宗像大社 中津宮(筑前大島):八雲ニ散ル花 海祇ノ比賣巫女篇 02

投稿日:

p5260085-2017-07-12-09-30.jpg

宗像大社辺津宮から車で10分走ると神湊(こうのみなと)に着きます。
そこからフェリーで20分、玄界灘7kmの沖合にある筑前大島へと渡りました。
世界遺産に制定された「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」において、最も注目を浴びているのは沖ノ島ですが、大島も負けず劣らず魅力的な島です。
沖ノ島は原則訪れることができませんが、大島は気軽に行くことができます。
ちなみに、沖ノ島の写真などは、撮影可能な範囲の写真も個人の記念としての撮影に限られていますので、パスワード保護による限定公開とさせていただきました。
興味がある方は、”omouhana”からどうぞ。

p2115383-2017-07-12-09-30.jpg

7.17km²の大島は、福岡県最大の面積の離島です。

p5260095-2017-07-12-09-30.jpg

その大島を特別なものとしているのが、島内に鎮座する宗像大社「中津宮」でしょう。

p2115273-2017-07-12-09-30.jpg

港に着いて左手に少し行くと「中津宮」があります。
宗像三女神の二女「湍津姫命」(タギツヒメノミコト)を祀る神社になります。

p5260002-2017-07-12-09-30.jpg

参道にある玉砂利は薄紫に白い小さな斑点のある変わったもので、大島の海岸ではたくさんこの玉砂利を見つけることができます。

p2115275-2017-07-12-09-30.jpg

参道の脇には「天ノ川」とありました。

p5260006-2017-07-12-09-30.jpg

この小さな小川がそうなのでしょうか。
この天ノ川の向こうにあるのは、

p2115282-2016-01-3-04-42-2016-01-3-04-42-2016-01-2-19-42-2017-07-12-09-30.jpg

織女神社。
ここは「七夕」発祥の伝説も伝わります。

p2115284-2017-07-12-09-30.jpg

優しい陽光につつまれる織姫が見つめるその先には

p5260050-2017-07-12-09-30.jpg

境内の外にある「牽牛神社」。

p2115268-2017-07-12-09-30.jpg

参道を一度出て横に「蛭子神社」(えびすじんじゃ)がありますが、

p2115270-2017-07-12-09-30.jpg

その一番奥に牽牛が佇んでいます。

p2115288-2017-07-12-09-30.jpg

【 筑前大島天の川伝説 】
昔、ある貴公子が唐の国から織女を伴って帰国の途中、深い恋仲となりました。
それは儚いかりそめの縁で、二人は日本に着いて離ればなれになります。
それから貴公子は織女を想い日々を過ごしましたが、ある夜、夢枕で神のお告げを受けます。
貴公子は筑前大島の中津宮に来て、神仕えの身になりました。
貴公子が 天の川にたらいを浮かべると、水鏡には織女の姿が映り、逢瀬を交わしたということです。

旧暦七夕の日に近い8月7日にここで、鎌倉時代から続く七夕祭りが行われます。

p2115289-2017-07-12-09-30.jpg

再び参道に戻ります。

p5260009-2017-07-12-09-30.jpg

天然石の見事な手水舎。

p5260011-2017-07-12-09-30.jpg

石段を登り、

p5260013-2017-07-12-09-30.jpg

爽やかな風が吹く神門に至りました。

p2115291-2017-07-12-09-30.jpg

愛嬌のある狛犬が迎えてくれます。

p5260015-2017-07-12-09-30.jpg

古代出雲王家の血を引くと云う吾田片隅の次女、「湍津姫」の神殿。

p5260017-2017-07-12-09-30.jpg

湍津とは「水が激しく流れる」という意味があるそうです。

p5260018-2017-07-12-09-30.jpg

その名とは反して、ここはとても穏やかな雰囲気です。

p1020181-2017-07-12-09-30.jpg

掃き清められた美しい境内。

img_6234-2016-01-3-04-42-2016-01-3-04-42-2016-01-2-19-42-2017-07-12-09-30.jpg

社務所の横に「天真名井」に通じる階段があります。

p5260020-2017-07-12-09-30.jpg

亜熱帯の森のような小道の先に

p5260025-2016-01-3-04-42-2016-01-3-04-42-2016-01-2-19-42-2017-07-12-09-30.jpg

霊泉「天真名井」(あめのまない)があります。

p5260029-2017-07-12-09-30.jpg

記紀によると、「天真名井」はアマテラスとスサノオの誓約(うけい)の際、アマテラスが十握剣を噛み砕く時に使った御神水であると云います。
また天孫降臨において、邇邇芸命に付き従い、地上に降りる神の一柱にその名がみえます。

p5260042-2017-07-12-09-30.jpg

記紀では宗像三女神は上記の誓約の時に生まれましたので、天真名井は三女神の産湯の神であるとされています。

p5260033-2016-01-3-04-42-2016-01-3-04-42-2016-01-2-19-42-2017-07-12-09-30.jpg

しかし斎木雲州著の「出雲と大和のあけぼの」の中で、元伊勢と伝わる「籠神社」の奥宮「真名井神社」へ来訪時、地元の古老は、「真名」とはイスラエルの民がシンの荒野で飢えた時、神がモーゼの祈りに応じて天から降らせたという「マナ」(Manna)に由来すると伝えています。

