
「いらっしゃいませ。今日はカットとストパーでよろしいですね」
チョキチョキチョキチョキ✂︎✂︎✂︎
「ねえ、聞いてよ」
「はい、何でしょう」
「うちの娘ね、今日は朝から仕事だって言うのよ」
「なるほど、大変ですね」
「そうよねぇ、店開けるから出るようにって。こんな日にお客さんなんて来ないわよねぇ」
「✂︎・・・・・・」
来とるやろがいっ!



岐阜県飛騨市の「氣多若宮神社」(けたわかみやじんじゃ)にやって来ました。

鳥居の前には、まっすぐ車道が伸びています。
古来から信仰の厚い聖地であることを思わせます。

心地よい階段の参道は、

『君の名は。』の聖地となっています。

へー、そうなんだー。

階段の脇からは、飛騨郷の長閑な景色が広がっています。

氣多若宮神社の通称は「杉本さま」だそうですが、杉が多いからですかね。
とにかく心地よい神社です。

社伝によれば、創建の時期は不詳ながら、能登国一宮の氣多大社の分霊を勧請奉斎したことに始まるとされています。

祭神は大己貴神で、大国主のこととなっていますが、他に御子である「御井神」(みいのかみ)も合わせ祀られています。

氣多大神の御子神を祀るから、氣多若宮神社なのでしょう。となると、主祭神はむしろ御井神の方では。

御井神とは、島根・御井神社に祀られる神のことで、「木俣神」(きまたのかみ、きのまたのかみ、このまたのかみ)とも呼ばれます。
大国主と曳田・八上比売の間に生まれた子で、富家伝承では天稚彦・健葉槌の妻「下照姫」となります。

さらに気になるのがこの神紋。
恵比寿紋と呼ばれる「三つ蔓柏」に似ていますが、微妙に違いますね。なんだろ。
『君の名は。』では、主人公の瀧くんがヒロインの三葉ちゃんを探し求めてこの神社に立ち寄っていましたね。
そして三葉の神社の祭神が確か健葉槌。
新海誠、知ってて氣多若宮神社をモデルにしたんかいな。

飛騨一宮の水無神社が大国主を祀る御嶽山を神体とし、市杵島姫との娘・高照姫を祀る。
氣多若宮神社が八上比売との娘・下照姫を祀る。
何なのでしょうか、この飛騨と言う場所は。

日枝神社でふと思ったことですが、日枝とは稗田のことで、飛騨もそうなのではないでしょうか。

稗田氏(ひえだうじ)は天鈿女命の子孫・猿女君の末裔を称し、猿女君の本拠地は伊勢国と想定されています。
命を狙われた豊姫(豊来入姫)は鈴鹿の椿大神社に匿われますが、そこで刺客の手によって命を散らせます。
椿大神社は登美家の分家が社家となっており、サルタ彦を祀っていました。豊姫の死を憐れんだ人達はサルタ彦の妃神として、彼女を猿女君(さるめのきみ)として祀ったのです。

僕は猿女君の末裔という稗田氏が存在することで、豊姫は暗殺されたことにはされたが、実は生きていたのだと信じています。
彼女は愛する夫と共に子を儲け、幸せな余生を過ごしたのだと。
この稗田系の小野氏から語り部の仕事を受けついたのが綾娘子、かの柿本人麿の母親でした。
天才人麿は、母の語る歴史を7歳の頃には全て覚えてしまい、村人から神童と讃えられました。
彼は古事記において、稗田阿礼(ひえだのあれ)の名で記されることになります。

果たして飛騨は稗田に繋がるのか。飛騨に高照姫・下照姫の異母姉妹を祀ったのは稗田氏なのか。
毎年4月19日と20日の二日間は、国の重要無形民俗文化財に指定されている気多若宮神社の例祭「古川祭」が執り行われます。
この祭は、神社での神事、古式ゆかしい「御神輿行列」が中心となって、”動”の「起し太鼓」と”静”の「屋台行列」が二大祭事として加わり、三つの行事群により盛大な時代絵巻が繰り広げられるのだそうです。
いつか見てみたい、祭りの一つです。

