白山 前編:常世ニ降ル花 菊理淡月篇 05

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麗しき常世の姫君・菊理姫に逢いたい。
いつの頃からか憧れの聖地となっていた越の白嶺「白山」(はくさん)へ、想いを遂げるため、ついに僕は旅立つことにしたのです。

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白山は石川県と福井県、岐阜県にまたがる標高2,702mの活火山です。

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古くから信仰のある霊山で、富士山、立山と共に日本三霊山の一つとされています。

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白山の登山コースはいくつか整備されていますが、僕は一番ポピュラーでビギナー向けの、別当出合から砂防新道を進むコースを選択。
中飯場と甚之助避難小屋を中継して黒ボコ岩、そして室堂センターを目指します。室堂で1泊し、翌早朝から御前峰を目指してご来光を拝するというプランです。

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日本最高峰・富士山、四国最高峰・石鎚山、出羽三山・月山、などなど、数々の霊峰を克服して来た僕にもはや敵なし。
レッツゴー!

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登り始めた時は、そう思っていました。

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が、それは本当に、虚弱で矮小な人間の思い上がりであると、このあと僕は死ぬほど思い知らされることとなりました。

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いきなりずっとこんな道です。

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トニカクキツイ。モウカエリタイ。

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予報では晴れだったのに雲行きも怪しくなってきました。
まこと山の天気と女心は移ろいやすいのです。

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避難小屋のある「中飯場」まで来ました。
出発地点の別当出合からここまで1時間。

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ちょっと早めでしたが、少しでも荷物を軽くしたかったので昼食にします。
空港で買ったお弁当、美味しそう♪

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腹を満たしたら再出発ですが、

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モウイヤダ・・・

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普通ビギナークラスの登山道は、急登となだらかな道が交互にあったりしますが、

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ひたすら急登・・・

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最初から最後まで

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急登。

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本当にこれがビギナーコースなのでしょうか。
僕はビギナー以下のミジンコでしょうか。

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僕のチンケな自尊心が、瓦礫となって崩れていきます。

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かれこれ2時間ほど登っていますが、すれ違う下山の人はいますが、追い越した人も、追い越していく人もいません。
今日登っているのは、ひょっとして僕だけなのでは。もう、帰ってもいいよね。

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なぜなら頑張って登っても、どうせ山頂は真っ白です。下手すれば雨でしょう。

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せめて明日、晴れ予報が出ていれば気持ちも上向くのですが、見事にC判定。

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次のポイントまで登ったら、降りよう。
次のポイントまで登ったら、降りよう。
次のポイントまで登ったら、降りよう。

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そうぶつぶつ漏らしながら、登っていました。

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ようやく甚之助避難小屋まで来ました。別当出合から室堂までの中間地点です。ここまでの時間、2時間半強。
もう無理。もうゴールしてもイイヨネ。

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「VR山」アプリで確認してみます。分かってはいましたが、真っ白です。
もう降りるか。

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しかしここからも少し登ると、磐座があるらしい。磐座まで、行くか。

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今回はトラブル続きの登山ですが、最大の失敗は、小松空港からのレンタカー送迎車内に、あろうことかカメラのサブバックを置き忘れてきたことです。
カメラのサブバックには、予備のバッテリーと望遠・広角などの替えレンズが。レンズはまあ、良いとして、バッテリーが心許ない。

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甚之助避難小屋があんなに小さく。牧歌的な風景が広がります。

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さて、行くか。

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だい~ぶ登ってきましたが、磐座ちゃんの姿が見えません。
落石に注意してって言われても、もはや落石を避ける気力もありません。
時折ガスに覆われ、雲が急激に流れている様を感じます。

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この磐座直前の急登は、本当に心が折れます。
逝きかけます。

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延命水なる場所がありましたが、水量はかなり少ない。というか水滴が落ちてる程度。
水滴を掬い取って、口に運び、少しでもHPを回復させます。

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もう無理だー、そう涙をこらえて空を見上げれば、おお、なんか石っぽいのがある。