p1020174-2016-01-3-04-42-2016-01-3-04-42-2016-01-2-19-42-2017-07-12-09-30.jpg

マナとは一体何なのか、諸説ありますが、神が作った超自然的なものだとされ「これは何だろう」を意味するヘブライ語「マナ」と呼ばれるようになったとしています。

p1020177-2016-01-3-04-42-2016-01-3-04-42-2016-01-2-19-42-2017-07-12-09-30.jpg

その外見は「露が乾いたあとに残る薄い鱗もしくは霜のよう」だと云い、「コエンドロの実のように白く、蜜を入れたせんべいのように甘い」とされています。
気温が上がると溶けてしまい、必要量のみの採取が許され、余ってもすぐに腐敗して悪臭を放つようになると伝わります。

p2115313-2016-01-3-04-42-2016-01-3-04-42-2016-01-2-19-42-2017-07-12-09-30.jpg

出雲王族の子孫が伝える史実では、湍津姫はもとより、三姉妹とも実在の人物であり、天真名井や誓約に関係なく、出雲王の血族「吾田片隅」(アタカタス)の子としてこの世に誕生したと伝えています。
美しき次女の湍津姫は、古代出雲王国の8代目の王、「大国主」として語り継がれるその名も気高き「八千矛王」(ヤチホコ)の妻となります。

p2115315-2017-07-12-09-30.jpg

b_ornament-2017-07-12-09-30.jpg

p2115316-2017-07-12-09-30.jpg

神社裏手から中津宮の奥宮があるというので登ってみます。

p2115318-2017-07-12-09-30.jpg

20分ほどの登山ですが、なかなかの勾配。

p5260061-2017-07-12-09-30.jpg

苦労して登った先は絶景が待っていました。

p2115328-2017-07-12-09-30.jpg

うっすら彼方に、かの「沖ノ島」を望むこともできます。

p5260066-2017-07-12-09-30.jpg

そこに鎮座する奥宮「御嶽宮」。

p5260067-2016-01-3-04-42-2016-01-3-04-42-2016-01-2-19-42-2017-07-12-09-30.jpg

ここからも「沖ノ島」に似た祭祀遺跡が発掘されたそうです。

p5260068-2017-07-12-09-30.jpg

小ぶりながらも神々しい拝殿。

p2115325-2017-07-12-09-30.jpg

ここも清らかな風が吹いています。

p2115330-2017-07-12-09-30.jpg

御嶽宮から島の反対側に下って行くと、

p2115335-2017-07-12-09-30.jpg

砲台跡が見えてきます。

p2115336-2017-07-12-09-30.jpg

戦時中はここから敵船を撃っていたのでしょう。

p2115337-2017-07-12-09-30.jpg

今はのどかな草原と化しています。

p2115338-2017-07-12-09-30.jpg

その先に見える風車小屋。

p2115342-2017-07-12-09-30.jpg

陽気な空に素朴な風車が似合います。

p2115349-2017-07-12-09-30.jpg

爽やかな潮風を受けて、

p2115356-2017-07-12-09-30.jpg

そこから西へ歩いていきます。

p2115358-2017-07-12-09-30.jpg

岬が見えてきました。

p2115359-2017-07-12-09-30.jpg

さすがにこのあたりの海は荒々しいです。

p2115361-2017-07-12-09-30.jpg

「湍津姫」の一端を表すかのように、
激しい波が打ち寄せています。

p2115360-2017-07-12-09-30.jpg

それもまた美しい。

p2115362-2017-07-12-09-30.jpg

ここにあるボコボコとした穴のある大岩は「馬蹄岩」(ばていいわ)と呼ばれています。
「田心姫命」(タゴリヒメノミコト)はここから神馬に跨り、沖ノ島へと飛び立ったそうです。

