岩倉の乳房杉/中村のかぶら杉/布施の大山神社

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島根・隠岐島島後の2大観光スポットといえば、「ローソク島」と「岩倉の乳房杉」(ちちすぎ)。
そう、女神のおチチな巨乳、いや巨木があるというので仕方なく、細い山道を車転がして行ってみることにしました。

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女神のおチチといえば、和歌山の「ちちさま」。
そんなものが隠岐島にもあるというのであれば、やれやれ仕方が無い。
お茶の間のお父さんたちにロマンを届けるために、今回も五条桐彦は険しい山道を進むのです。

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でもあまり期待しないでくださいよ。多分こんな木が立っているだけだろうからね。

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岩倉の乳房杉は、隠岐・島後の最高峰である大満寺山(だいまんじさん/標高400m)の中程、うっそうとした森の中にあります。
車を路肩に停めて降りてみると、ひ~んやり、圧倒的な冷気に、背筋がぞわりとします。

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乳房杉のある場所は「岩倉神社」と呼ばれており、社殿はなく、あくまでこの御神木、あるいはそれを含む大満寺山一帯を神域とします。
地元の人々は、毎年4月23日に乳房杉の祭りを執り行うのだとか。
なるほど、ふ~ん、

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垂れ乳っ!
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個人的には下張りの良いおチチの方が好みですが、まあこれはこれでロマン。

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この辺りの地形を見ると、ごろごろと丸い石が表面を覆うように転がっています。
出雲・神魂神社の王墓のような印象も受けますが、これはあくまで天然の岩たち。

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470~42万年前の火山噴火でできた玄武岩が崩れたものでした。

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乳房杉の立っている地表部分は水を貯めにくく、空気中には水分が多く霧なども発生しやすい環境であるため、気根のような大小24個の鍾乳状の下垂根を伸ばしているのだそうです。
命とは、たくましいものです。

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樹齢800年、樹高約38m、幹周11mの見事な杉の木は、ウラスギと呼ばれる、日本海側に見られる独特な造形の杉となります。
隠岐島のウラスギは、約2万年前に島と本土が陸続きであった時に、植生した杉の子孫たちだということです。
当時の日本は今よりも約7℃ほど気温が低く、比較的温暖であった隠岐に植物たちも避難したのでしょう。
しかしこの風格、女神というよりも、異界の王のようです。

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岩倉の乳房杉は根の保全のため、鳥居の先は柵がしてあり入ることができません。致し方なし。
なので、写真は誰が撮っても、似たアングルになってしまいます。
しかし意外と皆気付いていないのが、鳥居の足元のところにある小さな穴。

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手をかざすと、ひんやり。
そう風穴です。

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この辺り一帯のひんやり感は、この風穴によるものでした。

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316号線に沿いの新武良トンネル付近に、「中村のかぶら杉」と呼ばれる巨木があります。

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樹齢600年、樹高38m、幹周約9.3mの巨木で、岩倉の乳房杉や、玉若酢命神社の八百杉と合わせて、隠岐の島の三大御神木と言われています。

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根本付近から6本の幹にわかれている姿は、まるでヤマタノオロチのよう。
「かぶら」の名の由来は、鏑矢(かぶらや)や野菜の蕪など諸説ありますが、中にはヘブライ語の「カバラ」だと主張するユダヤ論者もいるようです。

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ユダヤ論でいうと、ここもそうだという話もあったりします。

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布施の「大山神社」(おおやまじんじゃ)です。

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ここも神社となっていますが、社殿のない、御神木があるだけの聖地です。

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樹齢800年、樹高45m、幹周7.1mの直立した神木には、カズラが七回り半巻きつけられています。
その様が、キリスト教において受難と犠牲の象徴であるイエス・キリストのイバラの冠のようだというのです。

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藁蛇と違って、つなぎ目などがトゲっぽく見えなくはないですが、まあ違うでしょうね。

この御神木は「布施の山祭り」の舞台として知られるもので、江戸初期の記録があり、それよりも遥か昔から行われていたと考えられています。
祭りは毎年4月の第1土日の二日間にわたり行われますが、昔は陰暦2月の初丑の日に行われていました。

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祭りの一日目は「帯裁ち」(おびたち)といって、サルナシのカズラを山から伐り出します。
二日目は、御神木にカズラを巻く「帯締め」(おびじめ)が行われます。

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この帯締めでは、長く繋げたカズラを、木やり歌に合わせて激しく揺さぶりながら踊った後、神木に七回り半巻きつけるのですが、この祭りの最中は皆、とにかく酒を浴びるほど飲むのだそうです。

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なので皆ぐでんぐでんになっており、揺するカズラの勢いに負けて、転がってしまう人が続出します。

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この転がり出た大人たちに、カズラに戻れと子供らが草(ハッパ)を投げつけます。

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なんともユニークな祭りですが、少し外れの茂みでは、たまらず吐いた酸っぱい匂いが充満するのだとか。

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大山神社に祭神である大山祇神(おおやまづみのかみ)が祀られたのは江戸中期。
水田の耕作が殆ど行われなかった布施においては、麦、ソバ、粟などの食物の全てを、奥山を開墾しての牧畑耕作に頼らざるを得ず、耕作に最も必要な水の精霊である龍神及び大山(摩尼山)の遥拝所として、南ノ谷の老杉に大山神の神霊を勧請したのが始まりだとされています。

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しかし布施の山祭りは江戸初期よりも以前から続いていたとのことでしたので、大山神社に大山祇が祀られるよりも以前から、この神木には山神が祭祀されていたということになります。

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やはり、どこまで行っても不可思議な世界が、この隠岐島・島後にはあるのでした。

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4件のコメント 追加

  1. Tomi Kaneko のアバター Tomi Kaneko より:

    うさ耳さまは奥ゆかしく隠しておられるのですね (本題関係ない)
    土着信仰の香りがあるとホッとするものです

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    1. 五条 桐彦 のアバター 五条 桐彦 より:

      うさみみは神
      /)/)
      (~~)
      0_(“)(“)

      いいね: 1人

  2. Nekonekoneko のアバター Nekonekoneko より:

    🐥ちちさまの写真も併せて掲載されていたので、危うくちちさまを乳房杉だと誤解するところでした…ちちさまのチチは垂れていない…

    いいね: 1人

    1. 五条 桐彦 のアバター 五条 桐彦 より:

      ちちさまは良いものだ○○

      いいね: 1人

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