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白山なのに黒い岩。

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巨大な岩がゲートのように立ち塞がります。

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これが聖なる山の磐座、「黒ボコ岩」と呼ばれる火山弾です。

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白山の火砕流によって山頂から運ばれてきたものだそうです。
つまり元は山頂にあった巨大火山弾ですね。

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そしてこの黒ボコ岩の上には、登ることができます。

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爬虫類系の顔のような岩。

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白山の山頂周辺は成層火山で、30~40万年前から火山活動を始めたとされています。

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約10万年前、 山頂北側の地獄谷付近に古白山火山が形成、約3~4万年前に現在の山頂部に新白山火山が形成されました。

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『続日本紀』には、慶雲3年(706年)に白山の噴火により山火事が発生したと記されています。

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最も新しい噴火は万治2年(1659年)となっています。

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黒ボコ岩まで登ったら帰ろう。
ライフ0の僕はそう決心していましたが、このなだらかな弥陀ヶ原を見たら、もう少し歩いてみたくなりました。

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月山立山など、山を登っていて度々思いますが、2,700mクラスの山頂付近にこんな天空の楽園があるというのが驚きです。
全ての疲れが、女神の慈愛で癒されるようです。

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もう少し、登ってみよう。

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振り返ると、弥陀ヶ原の木道があんなに小さく見えています。すると、

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なんと、室堂に到着してしまいました。
結局登ってきてしまいました。ここまで5時間弱。
室堂は財団法人 白山観光協会が運営する有人の山小屋で、食事もできます。
室堂に来てみれば、結構な数の登山客がいました。なんだ僕だけじゃなかったのか。

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室堂ビジターセンターの裏手には、白山奥宮の祈祷殿が鎮座しています。

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背後に白山最高峰の「御前峰」の山容を望めるはずが、やはり真っ白。分かっていましたけどね。

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せっかくここまで来たのなら、選ばれし者だけが頂戴できる黄金水を飲まない手はないです。
麗しき姫に乾杯!
下戸な僕はたちまち酔っ払います。

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すると、あれあれ。
まこと山の天気と女神心は移ろいやすい。
日暮れ間近、急に空が晴れ、菊理姫坐します美しき白山・御前峰、その山容が僕の目の前に現れたのです。
なんと神々しいその姿。
彼女が僕の前に姿を現したのは、わずか15分ほどでした。なかなかのツンデレさんです。
それにしてもやっぱり、

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オレって愛されてるじゃん!

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8件のコメント 追加

  1. 匿名 より:

    narisawa110
    おっと、後半から見たらww
    初日は晴れていたんですね。
    良かった良かった

    いいね: 1人

    1. 五条 桐彦 より:

      ガスった白山比咩もセクシーなんですがね、笑顔の彼女も見てみたい😊

      いいね

  2. まじょ より:

    ククリヒメさまー!15分間だけ、現れてくださったんですね。すごいです😆
    私は福井県出身なので、幾度も白山連峰を目にしていましたが、そんなに神々しく、そして険しい霊山だったとは…
    登山お疲れ様でした!黄金水で、乾杯🍻✨

    いいね: 1人

    1. CHIRICO より:

      まじょさんは福井の方でしたか。
      福井に越知山がありますが、そこに豊家と共に移住した越智族が白山に神を祀ったようです。
      以前食べた敦賀の魚も美味しかったです😋

      いいね: 1人

      1. まじょ より:

        越知族…恥ずかしながら知りませんでした!それを聞いて思い出すのはこの時期に美味しい「越前がに」で有名な「越前」ですね。
        地名や苗字にも日本の歴史が詰まっていて面白いですね😊
        冬の越前がには最高です!また訪れる機会があれば是非⭐︎😋

        いいね: 1人

        1. CHIRICO より:

          越前がには以前取り寄せて食べたことがありますが、冷凍物でしたので、採れたて食べたいですね😊

          いいね: 1人

  3. Nekonekoneko より:

    お…黄金水て🐥ヤバいで〜そのワードはヤバい🦑

    いいね: 2人

    1. CHIRICO より:

      菊理姫の黄金水🥂

      いいね: 2人

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