オレって愛されてるじゃん!
はい、翌朝の姫のご機嫌がこれ。真っ白け。
まあ分かってはいたけどね。
ちなみに昨夜の夕食がこれです。おかずは肉か魚かを選べました。
山小屋はカレーが定番ですが、これ程のおかずを用意していただけるとは思っていませんでした。
朝食は早朝出発組は巻き寿司の弁当にしてもらえます。
さあ、行こうではないか、菊理姫ちゃんタソが待つ常世の頂きへ。
室堂から白山最高峰の御前峰までは、1時間弱くらいの登山です。
昨夜は一晩中足がつってました。もう慣れっこです。
白山は、最高峰の御前峰(2,702m)・剣ヶ峰(2,677m)・大汝峰(2,684m)の「白山三峰」を中心とした周辺の山峰の総称となっています。
また、別山・三ノ峰を加えて「白山五峰」とも呼ばれます。
本当は御前峰から、翠ケ池を横に見て大汝峰まで行くつもりでしたが、この天候なので諦めています。
剣ヶ峰は足場が悪いらしく、登山禁止となっています。
御前峰から大汝峰までの間には池がいくつかあり、その辺りは高山植物のお花畑になっているそうです。メルヘンです。メルヘりたいものです。
うふふふふ、あはははは、つかまえてごら~ん、まてよこいつ~ぅ、と脳内でお花畑を咲かせます。
青石、
坊さんが刻んであります。
最初は階段状だった道も、だんだん荒れてきました。
山頂まで500m、そこに高天ヶ原がありました。
高天ヶ原は神々の生まれる場所・天津神の住まう場所と云いますが、ここはずいぶん荒涼としています。
しかし高天ヶ原が命生まれる場所=常世とするならば、これもまた正しい世界なのかも。
常世、常夜。
常世とは”かくりよ”の神域で、そこは永久に変わることのない神の領域。死者の赴く黄泉もそこにあるとされています。
常世は常に夜の闇が続く場所で、常闇(とこやみ)とも呼ばれます。
その常世ではただ月の光だけが差し込み、月讀神の持てる変若水(をちみず)に満たされているのだと。
竹の節と節の間は”よ”と呼ばれ、常世に通じているとされています。故に”月姫かぐや”は竹の”よ”から生まれて月に還っていくのです。
羽衣を得た”美保天女”もまた、月に還っていきます。
浦島太郎が不老長寿の象徴である亀の背にのって連れられた海底の龍宮、そこは変若水で満たされているので太郎は息をすることができました。
つまり龍宮は常世でもあり、故に時の流れのない龍宮で彼は歳をとりませんでした。
常世とは命が還り、新たな命を生み出すうつろなのです。古代の月讀の巫女はこの常世に繋がることで神託を得ていたと思われます。
月の相が最も人に影響を与えるのが女性の胎内であり、そこに常世に通じる道がある。だからこそ命は胎内に宿るのです。
変若水とは龍宮を満たす潮であり、竹のよを満たす水であり、女性の胎内にある羊水そのものなのです。
真に神の声を聴く巫女は、古来より無垢でなければならないとされたように、そうでなければならない理由がそこにあるように思います。
割れた竹に変若水は溜まらぬが如く、かぐや姫が、あるいは美保天女が男との交わりを避けたように、常世に通じるには無垢でなければならぬ道理があるのです。
果てしない”とこやみ”を登ってきましたが、
ようやく姫神の棲まう場所へと辿り着いたようです。
さすが標高2,702mの山頂です。脊振とは比べ物にならない風が吹き荒れています。
しかし彼女の家の中は無風。ここにだけ流れることのない時間と空間がありました。
暴風に囲まれた無風域、まさに常世の体現です。
このような場所でひとり坐します菊理姫とはいかなる神か。
豊家と越智家を結び、
おそらく豊家と富家も結び、
後の応神帝となる竹葉背ノ君に血を残した常世織姫。
またの名を、神々を禊ぐ変若水の巫女たる瀬織津姫。
彼女こそがこの場所に坐すにふさわしき白山の比咩大神であろうと思うのです。
ああ、僕はようやく、この場所にたどり着いたのだ。
石垣の外はなかなかの強風ですが、少し散策してみます。
方位版がありますが、もちろん展望はゼロ。
白山はかつて、「越白嶺」と書いて「こしのしらね」と呼ばれ、その後、「しらやま」と読む時期を経て「はくさん」となりました。
うーむ何も見えませんが、この下に千蛇ヶ池があるはずです。
千蛇ヶ池(せんじゃがいけ)というのは、白山を開山したという泰澄上人が千匹のオロチを封じたという池です。
昔、白山には3000匹の大蛇(おろち)が住んでおり、たびたび里へ下りて悪さをしていたと伝えられます。
それを聞いた泰澄上人が大蛇を集め悪さをしないように諭しました。
しかしどれだけ諭しても言う事を聞かない大蛇が1000匹おり、泰澄上人はこの1000匹を1か所に集めて、その上にたくさんの石を積み上げ封じ込みました。この蛇塚(じゃづか)は黒ボコ岩から観光新道方面に少し下った所にあるそうです。
泰澄上人は残りの1000匹に刈込池に棲むように命じ、その池の近くにある大岩に大きな剣を立て、その剣の影が池の水鏡に映るようにしました。大蛇は鉄に触れると体が腐るので池から出られなくなりました。
そして最後に残った1000匹に対し、泰澄上人が白山の頂上にある池に棲むように命じたのが千蛇ヶ池です。1000匹全ての大蛇が池に入り終わると、泰澄上人はその上から万年雪で蓋をしました。もし雪が融けて池から大蛇が出てきそうになると、池の上にある御宝庫という大岩が崩れ落ち、池の蓋になるようにしたという、隙の生じない二段構えのシステムです。
なんともまあ、コワイ人、泰澄上人。
