
鋼材:コバルトアロイ ExⅡ
柄 :キャメル
螺子:埋込螺子

この極小のおもちゃみたいなシザーは、されど切れ味が鋭く、僕に新しいカットの喜びを与えてくれました。
小回りがよく、スライド・ストロークに適しており、仕上げのニュアンスカットやフェイスラインカットに活躍してくれます。

5.7インチのSWORD MB-1や、7インチのACRO Z-1と比べると、この大きさの差。
ちなみに、ハンドルの形はシンメトリーのメガネ型と上下にズレたキャメル型があります。
キャメルは手に負担が少なく、自然なハンドリングでカットができます。
対してメガネは動刃(上に開く刃)と静刃(下で固定する刃)を入れ替えることができます。
僕はシザーをキャメル、セニングをメガネにしています。
シザーとセニングの取違いミスを防ぐ(意外と美容師に多いミスです)意味合いと、セニングの櫛刃を上下逆にできる点で理にかなっています。
ただ例外的に、SWORD MB-1だけはスタンダードなメガネにしました。それは左右のバランスを正確に切るサスーン式のカットなどに適しているからです。

このBaby leafはコンパクトであるが故に軽量で、専用のケースに収納して首から下げることができます。
僕はこのケースに、自分でペイントとアレンジを加えました。
首からシザーをぶら下げることで、「オレって美容師なんだゼ」アピールを効率的に行え、女の子をキュンとさせる効果が期待できます。
また、「哀れなり弱き者よ、あいにくこれ以下の刃物は持ちあわせていないのだ」ごっこが捗ります。
小さいくせに一丁前の金額のハサミですが、買ってよかったと思っています。



さて、ここからは引退したシザーや、ドナドナして貰われていったシザーたちです。

ACRO CROSSOVER THINNING 125 USUBA 正刃・ハンドルカスタマイズ
No:104482
刃渡:64mm
動刃:柳刃/蛤刃
静刃:3段鋤櫛刃/27櫛 カット率:20~25%
鋼材:ナノパウダーメタル
柄 :シンメトリー
螺子:ベアリング埋込螺子

最近購入した、ACRO CROSSOVER THINNING 125の前身に当たるシザーで、ほぼ同じ形状をしています。
違っているのはナノパウダーメタルの性能を活かした、その薄さ。USUBAの名の由来となります。

軽量で手に負担がなく、さっくりと切れるセニングシザーは、女性スタイリストにもおすすめの仕上がりでしたが、その薄さ故に力加減によって刃が噛むという欠点がありました。
それで1年半ほどで廃番となり、通常の厚みのACRO CROSSOVER THINNINGが誕生したというわけです。

しかし適度な力で切る分には問題なく、キレ感は素晴らしいものでした。
若手の”からっちゃん”がやむなき事情で店を去ることになり、選別にあげました。


Acroleaf Type-K 6.0inch / MIZUTANI
No:050516006 / 2005.05.16
刃渡:63mm
動刃:柳刃/蛤刃
静刃:笹刃/蛤刃
鋼材:コバルトモリブデン鋼
柄 :オフセット
螺子:ベアリング埋込螺子


このハサミはバランスがとてもよく、切れ味も最高で、正確なブラントカットからスライシングまで、本当に活躍してくれたシザーでした。

軽量で取り回しも良いので、カット勉強中のからっちゃんに貸していましたが、スタイリストデビュー間近まできてやむ無くサロンを去ることに。
美容師自体を辞めることになりそうだったので、せめて身近な人をカットして、その喜びを忘れないでほしいとの願いから、先のUSUBAとセットで餞別としました。
頑張って、良い人生を歩んでほしいものです。


SWORD D-15 7.0inch / MIZUTANI
No:0711 / 2007.11.07
刃渡:83mm
動刃:直刃/蛤刃
静刃:直刃/剣刃
鋼材:コバルトモリブデン鋼
柄 :オフセット
螺子:ベアリング自在螺子

7インチのロングシザーです。
ACRO Z-1が来たので、お蔵入りになりました。刃元はよく切れるのですが、やはり刃先が、ね。


Acro Dual “Custum Edge” 6.4inch / MIZUTANI
No:050516002 / 2005.05.16
刃渡:60mm
動刃:櫛刃(刃付)/蛤刃
静刃:平鋤・M鋤櫛刃(Custum)/蛤刃
鋼材:コバルトモリブデン鋼
鋤率:29目 10%未満
柄 :オフセット
螺子:平螺子

両櫛のセニングです。
両方櫛刃だと、刃の抜けがいいと一般的には言われますが、そうでもありません。
先端の櫛の角を落として、さらに鋤率を下げる加工をしました。
それでデジタルカットとかいう、毛根流修正のカット用に使用していましたが、あまり必要性も無くなったので、欲しいという人にあげました。


