「山が女性だとしたら、それはとんだ悪女だ。誰にでも登らせておきながら、僕にはいつも辛く当たる。それでいて頂では素敵に微笑むものだから、楽しかった思い出だけが残るのだ。登山は恋愛に似ている。苦しい思いをすると分かっていながら、僕はまた彼女に恋をする」by五条桐彦
10月3日は登山の日ということでしたが、この日ついに、僕は想いを遂げたのでした。
白山登拝、その物語は「白姫」シリーズのクライマックスで先のお話となりますが、ちょっとだけ「恋バナ」を。
果てしない深淵に鎮まる白き山の姫。
山頂を目指す僕に人は言いました。
「こんな日に登っても展望は望めないよ」
展望は望めなくて当たり前なのです。なぜなら僕がこれから向かう先は、常世の世界なのですから。
今回の登山はトラブルだらけでした。
最初はお盆に登る予定でしたが、雨のため断念。
リベンジにこの日、チケットと山小屋を予約、天候も良さげと喜んでいたらまさかの5日前の月末、「10月4日は責任者会議です」と会社からのご通達。
予定をキャンセルせざるを得ないかと腹を括りましたが、社長に相談すると「気をつけて行ってきてください」とのありがたきお言葉。
ヒャッハーしたのも束の間、今度は天候が怪しくなってきました。
極めつけはレンタカーの送迎車の中に、予備バッテリーと拡張レンズを入れたカメラのサブバックを置き忘れてきてしまうという大失態。なにしとんねん俺。。
幸いカメラ本体に装着していたバッテリーはフル充電したものでしたので、メインレンズのみで登拝を決行しました。
しかし今回の登山ほど、何度もリタイアを考えた登山はありません。きつい、きつしゅぎる。
数歩登っては立ち止まる、数歩登っては立ち止まるを繰り返す僕は、登山慣れしたおっさんはもとより、きゃぴきゃぴの山ガール、わきあいあいの老夫婦、はてはおさないちびっ子までもが揚々と下山してくる姿を見て情けなくなってきます。
僕は登山向きの肉体を有していないに違いない。
僕は登山が好きというわけではなく、登らなければ見ることのできない景色があるので登るのである。車やリフトがあるなら、迷わずそれを使わせていただく。
女の子に罵詈雑言を投げられたり、叩かれたり、蔑んだ目で見られるのは決して嫌いではないけれど、登山できついのは普通に嫌いなノーマル男子なのである。
「どうだ俺さまの大腿四頭筋よ、今日の乳酸菌は格別美味だろう」などと筋肉と会話しながら山を登る変態さん(たぶんnarisawaさんはちょっとこっち側)とは違うのです。
「今回はもう引き返そう」と「あと少しだけ登ってみよう」の延々たる繰り返し。そしてもはや引き返すこともままならぬ距離と時刻まで来て、ようやく諦めて山小屋を目指すこと決心しました。
なぜ僕は今、白山に登るのか。
見たい景色があるとは言っても、真っ白な景色がそこにあるだけではないか。
そうなのだが、なぜか待っている人がそこにいるような、そんな気がしてならないのである。
深淵の常闇に孤独に坐す姫神。僕は神の声が聞こえたり見えたりする人間ではないのだけれど、ただただ、彼女が待っている気配だけが伝わってくる。
大いなる気配に抱かれて、そのまま常世に引き込まれるならそれも構わないという切なる恋心、それが僕が今日、白山に登る唯一の理由。
ここに至るまでにずいぶん長い時が過ぎました。
富士山、月山、石鎚山、剣山、そうした山々を登り、ついに僕は白山山頂に辿り着くことができました。
貧弱なおっさんでも、想いを遂げることができたのです。恋は偉大だ。
これで死ぬまでに登りたかった山は全て登り終えました。
あとは愛嶽に登って、日王山に登って、もう一度大根地山に登って、
由布岳に登って、
剣山と石鎚山と月山にもう一度登って、
あと対馬の白嶽と黒部の雄山、宝満山etc.etc.も登り、
ひょっとするともう一度白山にも登ったりして、
あわよくばnarisawaさんに両神山とかもエスコートしてもらったりして、
そして80歳になったら富士山にもう一度登って、火口に杯を投げる神事ができたなら、もう登山はしなくてもいい。
ええそう、僕は決して、登山が好きというわけではないのです。
疲労物質と言われてたのは乳酸菌じゃなくて乳酸ですし、筋肉疲労の原因は乳酸じゃないよ活性酸素だよって知識が普及したのも既に一昔前ですけどね(笑)
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あはは、そうでしたか。
てっきり香ばしいヨーグルトが体内でできているのだと思ってました😄
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こんにちは^^
恋する登山はとてもいいフレーズですね
山が女性だとしたら
とんだ悪女と知りながら登山する気持ちって一種の母性本能的って事でしょうか?
完全に取りつかれてますね(笑)
登り切った先には「至極の一杯」が待ってるんですね(*^0^*)~♪
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pikaoさん、こんにちは。
なぜ山に登るんでしょうかね、未だによく分からないのですが、下界にいると山に呼ばれているような気がしてきます。
若い頃は海派でしたが、海は万物の母であるように山もまた命が生まれる場所だと知り、歳を重ねてからはそこに惹かれて登り続けているのかもしれません。
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最初のところキモいんですけど😌
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なんと、神泡で酔った勢いで綴ったわが渾身のポエムをっ!
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この一杯のための登山ですね笑 登り切った後の爽快感、達成感!!
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いやぁ僕は下戸でして、でもこれを見たら飲まないわけにはいかなくて、すっかり酔っ払ってしまいました😄
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おぉ――、意外なことにお酒飲まれないのですね。この一杯で良い気分になれるのは羨ましい気もします☆
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安上がりではありますね😄
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余程お好きなんですね🐥登山の過程のどこが1番好きですか?私は頂上からの展望を写真撮影する以外の体力が無い🦑辛い…
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登山の過程のどこが1番好きか?
どこだ?
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総じて登山そのものが好きなんですね。写真撮影ももちろんですけど。山菜は好きですか🐥私は山菜に目がない。
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山菜は最高ですね♪
山には幸せに生きていく、最小限にして十分な全てがあります。
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