日本三奇橋のひとつ、三好市西祖谷山村にある「祖谷のかずら橋」を訪ねてきました。

日本三大秘境の祖谷郷において、その昔は断崖を通らなければ辿り着けなかった「かずら橋」は、秘境中の秘境だったと言えます。
が、整備され、大型バスやマイカーでも簡単に訪れることができるようになったので、

今はもはや、日中は蟻の子が渡る橋と成り果てました。

まあそれでも渡ってみると、

こっわ。
こわ楽しーです。

かずら橋はシラクチカズラで作られており、その重量は約6トンなのだとか。

思った以上に足元の隙間が広く、しかもゆらゆら揺れるので、カメラを構える体に緊張が走ります。

夜はライトアップされるというので、見に来ました。
さすがに渡ることはできません。

ちなみに昼間、数分で渡り切るかずら橋の料金は500円ほど。
しかも橋は一方通行の片道切符。
これを高いと思うか、安いと思うかはひとそれぞれですが、

かずら橋は3年毎に架替えが行われるそうで、その維持費と労力を思えば、僕は安いくらいかと思います。

朝一でやって来ました。
かずら橋から数分の場所に宿をとって、正解でした。

ツイ友のマックイーンさんから、
「祖谷温泉は行かれましたか？日本を代表するぬる湯の名湯です。♨️」
とのコメントをいただきました。

僕の泊まった宿には温泉がなかったので、近隣にあった「祖谷渓ホテルの秘境の湯」さんにお邪魔しました。
マックイーンさんのおっしゃる通り、まこと良い湯でありましたが、ホテルっぽい近代的な造りの温泉でしたので、こんどは秘湯風情のある湯船に漬かりたいものだと思いました。

祖谷かずら橋の長さは45m。幅2m、水面上14mとなっています。

昔はこの深山渓谷地帯の、唯一の交通施設でした。

橋の出口側です。
写真はこっちからの方がアングル的に撮りやすいです。

渡り切ったところには、安全を願う、剣神社と地蔵尊が鎮座していました。

祖谷のかずら橋を渡ってすぐに左に50mくらい行くと、落差約50mの滝が現れます。

これは「琵琶の滝」と呼ばれています。

当地には平家の残党とともに、安徳天皇が逃れて隠れ住んだという伝承があり、この滝の下で琵琶を奏で、徒然を慰め合ったと云われています。

この伝承によれば、壇ノ浦で海の都へと沈んだ安徳帝は、影武者だったという話でした。

祖谷渓に架かるかずら橋は、もう一ヶ所あります。

東祖谷の「奥祖谷二重かずら橋」です。

古くは地域住民の貴重な足として、祖谷川の至る所に架かっていたそうですが、今はこの二ヶ所を残すのみとなりました。

かずら橋の由来は、祖谷に巡行した弘法大師が困っている村人の為に作ったという説や、追っ手から逃れる平家の落人が楽に切り落とせるようシラクチカズラで作ったという説が伝えられています。

この「奥祖谷二重かずら橋」は、源平の戦いに敗れた平家一族が、剣山・平家の馬場での訓練に通うために架設されたとも。

こちらは男橋（おばし）と女橋（めばし）の二本の橋があるのが特徴です。

女橋は男橋よりも小さく、上流側にかけられています。

さらに女橋の奥には、「野猿」という人力ロープウェイも架かっています。

さて、安徳天皇は本当に生き延びて、当地に来ていたのでしょうか。

確かに、一族郎党皆殺しをして来た大陸民族と違い、日本では逃げれば、名を変えれば、その者はもう死んだとみなし、見逃したという歴史があります。
なので教科書で殺されたという武将が実は生きていた、という話は少なくありません。

福岡や長崎の対馬にも、安徳天皇生存説はあります。
が、やはり僕は、幼帝は壇ノ浦で、海の都・龍宮へ旅立ったのだと思います。
それは彼の母、徳子が、自分だけ生き残ってしまった悲しみを背負い、京都大原の寂光院で隠棲したことは事実だろうと思うからです。

師は僕に、各地に散った出雲族「出雲散家」の人たちの中には、平家を名乗るものがいたのだと話してくださいました。
平家を名乗った方が箔が付く、というのがその理由のようで、そこで当地の姫と結ばれたなどという話が生まれたのだとか。

そういえは、「いや」を変換すると、祖谷の他に「熊野」が出て来ます。熊野もまた「いや」と呼ぶのです。
人の行き来しにくい秘境をかつての人々は、祖谷とか、熊野と呼んだのでしょうが、和歌山の熊野は出雲族が渡り住んだ場所であり、その大元は出雲の王家がお住まいであった熊野大社なのだということが、思われたのでした