この3000匹のオロチとはヲチ、越智族の人だと思うのですが。
御前峰山頂に立ちました。
この先が大汝峰に続く稜線。死の予感しかしません。
大汝とは越南智であると、美濃馬場である長滝白山神社で知りました。
千蛇ヶ池に通じているという湧き水もそこにあります。
強風に煽られながら、姫の背中を眺め思います。ああ、どうして僕は、こんなにも白山に惹かれるのか。
ある人は僕が、前世でここで死に、今も半身が眠っているからなのだと云います。
僕は前世や生まれ変わりというものに、懐疑的です。
仮に前世の僕が居たとして、その前世で死を迎えた僕の魂は何処へ逝くのでしょうか。それは常世・宇宙意識の集合体でしょうか。
そう仮定したとして、前世の僕の魂は宇宙意識の集合体に取り込まれ、均一化されるはずです。そこから再び生まれた今の僕の魂には、どれほどの前世の僕の魂が含まれているのでしょうか。
0.0000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000001%以下の前世の僕と、
99.9999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999%以上の別の何かで、今の僕は出来上がっているはずです。それをもって、なぜ0.0000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000001%以下の前世の僕を前世の僕だと断定できるのか不思議でなりません。
それでも確かに、僕の半身がここに眠っているという話に納得してしまうくらいに、懐かしく、そして切なく感じられて仕方がなかったのでした。
帰りたくない。
なんと名残惜しいことでしょう。
この常世の頂に、このまま身を朽ちさせても構わないという気持ちさえ脳裏をよぎります。
しかし今の煩悩・穢れまみれの僕が常世入りしても、姫神ちゃんタソは眉をひそめ、嫌な顔させながらヒールで僕の後頭部を踏みつけることでしょう。
そらくんもまだ来なくていいって言ってます。
それに僕は早く本を書いて、先生の喜ぶ顔を見なくてはなりません。
それでも僕は、大きく心を占めていた想いを遂げてしまいました。
胸の奥にぽっかりと穴が空いたようです。
事実、このあと1ヶ月以上もの間、僕は燃え尽き症候群のような状態に陥っていました。
そういえば登りは苦痛のあまり気にも留めていませんでしたが、白山の水の豊かなこと。
水のせせらぐ音が、満身創痍で下山する僕の耳元にずっと届いていました。
これぞ変若水、常世から命を乗せて下界に降り注がれるのです。
命が還り、新たな命が生み出されるうつろ。
下山しながら僕は思います。
もう二度と訪れることはないだろうが、ここには全てがあった。
越の白嶺「白山」で僕は確かに、愛しい常世の姫神と一時の逢瀬を交わしたのでした。
いやいやいやいや、まてまてぇい!
まだ、うふふふふ、あはははは、つかまえてごら~んしとらんやろが~いっ!!
と、燃え尽き症候群から立ち直りかけた2ヶ月後、僕はザックを新調していました。
背中の大きさに合わせて選んでもらったニューザックは、登山を快適にするギミック満載。安物ザックとこんなに違うんかい!と店員さんが6kg分のペットボトルをザックに入れて担がせてくれました。道具って大事、ほんと。
ということで決めました、来夏白山再登します。そして今度は室堂2泊。丸一日思う存分うふふふふ、あははははします。天気が良ければだけど、菊理ちゃんタソのご機嫌が良ければだけど。
とどのつまりはこういうこと、ほんと登山は恋に似ている。
narisawa110
うーむ、二回登られて2回とも曇りですか。
晴れてるととても綺麗な場所なんですよー
池のグリーンが最高
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池はまだ見れていないんですよね。
今年のお盆に2泊予定していたのですが、台風直撃でキャンセルしました。。
来年こそは、と願っています。
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お疲れ様でした。菊理姫と菊ぜせり。。。イケマセンイケません。
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命懸けのラブ。。モエマクリです☆
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菊理姫はこんな汚ったない山におったんか…🐥千蛇ヶ池とは千の邪(蛇)が池に入っとったのかも。じゃ(蛇)とは邪かも〜🐣
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来年はきれいな花園で、菊理ンとうふふふふ、あははははしてきます😄
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来年が楽しみですな🐥
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鬼が笑っていますな🐣
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随分と逼迫した笑いでんな🐥来年まであと何日ですかね🦑
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