STELLITE alloy 230 New Pixy handle 5.9inch / MIZUTANI
No:111027019 / 2011.10.27
刃渡:63mm
動刃:笹刃/3面ラウンド剣刃
静刃:8鋤櫛刃/段刃
鋤率:12目 25%
鋼材:ステライト鋼
柄 :シンメトリ(Custum)
螺子:ベアリング埋込螺子

MIZUTANI社の初期のステライトシザー。
摩擦に強いステライト綱はセニングに最適だろうと大枚をはたいて購入しましたが、なんせ重い。
鉄塊か、という重さでした。
欲しいというスタッフがいたので、あげました。


Acroleaf WIDE Light 5.2inch/ MIZUTANI
No:101012012 / 2010.10.12
刃渡:46mm
動刃:極笹刃/蛤刃
静刃:極笹刃/蛤刃
鋼材:コバルトモリブデン鋼
柄 :シンメトリ
螺子:埋込螺子

大きなカーブの刃が特徴のシザー。
髪を切るというより、いかに逃すか、という点にこだわったハサミです。
シャギースタイルなどを作るスライシングカットに適していますが、僕にはもう少し切れるハサミの方が良かったので、スタッフにあげました。


BLACK-SMITH Fit BEAK 5.0inch / MIZUTANI
No:101008016 / 2010.10.12
刃渡:47mm
動刃:直刃/蛤刃
静刃:直刃/蛤刃
鋼材:コバルトモリブデン鋼
柄 :キャメル
螺子:埋込螺子

鳥のくちばし、という名を持つミニシザーです。
僕にとってはBaby leafの前身となりますが、バランスがイマイチで刃に力が無さすぎたので、誰かにあげました。


ARX65U 6.5inch / RINX
僕が最初に手にしたシザーの1本。6.5インチでやや大振りのハサミです。
オールマイティーに使えるシザーで、スタイリストデビューから僕を支えてくれたシザーでした。
今は弟の手に渡っています。



最後に無銘のシザー。
カット練習用のウイッグは人毛を使ってありますが、毛にコーティングが施されています。
美容師のハサミは繊細なので、髪以外のものを切ると刃を傷めます。
なので、ウィッグを切る時専用のハサミとして、これを所持しています。
とはいえ、メンテは欠かしていませんので、とてもよく切れます。
過去にはこれで、コスプレ用のウィッグや、ドールの髪の毛を切ったこともあります。
そこそこ長く美容師をしていると、思わぬオーダーを受けることもあるものです。

ハサミというのは、二枚の刃が寸分の狂いもなく隙間なく完全に重ならなければ、髪を切ることはできません。
そのため、刃の裏側を抉る”裏スキ”と刃を捻る”ひねり”が正確に施されていなければなりません。ハサミはただ真っ直ぐなだけでは切れないのです。

またカットを続けていくと、”バリ”という刃の微小なそり返りができます。
バリのメンテは僕の場合自分で行いますが、切れなくなったハサミや、落として刃を傷めたハサミは、絶対にプロの研ぎでなければいけません。
また必要に応じで、裏スキなどの再調整も行ってもらいます。
僕は一度、千葉にあるMIZUTANI社の本社にお邪魔させてもらったことがありますが、そこでは職人がほとんど手作業で、ハサミの製造からメンテまで行っていました。
そりゃハサミ本体やメンテの金額が、高くなるはずです。いや、むしろ安いくらいか。

こうして愛する道具を手にして、今日もカミを切りまくるのです。

すばらしい写真をありがとうございます。
各々のハサミが五条様の眷属であることを実感させます。
熟読させていただきたいですが、あまりに眩しくて斜め読みしか出来ていません。
手元に、石上神宮の近くの刀匠に玉鋼から打っていただいた儀礼用のペーパーナイフがありますが、
それに勝るとも劣らぬ気を感じ、目がチカチカしています。
是非とも、機会を得て家内の髪を整えていただきたいと思います。
熊野灘がようやく落ち着き、遠からず、阿蘇山の鎮魂に伺うのでその折にお願いできれば幸いです。
いいねいいね: 1人
それはそれは。
お近くにお立ち寄りの予定があれば、ご一報ください。
いいねいいね
narisawa110
これで野菜をカットするとシーザーラサダになるんですね。分かります。😃
いいねいいね: 2人
らさだぁ😄
いいねいいね: 1人
🐥シザーハンズおっさん(ドラマティックロマンティック🐣)
いいねいいね: 2人
おっさんはいらんがな、おっさんやけれども🥸
いいねいいね: 2人
すごい‼️ 感動しました❗
いいねいいね: 2人
ありがとうございます。
職人のこだわりというやつです😊
いいねいいね: 2人