糸島市で一際高くそびえる雷山、
その中腹にある「雷山千如寺大悲王院」(らいざん・せんにょじだいひおういん)は、真言宗大覚寺派の古刹です。
成務天皇の時代ににインドから渡来した清賀上人という僧が開創したそうです。
車で登ってこれますが、その道は急カーブが続きます。
門の横に入り口があります。
そこに見える大きな楓。
千如寺の見所のひとつがこの樹齢400年の大楓。
福岡藩主黒田継高により、寺院開山記念として植樹されたものと伝えられています。
新緑も清々しく、とても美しいですが、紅葉の頃が絶景だといいます。
境内を進むと封鎖された石段の上に楼門がありました。
仁王の姿が勇ましいです。
その先に本堂「大悲王院」があります。
扁額に千如寺の文字。
やさしげな御本尊様の顔が覗いていました。
本堂の奥は苔むして緑に染まっています。
聖天堂を過ぎて
登った先にあるのは観音堂です。
観音堂へは境内入口にある「宝物殿」「客殿」からも行けます。
入ってすぐにあるのは地獄図です。
しっとりとした心字池も楽しめます。
暖簾のかかった廊下を通り過ぎ、
大楓も裏から眺められます。
この先の観音堂を拝観するには400円が必要ですが、
それを見ずに帰れば、後悔することになるでしょう。
観音堂の中には本尊の十一面千手千眼観世音菩薩像 (じゅういちめんせんじゅせんがんかんぜおんぼさつぞう)が鎮座します。
それは高さ4.6mもの立像で、清賀上人が1本の白椿から作ったと云われています。
頭部に十一面、本体に四十二本の手、光背に千の手があり、千の慈眼・慈手で人々を救います。
その観音像は撮影不可なので、実際に見ていただく他ありませんが、慈愛と迫力に満ちた素晴らしい観音像です。
「十一面千手千眼観世音菩薩像」を見終われば、ぐるりと裏に回って「開山堂」に向かうことにします。
侘びた廊下を進みます。
その左側には
ずらりと五百羅漢像が並びます。
敬虔な気持ちで進みます。
開山堂の前に鐘がありました。
開山堂の中はとてもきらびやかです。
ふとお堂の裏手に目をやると
遠くに立派なお墓が見えていました。
観音堂を出て、護摩道場に向かいます。
ひろびろとした護摩道場。
その先には雷山上宮を遥拝していました。
ふと帰り道、見過ごしてしまいそうになるのが「風穴」です。
伝説によれば、志摩町の芥屋大門に続いているといいます。
清賀上人が風の神を封じた跡だという話です。
この下に風神がいるのでしょうか。
雷山千如寺大悲王院は、九州でも指折りの素晴らしい寺院です。
足を運ぶ価値は十分にありました。