
夏の終わり、しかし秋はいつになったらやってくるのか。
宗像大島の先、遠く広がる水平線には、煌めく無数の白い影。

影は本土鐘崎へと流れ、

急反転。
こちら、宗像神湊へ進路を切ります。

キタ~!

宗像大社の最重要神事「秋季例大祭」(田島放生会)が、大船団のエンジン音と共に始まりました。

毎年10月1日~3日に行われる大祭の初日に行われるのが「みあれ祭」。

宗像近郊の7地区から集まった、竹に大漁旗を掲げた100艘とも200艘とも言われる漁船が、本土まで1時間かけて神幸を行います。

この祭りの起源は、神功皇后の朝鮮出兵に際し、宗像三女神(むなかたさんじょしん)の守護を受け、その加護のもと成功を治めて無事帰還したことによるとされます。
今では、国家の平穏、五穀豊穣と海上安全、大漁を感謝して行われます。

「みあれ」とは、「御生れ」「御阿礼」と書かれることもあり、神の誕生や降臨を指す言葉であるとのこと。

宗像大社で行われるみあれ祭は、“沖ノ島”にいる長女の「田心姫神」(たごりひめのかみ)と“大島”にいる次女の「湍津姫神」(たぎつひめのかみ)の神璽(しんじ・神のみたま)を、九州本土の辺津宮までお運びし、三女の「市杵島姫神」(いちきしまひめのかみ)と合わせて三女神が再会し、その力を高める神事となっています。

やがて船は、海上に浮かんでいるブイのあたり、

そこで旋回を始めます。
これは女神が乗る御座船を中心にほかの船がまわり、賽銭を投げ神に感謝を伝えているのだそうです。

なるほど、よく見てみると、大漁旗とは別に、幟旗をあげている船が2艘あります。

これは御座船(こざぶね)といい、船上には、神璽を乗せた輦台(れんだい・みこし)の姿が見えます。

それにしてもなんと勇ましい祭りだことか。
孤島の姫君も、粋な計らいに”じゅん”ときていることでしょう。



さて、神湊に着いた神璽は祝詞の奏上を受け、

軽トラに乗って移動します。

サヨナラ~。

僕は、本来神璽がこの後向かうべきであった「宗像神社頓宮」へ向かいます。

近年まで、みあれ祭の際には神璽は一度ここへ立ち寄り、神事が執り行われていました。
それはとても重要なことだったのですが、祭事簡略化のためか、今は行われなくなっています。

丘の上に登ると、神璽を運んだ御座船が、ちょうど去って行くところでした。
グッバイ・シーユーアゲイン。

この頓宮は古くは「綱掛神社」と称していました。
それは、神の乗った船を岸につけるため、綱を掛けた聖地だったから、その名がついたと思われます。

今、この綱掛神社は麓に「津加計志神社」(つかけしじんじゃ)として遷されています。
みあれ祭において当地が重要な理由は、ここに本来、「吾田片隅命」(アタカタス)と市杵島姫が祀られていたからです。
宗像の三姉妹の御魂は、父のいるこの草崎山で揃うことになり、新たな神威を得て、再生復活するはずだったのです。

アタカタス王の名は宗像でもほぼ見かけることはなくなってしまいましたが、彼こそが最も敬われるべき宗像族の祖神であると、出雲王家の末裔に伝えられます。
故に古文書では当地を「古宮様」と記し、地元古老は、当地が宗像大社辺津宮の元宮だと言い伝えているのです。



宗像大社辺津宮に車を走らせていると、ちょうど陸上神幸に出会いました。

軽トラで移動した神璽・輦台は、その後、辺津宮までの沿道の一部を市民団体や玄海小学校の児童などで編成された神輿行列によって運ばれます。

10月とはいえ、この日の気温は27度ほど。暑そ。

この陸上神幸もかつては、神湊からずっと歩いて行われていたことでしょう。

数少なくなってきた、のどかな光景を、先の代まで残し伝えてほしいものです。

辺津宮に到着すると、神璽は輦台から神職の手に移され、本殿に安置されます。

こうして三姉妹の女神は一堂に会し、入御祭が執り行われます。

お二人が乗ってきた輦台がこちら。
田心姫と湍津姫は、出雲王家に輿入れされた方でもありますね。

神前には、新鮮な魚が献上されていました。

みあれみくじ、するよ~。

何が当たるかな~♪

小吉でした。

お昼時だったので、宗像の隠れた名店「三日月庵」さんを訪ねました。

ここは月曜日定休なので、なかなか来れないんだよね。
名物は浅利うどんですが、

今回は茶碗蒸しと小うどん、それに一番人気の海鮮天丼で大満足です。
天丼は穴子・小えび・キス・ふぐ・帆立・烏賊ゲソ・野菜天の大ボリュームでなんと1,350円。
宗像近辺は、観光客増加に伴って値段の割に盛りが少ない店が増えましたが、ここは間違いなしのおすすめです。

陸の阿礼祭に対して、海の阿礼祭の様な気もしますね。
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海阿礼で”みあれ”、確かに🤔
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narisawa110
ttp://kamnavi.jp/as/kakijinja.htm
人麿を祀る神社は九州になると極端に少なくなるんですね
でもちゃんと宗像大社にも摂社として鎮座していました
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太宰府天満宮にもあります😊
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昨日みあれ祭のニュースを見て「みあれ」ってなんだろうと思っていたので、タイムリーなブログありがとうございます。
今月社員旅行で福岡に行くんですが、こんな勇壮なお祭りがあるならプライベートでいずれ行きたいです。
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こんにちは。
みあれ、なんとも趣深い言葉ですよね😌
社員旅行で福岡ですか。福岡で観光するところとか、あまりありませんが。
福岡で勇壮なお祭りならば、有名な山笠とみあれ祭、あと久留米大善寺玉垂宮の鬼夜がおすすめです。
みあれ祭に行かれる時はまたお知らせください。あえて記事にしなかった、おすすめの観覧スポットをお教えいたします。
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🐥天丼の天麩羅の素材が豪華ですな…その値段でこの内容、これは満足しますなぁ🐣
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🐡フグも乗ってますし、穴子のなんとでかいこと。
お店はん、赤字でんな🐟
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