お遍路始めました。
と言いましても、なんちゃってお遍路。
車でぐいぐい走って周る、あまり信心深くないタイプのお遍路なのですが。
四国八十八箇所霊場の第一番札所、「竺和山 一乗院 霊山寺」(じくわさん いちじょういん りょうぜんじ)です。
八十八箇所霊場巡りの「発心門」となるこの寺院では、お遍路に必要なものが全てそろう売店も準備されており、丁寧な巡拝ガイド本も用意されています。
仁王門の手前にはお遍路スタイルの美しいお嬢さんがいらっしゃいました。
スタンダードなお遍路スタイルは、「菅笠」(すげがさ)に「白衣・白装束」(はくえ・しろしょうぞく)、「金剛杖」(こんごうづえ)、「数珠」(じゅず)、「頭陀袋」(ずだぶくろ)、「輪袈裟」(わげさ)などを纏った姿となります。
全てのアイテムに意味が込められていますが、中でも金剛杖は弘法大師が宿るものとして大切にされ、お遍路には欠かせない品となっています。
また大師は遍路中、橋の下で野宿したことから、橋の上で杖をつくのは禁忌とされています。
菅笠には、常に弘法大師と二人旅という意味の「同行二人」の文字が書かれており、修行中は笠をかぶったままで礼拝し、お堂の中や僧の前でも笠はとらなくてよいこととなっています。
白衣は背中に「南無大師遍照金剛」と書かれ、身につけるものと御宝印(御朱印)を押してもらう「判衣」というものの2着があります。
判衣は、着用したり洗ったりせず、八十八か所の印をいただいたものは、冥土へ旅立つ晴着としてお櫃に入れられます。
首にかける帯状の輪袈裟は、簡易式の法衣にあたり、袈裟を外出用に簡略化したものとして着用します。
数珠は真言宗用のものを使うのが正式。
数珠をすり合わせる行為には煩悩をすり減らすという意味があります。
これらの遍路アイテムを一切購入しなかった僕は、御朱印帳に当たる「納経帳」と「御影帳」だけを買い求めました。
全く不信心なものです。
せめて金剛杖くらい求めればいいのに。
しかし真面目にお遍路をなさっている方に、誠にもって不敬ながら、僕はお遍路への情熱をいささか失ってしまっているのです。
かつては自分の足で八十八箇所を歩いて巡るのが夢だとまで、思っていたのですが。
「納経帳」(のうきょうちょう)は一般の御朱印帳よりもひと回り大きく、中の紙はやや上等なわら半紙みたいな感じです。
端に1~88番までの番号が振ってあるので、順不同で巡ったとしてもきちんと並びで朱印を押してもらえます。
御影帳には納経所でいただける御本尊の御姿をファイルするためのものです。
御姿は本尊の分身だそうで、大切に保管しないといけないものなのだそうです。
また、納経帳と同じく朱印を押してもらう「納経掛軸」なんてのも人気です。
お遍路での各寺院での作法は次の通りです。
・山門の前で本堂に向かって一礼。
・手水舎で手口を清める。
手水の手順は神社に同じ。
ここで衣服をととのえ、輸袈裟をかけて数珠を手に持ちます。
・可能であれば鐘楼の鐘をつく。
近年は禁止されている寺院もあるので注意が必要です。
また帰りがけにつく鐘は「戻り鐘」といって縁起が悪いのだそうです。
各寺院で必ず参らなくてはならないのは「本堂」と「大師堂」。
・まず本堂でろうそくと線香3本を立てる。
火はすでに灯っている他のろうそくなどから移してはいけません。
これは他人の業や厄を受け取ってしまうことになるからです。
・納札・写経を納札箱におさめたのち、お賽銭をあげてから読経する。
納札(おさめふだ)とは、巡礼のあかしとしておさめる短冊状の紙の札のことです。
日付や氏名、住所、願い事などを書き入れます。
巡礼の回数によって色が異なり、1~ 4回目は白札、5~ 7回目は緑札、8~ 24回目は赤札、 25~ 49回目は銀札、 50~ 99回目は金札、そして100国以上になると色あざやかな錦札を使うのが通例です。
納札はこの他、他のお遍路さんと交流があった時、地元の方のお接待を受けた時の名刺代わりにもなります。
読経の順序は次の通り。
・数珠を三回擦って合掌
・「開経偈」(かいぎょうげ)を唱える
・「懺悔文」(ざんげもん)を唱える
・「三帰」(さんき)を3回唱える
・「三竟」(さんきょう)を3回唱える
・「十善戒」(じゅうぜんかい)を3回唱える
・「 発菩提心真言」(ほつぼだいしんしんごん)を3回唱える
・「 三摩耶戒真言」(さんまやかいしんごん)を3回唱える
・「 般若心経」(はんにゃしんぎょう)を唱える
・「 本尊真言」(ほんぞんしんごん / 各寺の御本尊の真言)を3回唱える
・「 光明真言」(こうみょうしんごん)を3回唱える
・「大師宝号」(だいしほうごう)を3回唱える
・「回向文」(えこうもん)を唱える
・祈願する(願い事を祈る)
・数珠を三回擦って、合掌
この時、般若心経と十三仏の真言が書かれた「経本」(きょうほん)があると便利で、読経の際に鳴らす「持鈴」(じれい)があるとより良いです。
持鈴の鳴らし方は、読経前に2音、経文、真言のあとに1音、最後の経文終了時に2音が正式とされます。
本堂での作法を終えたら、今度は大師堂へ向かいます。
大師堂はその名の通り、弘法大師を祀ったものです。
大師堂でも本堂と同じように読経、礼拝を行いますが、本尊真言を唱える必要はありません。
これらを終えた後、納経所に行き朱印を押してもらいます。
各寺院の納経時間は午前7時~午後5時までと決められていますので、時間内で終えるように注意が必要です。
最後に山門を出るときも、本堂に向かって一礼して次の札所(寺院)へ向かいます。
以上がお遍路における一通りの作法となりますが、何せ不信心なもので、間違っていない保証はありません。
実際に赴かれる場合は、もっと詳しいサイトでのご確認をお勧めします。
ところで寺院、神社もそうですが、それらを巡っていて、時に違和感を感じる瞬間があります。
日本人は神仏に対して異を唱えることに抵抗がありますので、誠に申し訳ないのですが。
当院ではこれでした。
放生池の中の6体の童子が地蔵菩薩を祈っている像です。
これの何が変なの?って思われるかもしれませんが、この異様な光景、僕には、端的に言うと、生理的に気持ち悪いのです。
そんなことを感じることが日常的にもあります。
やたら同じフレーズを繰り返すだけのお笑い芸。
やたら同じ動作を繰り返すだけのTik Tok。
目だけを異様に大きく写すプリクラ。
なぜヒットするのか分からない渚のシンドバッド。
やたらジェンダーレスを持ち上げる風潮。
Matt化。
etc.
もう、なんか書いているだけで気持ち悪い。
これは僕がおっさんになったからそう感じるのか。
そうかもしれませんが、年を重ねることによって、より世界の違和感に敏感になったのではないかと思っています。
とはいえ、この霊山寺の本堂はとても素晴らしいものでした。
本尊は「釈迦如来」であり、本尊真言は「のうまくさんまんだ ぼだなん ばく」となります。
ご詠歌「霊山の 釈迦の御前に めぐりきて よろずの罪も 消えうせにけり」
ご詠歌とは真言がサンスクリット語の音を、そのまま「ひらがな」にしたものであるのに対し、仏教の呪文「陀羅尼」(だらに)を和歌として親しみやすく結びつけたものだそうです。
寺伝によると当院は、奈良時代の天平年間(729年 – 749年)に聖武天皇の勅願により、行基によって開創されたとしています。
また弘仁6年(815年)に弘法大師・空海がここを訪れ、21日間(三七日)留まって修行したと伝えられます。
本堂の奥殿には空海作と伝わる秘仏の釈迦如来が収められています。
本堂にて合掌した後、立ち去ろうとした僕を寺院の方が呼び止めてくださいました。
「上をご覧になりましたか?」
慌てて上を見上げると、素晴らしい龍の絵が描かれています。
御本尊はNGですが、天井絵は撮影もどうぞとのことでしたので、シャッターを切らせていただきました。
大師堂にもご挨拶させていただきます。
不信心な僕でも、ご挨拶はしないと礼に反してしまいます。
当院は天正年間(1573年 – 1593年)に長宗我部元親の兵火で、また明治24年(1891年)の出火で、本堂と多宝塔以外が焼失。
その後は往時の姿を取り戻し、今では一番札所としてふさわしい風格を有するに至っています。
一部に失礼な発言を致しましたが、霊山寺でお勤めの皆さんはとても親切で、敷居が高いと感じていた四国八十八箇所霊場巡りを優しくサポートしていただけます。
八十八箇所を一巡し終えた時は再び当寺に参拝し、もう一度納経すると満願証明書(賞状)を有料で書いてもらうことができるのだそうです。
お遍路さんも良いですが、霊山寺、後方の朝山比古神社へは行きました?
興味深い神社沢山ありますよ。出雲の人達が移り住んだのでしょうね。
今年の初めまでは、等彌神社へ行き、その後、伝承を知るまでは日本の始祖は『忌部氏』なのでは?と阿波を攻めてましたが(笑)、矢張り本物じゃないと行き詰まりました。
私は、それplusテレビに出ている人が使う目上の人に対するタメ口が堪らなく嫌です。
チャンネル変えます(笑)
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こんにちは、NOKANANさん。
大麻比古神社は行きましたが、なるほど、大麻は朝山でしたか。
貴重な情報です、ありがとう。
四国は圧倒的に情報不足でして、とりあえずお編をを巡りつつ、目についた気になったところを回ってみようと言う算段です。
面白そうなところご存知でしたら、お教えいただけると嬉しいです!
八倉比賣神社ってところに行ってみましたが、とても面白いところでした。
これから考証してみようと思っています。
金比羅山があるように、四国も出雲王国圏だったと聞き及んでいます。
なので忌部氏も移り住んでいた可能性はありますが、やはり本流ではないでしょう。
でも面白そうなので、僕も阿波忌部氏について、ちょっと調べてみたいと思います。
もう、なんだかテレビはダメですね。
質が低すぎです。
最近では報道ニュース番組でも、アイドルや芸人が司会やコメンテーターをやるのが普通になってきています。
日本はとっくにおかしくなってしまっていたのですが、最近はそれがさらに酷く、これからはもっと酷くなっていくということのようです。
愚かしいことですね。
実は四国も、いろいろとちょっとおかしくなってきているという情報を得て、これまで楽しみにしていたお遍路も情熱を失いかけてます。
実際に少し回ってみた印象は、皆親切で、気持ちの良い旅でしたが。
出雲人が築いたまほろばが穢されていく様を見るのは切ないですね。
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大人が悪すぎますよね。
特に、政治(まつりごと)が。仕事を始めた時、先輩に「政治と、宗教の話はするな」と言われましたが、今じゃそんな話ばかりしています(笑)
首相が、大彦の末裔では無いことを常に祈ってます(笑)インド行きが中止になっと、先程知り、出雲の方々が嫌がったのでは無いかと思ったりして。
すみません、朝山は、変換ミスです。
でも、麻じゃなくて朝かも知れませんね。
主に忌部神社を巡る予定が車に乗った途端、行く気が失せてしまい、取り敢えず諏訪神社の元宮が在ると小耳に挟んだので多祁御奈刀弥神社へ行ってみました。
その後、目的を失ってしまいまして、ふらっと立ち寄った所が【案内神社】
美馬市のどこかで信号で止まり、ナビの画面を見て【拝原】と云う地名で、気になり視線を移すと、何とそこには
【天王宮神社】(小高い場所)と在って、立ち寄り、金比羅宮へ向かう道すがら、もの凄い巨木が道路の真ん中に在り、また探してみると【天川神社】と云う神社が。
後は、安房を開拓した忌部氏なのでルーツは無いかと阿波神社です。どの神社も静かで雰囲気が有り、興味深いのですが、歴史はそんなに深くはないと思い至りました。忌部氏の壁に、勝手にぶち当たり帰宅です(笑)
金毘羅宮は、本当に素晴らしかったです。
時間の都合で、夕方と早朝に参拝したのが特に最高で本宮からの景色が最高でした。
四国は殆ど行っていませんが、しまなみ海道の大三島の大山祇神社が良かったです。
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安倍首相がかの末裔かどうか、は不明ですが、現在の政治家でまあマシな方な人でした。
しかしここにきてダメになってきています。
理由は脅されているのだそうです。
困ったことに、後任にろくなのがいない。
忌部氏については僕も深く掘り下げていなくて、未だ謎が多い一族です。
華々しい時代はあったものの、時の中臣氏に圧され、消えていった一族だと言われています。
中臣氏は渡来系の疑いがある一族です。
天児屋根は渡来人でしょう。
金毘羅宮と大山祇神社は出雲ファンなら訪れなくてはならない聖地ですね。
両地とも未訪問なので来年中には、と思っています。
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ついにお遍路スタートされたのですね!
グッズやら作法やらいろいろあるようで…。
順番に周らなければいけなのかと思ってましたが、そうでもないのですね。
私もTicTok、何が面白いのか分かりません…”(-“”-)”
最近のプリクラも変だし、mattも…( 一一)
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お遍路スタートしてみて感じたのは、割と気楽にやってもいいということでした。
もちろんきちんと作法を守ってなさっている方も多いのですが、僕みたいにカメラだけ持ってふらふらしている人も他にいました。
もちろん、僕に怪訝な目を向けられることもなく親切で、中には撮影スポットを教えてくれるお坊さんもいたり。
懐が深いですね、四国は。
流行って何なんでしょうね。
ああいうのって、生理的に無理な感じです。
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気楽に始められるのは、いいですね。
やはりお遍路に来ている人は、みなさん心が広いんですね(^^)/
流行がなければ、いろんなところに利益がでませんからね~(^^;
まあ、海外の人と比較して、日本人は幼稚だというのがあると思います。
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泡沫の流行の羅列のところで大笑いしました。不快に思うところが完全に一致しました。
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さすが、よっちゃんさん。
気が合いますね(笑)
日本人はアホになってしまったんですかね。
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