伊弉冊の岩柵 再び

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さて、そろそろ”変態”の話をしなければならない。
突然何を言い出すのか、と不思議に思うだろうが、いわゆる“態”(すがた、さま、ようす)が”変”(ふつうではない)と書いて”変態”ということだ。
実は島根の大田方面に、二人の”変態”がいることを僕は知っている。
これはいわゆる

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こういったタイプの”変態”のことではなく、

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この”変態”とも違う。
僕が言いたいのは、つまり、”良い意味”での”変態”である。
わかりやすく、強いていうならば、

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「頑張れ!!」って感じの”変態”、うん、これだ!!

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大田の”変態”モモちゃんと、

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“変態”シズさんには、昨年の石見物部神社『鎮魂祭』でお世話になり、その日は朝から3人で、大田”変態”巡礼をさせてもらった。
その時、「今度は『奥出雲”変態”巡礼』に行きましょう」という約束を交わし、今日に至ったのである。
とどのつまり、やぶさかではないことなのだが、いわばこの僕も紛れも無く「頑張れ!!」って感じの”変態”なのである。

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さて、今回の『奥出雲”変態”巡礼』の一発目に、仁多郡阿井村奥内谷の「伊弉冊の岩柵」(いざなみのいわさく?)を僕は提案した。

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なぜなら、ここは案内がなければ、まず辿り着くことはできないであろうド”変態”垂涎の聖地だからだ。
前回、僕が来た時はアブとハチの襲撃を受け、雨も降っていない湿度の高い6月に簡易レインコートを羽織って、全身に虫除けスプレーを振りかけて登るという、羞恥プレイを余儀なくされた。

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今回は幸い、蟲はおとなしかったが、更なるビックボスの襲撃もありうるので、5年寝かせた熟成・熊スプレーを用意しておく。
さて、登りますか。

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登りますか、と言ってもその道は、一般ピーポーには見ることのできない道だ。
厳しい修行を終えた、心の清らかな”変態”マスターのみが突き進むことができる。
僕は、心の中のMidi-chlorianに問いかける。
”フョースぢゃ、フョースを信じるのぢゃ”
すると森の中にスッと光が差し込み、一筋の道が浮かび上がった。よし、行ける。

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道が見えたとしても、油断はできない。
途中で謎の折り返しがあったり、二手に分かれていたり、隠しルートが存在していたりと、道行く者を欺くトラップが幾度となく仕掛けられているからだ。
伊弉冊の岩柵までの真のルートは、”呼ばれた者(変態)”だけが、間違うことなく選択できる。

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足場は悪く、枯れ葉が足元を滑らせ、不浄の者を容赦無く急斜面の奈落の底へと誘う。
掴んだ木枝が枯れていないとは限らない。場所によっては掴む笹の草さえないこともある。
とにかく1歩1歩をゆっくりと、慎重に足を運ぶ。

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ここにきて、さしもの僕も不安になった。
“変態”とはいえ、うら若き乙女二人を、このような危険な場所に連れてきて良かったのだろうか。さすがにマズいのではないか。
罪悪感を感じながら僕が振り返ると、
「すごーい」
若干顔を強張らせながらも、嬉々とする女子がいた。
シズさんも、モモちゃんも、やはり”変態”だった。
そしてようやく、僕らは念願の黄泉の入口に辿り着くことができたのだ。

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島根県教育会 編の『島根県口碑伝説集』によれば、奥内谷には「伊弉冊」と云う地名があり、そこに十畳敷くらいの広さの岩柵がある、と記される。

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それが「伊弉冊の岩柵」だ。
シズさん、モモちゃんが前のめりになっているのは、こうしないと急斜面を下にずり落ちてしまうからだ。
そんな場所に、伊弉冊の岩柵はある。

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当地を伊弉冊と呼ぶのは、女神が降り立った場所と伝えられることが由来だという。
この洞穴は、地元では伊弉冊命が一夜を過ごした、暫く休まれた、あるいは一説に亡くなられた場所だと云い、「みことさん」と呼び親しんでいる。

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乙女らはしばらく祈り、石笛を奏でる。
風が吹いて、木々はざわめき、鳥が呼応するかのように囀り返す。

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国と多くの子を産み、冥界に降りていった女神の名が残された土地。尊い。

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伊弉冊の岩柵は、命の源である常世と、我らの現世をつなぐ場所なのかもしれない。
日本が日本で無くなりつつある今だからこそ、大切に守らなければならない場所だろう。

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ともあれ、3人とも何事もなく帰ってこれたのは良かった。
事故が起きても、連絡もできない場所である。
常世の女神よ、今回も無事にお返しいただいたことに、僕は感謝申し上げるのである。

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1件のコメント 追加

  1. Nekonekoneko のアバター Nekonekoneko より:

    🐥五条桐彦の若き頃の写真を見て一曲🐣浮気性〜♬浮気性〜♫生まれつきの〜浮気性〜〜🎶(申し訳ありませんでした…🙇🏻‍♀️印象だけで言ってしまい…)

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