白川稲荷大明神（九州三大稲荷）：常世ニ降ル花　白王素月篇　02

大分県杵築市大田に、九州三大稲荷の一社を謳う「白川稲荷」があるというので行ってみました。
そこは、思った以上にぶっ飛んだ場所だったのです。

九州三大稲荷というほどですから、行けばすぐに分かるやろ、くらいな気持ちでいましたが、これが大間違い。
辺鄙も辺鄙、すんごい山奥の、辺鄙な場所にありました。

まだ車で登れそうですが、やめておきます。
無理に突っ込んで、死ぬ思いをしたこともしばしばあるからです。

当社案内板によると九州三大稲荷は、佐賀の「祐徳稲荷神社」と大分竹田市の「扇森稲荷神社」（狐頭稲荷）、それにこの「白川稲荷大明神」となるようです。

幸い、駐車場から参道入口までは近い距離にありましたが、階段。。。

由緒書の彫られた石碑をチラリと見つつ、登ります。

ヒ～っ。。

なにやらモビルアーマー的なお狐様が睨んでおられます。

ちなみに「〇〇三代〇〇」というのは結構いい加減で、言ったもん勝ちみたいなところがあります。
調べてみると、祐徳・扇森の他にも、大分県日田市の「萩尾稲荷神社」、熊本市の「高橋稲荷」、福岡県太宰府市の「石穴稲荷神社」などが名乗りをあげているようです。

最近お稲荷さんフェチな僕ですので、コンプしてみるか。

ヒーヒーいいながら階段を登ってくると、少し開けた場所がありました。車でここまで登ってこれるようです。

ようやく着いたー。

出迎えてくれたのは、おお～立派な磐座。

ここは古代の祭祀跡で、弥生時代の土師器が出土しているそうです。

すんごい重量感。

爬虫類の頭部を思わせる、シワシワな岩。

この辺から土師器が出てきたんですかね。

お社は2社あります。

扁額はこちらも白川稲荷となっていますが、祭神はどうなっているのでしょうか。

稲荷山巨石群と言うだけあって、あたりは巨石がごろごろあります。

これ、わざわざ乗っけているよね。

さて、白川稲荷といえば、福岡県春日市のアレが気になります。

白川伯王家ゆかりのアレですね。

白川伯王家は江戸時代まで、天皇家の宮中祭事を司ってきた家だと言われています。

特に、天皇の代替わりの際に行われる「祝神事」が重要で、秘儀とされてきました。
白川家は、花山天皇の皇孫の延信王（のぶざねおう）が源姓を賜り、臣籍降下して神祇官の長官である神祇伯に任官したことに始まるとされます。

それ以降、子孫が神祇伯を世襲するようになったために「伯家」と、また、神祇伯に就任してからは王氏に復するのが慣例であったことから「白川王家」とも呼ばれたといいます。

「王」の身位は天皇との血縁関係ある者にのみ付けられる呼称であり、臣籍（非皇族）でありながら、王号の世襲を行えたのは白川家のみに見られる特異な事例だそうです。

しかし白川伯王家は明治維新によって天皇家から廃され、断絶してしまいました。
ネットの情報では、我こそは伯家神道の後継者という方々がいたりいなかったり、いたりしますが、本当かどうかは知りません。

ともあれ、僕の興味は正統としての白川伯王家の本質にあります。
天皇の代替わりの神事とは、天岩戸の太陽神生まれ変わりに通じるものがありますし、阿知女作法とか関係ありそうですよね。

あの霊峰・白山の麓に、白川の郷があるのも偶然でしょうか。
青龍窟そばの白山多賀神社や國崎八幡神社のある場所も白川地区で、太宰府の朝近神社跡地も白川です。
白川家と、あの変若水（おちみず）に関わる一族には関連があるのではないか、と思いたい僕がいるのです。

そして今回、この白川稲荷大明神を訪ねた最大の理由、それは情報通の例のあの方から教えていただきました。
参道入口にあった、由緒書の石碑です。
丁寧に、綺麗な文字でくっきりと彫られています。
そこに

「白川（皮）稲荷大明神」と、わざわざカッコをつけて刻み込まれているこの一文。とても気になります。
白川には、白皮と言う意味が隠されており、白川大明神とはつまり肌が白い何某かであると言わんばかりの文言です。
稲荷の神体は白蛇ですので、「白い皮の蛇」を意味しているのかもしれませんが。

言われてみれば、ここの磐座は、どれも爬虫類的な風貌をしている気がしますし、岩肌はどことなく白っぽいと感じなくも、なくもなくない。
ですがが、僕の脳裏には、同時に徳島の剣山の麓にあった、謎の神社「白人神社」が思い浮かびます。

白川稲荷大明神の上の駐車場付近にある案内板にも（皮）が書かれています。
この（皮）はやはり、敢えて書き記しているということです。

石碑の文言を読み取りやすく画像修正しました。
「白狐穴居し故に」とありますので、「白い皮の狐」を祀った、だから白川（皮）大明神という意味でしょうか。
しかしそれなら、わざわざ皮の字を川に置き換えなくても良いような。白い皮（肌）の、公然と知られると不都合な何某かの存在があったのではないでしょうか。
白川稲荷大明神の信仰は、古代磐座祭祀から発展した事は明らかですが、その神がどこからの勧請されたのかは不明です。
ひょっとすると春日のあの神社が元宮かもしれません。