
2025年8月晴れ
僕はようやく白鳥山・御池を目指すことにしました。

椎葉村の中心地である上椎葉の椎葉厳島神社から、向山神社までは、キワどい道を車で延々と走って約1時間かかります。
白鳥山の登山口までだと、約1時間半。
福岡から椎葉厳島神社までが約2時間半です。もちろん全て、ノンストップでの時間です。

僕はこれまで2度白鳥山登山を試みましたが、天候不良のため断念し、3度目にしてようやく登山口へと足を向けています。
僕が白鳥山に至るためには、順番があったのだと、なんとなく感じています。

崩落した石を踏んでパンクしないよう、山道を慎重にしばらく走っていると、「御池登山口」という案内板が見えました。

ここは「唐谷登山口」と呼ばれる場所で、駐車スペースも設けられています。
唐谷山登山口の標高が1325m辺り。白鳥山山頂は標高1638m、標高300m強を1.2kmほどで登ることになります。
もう一つの「峰越登山口」が標高1480m。そこから緩やかなアップダウンを繰り返して、2.5kmほど歩いて山頂に至ります。

距離は倍になりますが、明らかに峰越登山口からの方が楽ちんであり、ナンチャッテ登山愛好家の僕は、迷わず峰越へと車を進めました。
この判断が、結果的には僕をあの遺跡へと導くことになります。

峰越登山口に着きました。

本当なら、熊本・五家荘方面からも峰越に来ることはできるはずなのですが、全面通行止めとなって久しい様子です。
開通の目処は立っておらず、現状、峰越へは椎葉からしかアクセスできません。

峰越には2つの登山口があり、一つは烏帽子岳へと通じています。これをひたすら峰沿いに登っていくと、国見岳にも行けるようです。
まあ、健脚の方で片道4時間、往復8時間ほど、かかるようですが。

峰越登山口には、仮設トイレも置かれていました。使えるかはわからんけど。

そういうことで、僕はここから白鳥山を目指します。



白鳥山登山峰越ルートは歩きやすく、とても快適です。

多くの人が踏みしめてきた道が、細く長く続いています。

足元は枯れ落ちた草が積もってふかふかで、天然のクッションになっています。

暖かな日差しと爽やかな山風のバランスが、心地よい。

僕は白鳥山を登るにあたって、完全な晴れの日を狙っていました。
それでも山の天気は移ろいやすいので、油断はできません。

一年を通して多雨である椎葉では、白鳥山も霧が出やすいと聞いています。

僕が白鳥山に登ろうと決意したのは、そこにある「御池」(みいけ)に興味を持ったからです。
御池にも、平家落人伝説が残されていました。

御池とは白鳥山山頂付近にある湿地帯です。
寿永4年(1185年)壇ノ浦の戦いに敗れた平家の残党の一部が、椎葉村に逃れ、白鳥山御池の辺りに本陣を置きました。

旧暦3月17日、この日も白鳥山は霧に包まれていましたが、一瞬の晴れ間に見張りが見たものは、一面にはためく源氏の白旗でした。
見張りは源氏の大軍が押し寄せて来たことを本陣に報告します。
それを聞いた平家の対象・平清経は覚悟を決め、「逃れる者は、五家荘をはじめ各地に分散せよ。生き延びて再起の時を待つべし。そうでない者は武士の誇りを守り、ここで果てよ」と言って、大勢の平家侍が御池周辺で割腹したのでした。

ところがこの時、見張りが見たのは源氏の白旗ではなく、実は山一面に咲いた山シャクヤクの花だったのです。
以来、村人は御池を聖地として崇め、日照りの時には御池で祈り、さすれば必ず雨が降ったと云われています。
また、平家の祟りか、この白鳥山・御池はなぜか富士樹海ばりに迷い込んだら抜け出せなくなるのだと、実しやかに伝えられます。

なので少しでも生存率をアップさせるため、晴れの日を選んで来たわけですが、さて、山中で道沿いにあった、この変わった岩。

角度によっては、人面が突き出たように見えます。
人面岩です。

念の為に人面さんの顔の向く方向を見てみると、ほぼ真西になります。

日の沈む方向を見るお方でしたか、キミは。

まあ、これはたまたまだよね、ってことで御池に進んでいきます。

すると、ゴツゴツとした岩があちこちに現れ始めました。

そして白い。

どうやらこれらは、石灰岩のようです。

巨大な・・・何かが、あります。

おっ、

おおーっ、こ、これは・・・亀じゃね。

巨大な石灰岩の亀の磐座が突然現れました。
しかもウミガメ。

ウミガメさんの頭に近寄ってみます。

ぐるっと周ると、頭の上には上がれるようになっていて、

そこはまるで祈りの場のような感じになっています。

ここに立つと、ちょうど昇ってきた太陽の光が差し込みます。
方角を確認すると、

はい、東を向いていました。
東・・・この位置から東を向くと言うことは、日向の龍宮と謳われる「大御神社」の方を向いているということです。
あるいは、海を背にする大御神社がこの白鳥山を向いている、と言えるのかもしれません。

亀さん岩のお尻は鏡石のように平たい壁になっています。

この亀さん岩の後方には、他に2つの大きめの石灰岩があり、

一つはアンコールワットのように大樹と一体化しています。

太古の風を感じる、なんと素晴らしい景色か。

また少し歩いていくと、

ひえ~っ、今度は亀の甲羅のような磐座が出てきました。
もうこの一帯は、圧が半端ない。

深く掘り込まれた割れ目。
これは自然に割れたものでしょうか。

この甲羅岩の後ろも凄いことになっていました。
祭祀跡じゃないの、これ。

サークル状に囲われた空間に、命のエネルギーを感じます。

白鳥山の名の本当の由来は、平家やヤマトタケルではなく、この白い石灰岩ではないでしょうか。
聖なる白い山、それが白鳥山なのだと。

そして女神岩のような磐座が現れました。

凄い、こんなのに出会うなんて、全く予想していませんでした。。

白鳥山・御池が迷いの森であるという話は椎葉村では有名みたいで、僕がそこに行きたいと話すと、綾野ファームの勇さんたちは心配していました。
なので安全に御池に至るための情報を、僕なりにかき集めていましたが、そこに巨石群があると言う話はどこにもありませんでした。
磐座学会なども認知していないのでしょうか。

巨石群は小高い斜面上にあるのですが、

上の方も気になる。
う~ん。。しかしこれ以上の深入りは禁物か。
ここは早々に登山ルートに戻って、御池を目指すべきでしょう。

亀岩からの一連の磐座群がすごーく気になります。ドリーネに注目する方は多くても、この巨岩たちは🤔
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気になりますよね😁
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