p2115363-2017-07-12-09-30.jpg

その時ついた蹄跡がこのぼこぼこというわけです。

p1020184-2016-01-3-04-42-2016-01-3-04-42-2016-01-2-19-42-2017-07-12-09-30.jpg

そこから低木のトンネルを抜けていくと

p2115368-2017-07-12-09-30.jpg

灯台にでます。

p2115372-2017-07-12-09-30.jpg

灯台をさらに西に下っていきます。

p1020213-2017-07-12-09-30.jpg

人気のない細い道を行くと

p1020217-2017-07-12-09-30.jpg

階段が。

p2115374-2017-07-12-09-30.jpg

その先にある洞窟。

p1020219-2016-01-3-04-42-2016-01-3-04-42-2016-01-2-19-42-2017-07-12-09-30.jpg

「三浦洞窟」と呼ばれるそこには、キリスト教弾圧が厳しかった頃、キリスト教神父が隠れ住んでいたそうです。

p5260056-2017-07-12-09-30.jpg

そのずっと西にポルトガル人漂着の地という場所がありました。
このポルトガル人が神父だったのでしょうか。

p5260059-2017-07-12-09-30.jpg

そこは夫婦岩を彷彿とさせる岩が見えます。

p5260070-2017-07-12-09-30.jpg

逆に島の東側へぐっと横断すると

p5260073-2017-07-12-09-30.jpg

流人の生活跡という場所がありました。

p5260083-2017-07-12-09-30.jpg

日本画に出てきそうな、美しい場所です。

p5260075-2017-07-12-09-30.jpg

とても綺麗な海。

p5260080-2017-07-12-09-30.jpg

大島の外れにあるこの場所は、人もあまり訪れないようです。

p5260081-2017-07-12-09-30.jpg

流刑の人たちは、ここで何を想ったか。

b_ornament-2017-07-12-09-30.jpg

p2115378-2017-07-12-09-30.jpg

そして「沖津宮遥拝所」(おきつみやようはいじょ)に着きました。

p5270769-2017-07-12-09-30.jpg

なかなか渡ることの叶わない「沖ノ島」はここからお参りするのが一般的となります。

p5270759-2017-07-12-09-30.jpg

丘の上に立ち、神宿る島を遥拝するだけでも、十分に大自然の神威を受けることができます。

p5270765-2017-07-12-09-30.jpg

最後に訪れたのは港の近くにある「夢の小夜島」(ゆめのさよじま)。

p2115391-2017-07-12-09-30.jpg

「浜千鳥 声うちそへて おほしまの 波の間もなく 誰を恋らん」
連歌師宗祇が筑紫道中記の中で歌っているのが、この島だそうです。

p2115389-2017-07-12-09-30.jpg

赤い鳥居のあるこの島は「小夜嶋神社」が祀ってあります。
普段は海中にある神社ですが、干潮時はこのように渡ることができます。

p2115390-2017-07-12-09-30.jpg

美しい海に浮かぶ姿もまた情緒があります。

p5260106-2017-07-12-09-30.jpg

0516e5ae97e5838fe5a4a7e7a4bee4b8ade6b4a5e5aeae-2016-01-3-04-42-2016-01-3-04-42-2016-01-2-19-42-2017-07-12-09-30.jpg0517e6b296e6b4a5e5aeaee980a2e68b9d-2016-01-3-04-42-2016-01-3-04-42-2016-01-2-19-42-2017-07-12-09-30.jpg

7件のコメント 追加

  1. 清水 公隆 KIMITAKA SHIMIZU より:

    五条さま

    『宗像大社 沖津宮(沖ノ島):八雲ニ散ル花 海祇ノ比賣巫女篇 01』を閲覧させて頂きたいので、
    もし宜しければパスワードをお教え願えますでしょうか?

    いいね: 1人

    1. CHIRICO より:

      これは大変失礼しました。
      当稿の冒頭にパスワードは記してありますが、「omouhana」です。
      特別出し惜しみしているわけではないのですが、検索などの対策で制限させていただいております。

      いいね: 1人

      1. 清水 公隆 KIMITAKA SHIMIZU より:

        あっ、そうでしたか!

        承知いたしました。ご連絡くださり、ありがとうございました。

        わたしは宗像の女神さまたちが好きで、福岡へ帰省した際は必ず宗像大社へ詣ります。

        思い過ごしかもしれませんが、一度、窮地を御助けくださったと信じています😅

        いいね: 1人

        1. CHIRICO より:

          宗像大社は良いところですね。行かれてあるでしょうが、高宮斎場にもぜひ足をお運びください。
          あと沖ノ島を体感できる場所として盾崎神社はおすすめです。神社の奥へ、崖沿いを歩いていくと、沖ノ島に似た磐座祭祀を感じることができます。

          いいね: 1人

        2. CHIRICO より:

          たてざき、の漢字を間違っておりました。
          下記の記事です。後ほど写真を追加してリライトしておきます。

          https://omouhana.com/2020/07/14/楯崎神社::海祇ノ比賣巫女%E3%80%8004/

          いいね: 1人

          1. 清水 公隆 KIMITAKA SHIMIZU より:

            朝のお忙しい中、詳しくご紹介して頂きありがとうございます。

            紹介してくださった神社などは帰省の際にお立ち寄りさせて頂こうと思います。

            それからわたしも誤字がありました。『思い過ごしかもしれま〈せ〉んが』と記述するところを『思い過ごしかもしれま〈す〉んが』としてしまいました。

            性分で凄く気になります。。。

            最近、五条さまのブログを頻繁に読んでいます。美しい写真と流麗な文章に浸っております。

            いいね: 1人

          2. CHIRICO より:

            (笑)誤字は一応、こちらで訂正させていただきます。性分、僕もそうなのでよくわかります。
            楯崎の磐座祭祀跡の写真を数枚追加しました。場所は津屋崎の先の方です。小さな駐車場もあります。

            いいね: 1人

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください