
五ヶ瀬から椎葉村に入るメイン道路265号線はこのような道です。
カーブは多いですが、そこそこ快適に走れます。
路肩補修のための交通規制等には、注意が必要です。

椎葉村観光協会の公式ページ内に、「2025年10月椎葉村現在の道路状況」というのがありますが、他地方から椎葉村に入る他の道はほぼほぼ全滅であり、今に限らずだいたいこんな状況なので、この265号線が椎葉村に至る唯一の道、と言っても過言ではありません。

256号線の椎葉村入口である「国見トンネル」を過ぎたあたりに、「仲塔」地区があります。
仲塔地区は仲塔、財木、木浦、胡麻山、奥村の5集落で構成されており、人口は約90名だそうです。
秋になると美しい紅葉が見られる仲塔渓谷に面した地区ですが、256号線沿いにチラホラ民家が見える程度で、集落と呼べるものは、なかなか見当たりません。

椎葉という場所は不思議なもので、宿だけは意外とある印象です。
仲塔渓谷沿いの小学校跡は校舎をそのまま利用して、「仲塔 渓谷の館」として簡易宿泊施設になっています。
ぐっすりと眠る、という感じではなさそうですが、面白そうです。
すっかり”椎葉人”と化していたAさんが、地元の人から聞いた話では、椎葉発祥の地と謳われる集落が2つあるそうで、その一つがこの「仲塔」なのだそうです。

しかし残念なことに、ここは過疎化が進み、集落という体を見つけるだけでも苦労しました。



僕は車を走らせ、「不土野」(ふどの)と呼ばれる地区を目指します。
僕も今ひとつ正確には把握できていませんが、不土野には広義の不土野と狭義の不土野があるようで、一般的には南半分を”不土野”、北半分は”向山”や”尾向”というようです。
【15分ver.】
不土野地区は球磨人吉地方と隣接しており、互いの交易の歴史は古くからあったといわれます。
【2時間ver.】
不土野神楽は、不土野公民館にて12月に奉納されており、古くは4組合の輪番によって、民家で行われていました。
昔は舞う演目は世襲制によって代々受け継がれており、集落の中で不幸があった時は、20日を過ぎなければ夜神楽は行われないとのことです。

では、椎葉村の中心地・上椎葉の椎葉厳島神社から”日向椎葉湖”沿いのきわどい道を走り、耳川上流を目指します。
そうして40分ほど走って不土野に差し掛かったころ、急に赤い鳥居が現れました。

この鳥居の扁額を見てみると、「天降日之宮」とあります。

一体なんぞや?と調べてみると、椎葉村と熊本県との境にそびえ立つ「国見岳」の山頂に、「天降日之宮」(あまもりひのみや)再建の地を祀る祠があるとのことです。
国見岳は宮崎県では祖母山に次いで2番目に高く、熊本県では最も高い山であるため、地元では天孫降臨の地であると言い伝えられているのだとか。

鳥居の方角を確認してみると、確かに国見岳を向いているようでした。
天孫降臨というと高千穂の「くしふる峰」、五ヶ瀬の「二上山」、霧島の「高千穂峰」が有名ですが、4番目の候補地があるとは知りませんでした。
国見岳かぁ・・・登山もさることながら、登山口に至るまでがすでに至難であるというマニアックな山、登山はまあ、いいか。
しかしなぜ、登山ルートでもないこのような場所に、鳥居があるのか、不思議です。

天降日之宮鳥居の先を進むと、「尾向」(おむかい)、「尾前」(おまえ)集落に着きます。
尾向地区の人口は約430名で、椎葉村内では上椎葉地区、松尾地区に次いで3番目に人口の多い地区だそうです。

若者のUターン率が高いことも特徴で古くから伝わる循環型農法「焼畑」が日本で唯一、継承されてきた地区でもあります。

椎葉村の焼畑は、この先の向山日添集落にも継承されており、そこに「焼畑継承の地」の石碑があります。
尾向・尾前・向山がどういった区分けなのか定かではありませんが、一つの区域として考えて良いのかもしれません。

耳川を渡った山の斜面に、尾前集落があります。

集落には「尾前神楽」が継承される「尾前神社」が鎮座していました。
【15分ver.】
尾前は耳川の最上流に位置し、世帯数67戸の集落であるといいます。
集落から耳川の源流に広がる尾前渓谷は、自然豊かな紅葉の名所として知られ、ヤマメの生息地として釣り人にも人気があります。
椎葉村のなかでも猟師が多く狩猟が盛んな地区で、猟犬が大切にされているそうです。
【2時間ver.】
近隣の向山日当、向山日添、尾手納地区との神楽の交流が盛んで、それぞれの夜神楽で一演目を奉納し合っているとのこと。

尾前神社の由諸は不詳ですが、往古より「六社大権現」と称し、志那津彦命以下六神を祀り、それぞれに風・金・山・木・火などの神性が賦与されていたといいます。
祭神の六神とは次のようになります。
「志那津彦命」(しなつひこのみこと)
「軻遇突智命」(かぐつちのみこと)
「水波女命」(みずはのめのみこと)
「志那津姫命」(しなつひめのみこと)
「金山彦命」(かなやまひこのみこと)
「句々迺智命」(くくのちのみこと)
「埴安姫命」(はにやすひめのみこと)
Aさんによれば、「近隣の6つの神社を合祀?されたらしく?」とのことですが、どの神もユニークで興味深い並びです。
これらの神々を祀っていた「尾前」集落とは何なのか、とても気になります。

尾前神楽は夕刻より始められ、一番の「板起し」は狩猟神事そのものであり、爼板に猪肉をのせ唱文をとなえるというものがあります。
そういえば、「シシツリ」という高千穂神社のシシカケ祭の原型のような風習が残されていたのが不土野でした。
この尾前という集落名、本来は「御前」ではないかというのが、Aさんと僕の共通意見なのでした。

narisawa110
六社を合わせて一つの神様になるのか?と思ってやってみました。
クシミカハシ。
ありそう〜とか思いましたがそう言う神様はおられませんでしたw
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なんかありそう😀
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