和歌山県田辺市、熊野三山で有名な熊野本宮大社の裏手の山中に、女神のおっぱいがあるというので、仕方なく行ってみることにしました。
ちょっと広めのスペースに車を止め、歩いていくと、いかにも霊が映りそうなカーブミラーがあります。

なんか、怖いし。

そんなカーブの先に、突如として現れた、おっぱいへの入口。
あの世にでも通じているのか、奥から怪しげな気配が漂ってきます。
怖すぎる。なんか聞いたことのない、獣の声も聞こえるし。
しかし、勇気を出して仕方なく進むほかはありません。
男には、負けると分かっていていも戦わなくてはならない時があるのです。おっぱいのために。

眼下は谷になっていて、冷気だか霊気だか分からない何かが吹き上げてきます。
怖いし、寒いし、もう帰りたい。
それでも明日を生きるために、ロマンは大事。僕はどうしても、おっぱいが見たいのです。

この辺りの地質は、新生代古第三紀始新世（約5,000万年～4,000万年前頃）の「泥岩砂岩互層」になっているらしく、前期漸新世の頃に「付加体」となった地層だとのことです。
要は約5,000万年前頃に、海溝付近の深海に砂や泥が積もってできた地層のようです。たぶん。
kwskはこちら。＜日本の奇岩百景プラス＞

入口から100m。右手に大きな岩が現れました。

左手には二つの石灯籠が並んでいます。
そしてその背後の石垣上に、古来より「乳古良石」（ちごらいし）と名付けられ、「ちちさま」の愛称で親しまれる女神のおっぱいが、ああ、ありました。
なるほど、確かに、

ちちさまーっ！さまーっ！さまーっ！さまーっ！

思わず叫んでしまった僕の声が、森の奥までこだまします。
それは紛うことなき、ちちさまの姿。
断層のように切り立った岩壁に、見事な膨らみを示す、おっぱいの女神。ああ、なんと素晴らしいことか。

豊かな膨らみは、若い乙女のそれというよりは、大人の成熟した、身の詰まったハリとツヤを感じさせます。
硬い石であるはずなのに、触れれば弾けるような、その質感。
解説によれば、2つのおっぱいの間はおよそ12cm離れており、そのサイズは右側のおっぱいが直径46cm、左側のおっぱいは直径40cm。
「女性の胸は通常、左胸の方が大きいとされますが，ちちさまも左胸（向かって右）の方が大きく，自然の造形の不思議を感じさせられます」とのことです。
えっ、そうなの？それって右利きの男性が多いからということ？

などと明日を生きる上でなんの役にも立たない知識は脳みそに仕舞い込み、さて驚くことに、ちちさまはなんと、人為的に作られたものではなく、自然に出現した、天然のおっぱいだというのです。
なんだよ、最高かよ、ちちさま。

すごい！激写！

接写！

激写！
…大丈夫、周りに人はいない。

江戸時代の紀伊国の地誌『紀伊続風土記』には、「音無川の上山中にあり。竪四間横六間の石なり。真中に乳の形二あり。乳少き婦人立願すれば自然に乳出づといひ伝ふ」とあり、古来より「母乳に見立てた長さ1尺の12本の白い糸に、餅や菓子を添えてお供えしてお願いしたという」謂われが残っているそうです。
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ちちさまは「おっぱいの神様」であると同時に「子育ての神様」でもあったのですね。

接写！

激写！
…こうして写真を撮りまくっていると、だんだんと少しくらい谷間に顔を埋めても良いのではないかという気になってきますが、それは人として越えてはならない一線ではないかと我に返り、ギリギリ踏みとどまりました。ふぅ、あぶない。
女神様に大変無礼な振る舞いをするところでした。

まこと神聖なるちちさま。
たくさんのロマンをありがとう。
これで明日も、生きていけるな、きっと。

…ああ、顔を埋めて眠りたい。。