埼玉県行田市埼玉に鎮座する「前玉神社」(さきたまじんじゃ)を訪れました。
社名の「前玉」が「埼玉」の由来であると伝わります。
前玉神社の創建は不詳ですが、千数百年の歴史を持つともいわれています。
それは当社が、高さ8.7m、周囲92mほどの「浅間塚」(せんげんづか)と呼ばれる古墳上に社殿が鎮座し、埼玉古墳群の方向に建てられているからだというのが理由のようです。
前玉神社はこれら古墳群を守護する形で祀られたのが創祀であり、その首長層が祭祀していたと推測されています。
参道に構える愛嬌のある狛犬。
どことなく犬というより猫科の雰囲気です。
実際に境内には多数のお猫さまがいらっしゃり、猫愛好家にも人気の神社のようです。
秋の参拝でしたが、花手水が設えてありました。
花手水は梅雨には紫陽花と、四季折々の花が浮かべられているようです。
これだけの花を浮かべるにはそれなりに大変でしょうに、コロナ禍に少しでも心地よく参拝してもらえるようにとの社家さんの真心を感じさせます。
古墳の手前に鎮座する明治神社。
明治時代に、埼玉地区の16柱の神社が合祀されました。
古墳頂部に続く参道を昇ると、
すぐに見えてくるのは浅間神社。
浅間神社は近世初頭、忍城中にあった浅間神社を勧請したもので、古墳上にある社を「上の宮」、中腹にある社を「下の宮」と呼んで、浅間さまの名で親しまれるようになりました。
祭神は「木花開耶姫命」(コノハナサクヤヒメ)、富士山頂に祀られる女神です。
富王家に伝わるところでは、木花開耶姫は薩摩の阿辰姫のことであると云いますが、ここではあまり関係ない話でしょう。
当社では当歳児から三歳児の額に朱印を押し、富士山の御利益をいただき、子どもの無事成長を祈る「初山」という祭事があり、また古事記にある、夫の嫌疑を晴らすため木花咲耶姫が産屋に火を放ってその中で無事に出産したという故事に倣った「さきたま火祭り」も催されているそうです。
古墳を回るように続く参道には天神社と恵比寿神社が鎮座しています。
満面の笑みの恵比寿様と
優しげな表情の天神様。
その写真を撮っていると、
あれ?
苔に滑って思いっきり転けてしまいました。
あまり覗きすぎるなよ、ということでしょうか、失礼しました。。
「上ノ宮」に着きました。
この最後の階段手前にある石灯籠は「万葉灯籠」と呼ばれ、元禄10年(1697年)10月15日に前玉神社の氏子が祈願成就を記念して奉納したと伝えられています。
灯籠にはそれぞれ、『万葉集』にある当地に関する次の歌が刻まれています。
『埼玉の津』
「佐吉多万能 津爾乎流布禰乃 可是乎伊多美 都奈波多由登毛 許登奈多延曽禰」(さきたまの 津に居る船の 風をいたみ 綱は絶ゆとも 言な絶えそね)
〔埼玉の渡し場に停まっている船の綱が、烈しく吹く風のために切れることがあっても、私たちの恋は切れて絶えないでおくれ〕
『小埼沼』
「前玉之 小埼乃沼爾 鴨曽翼霧 己尾爾 零置流霜乎 掃等爾有欺」(埼玉の 小埼の沼に 鴨そはねきる 己が尾に 降りおける霜を 払ふとにあらし)
〔埼玉の小埼の沼で、鴨が羽ばたきをして水しぶきを上げている。自分の尾にふり降りた霜を払おうとしていようだ〕
祭神は「前玉彦命」(さきたまひこのみこと)と「前玉比売命」(さきたまひめのみこと)の二柱。
前玉比売は『古事記』で天之甕主の娘であり、大国主の子孫・速甕之多気佐波夜遅奴美(はやみかのたけさはやじぬみ)の妃神で、甕主日子(みかぬしひこ)の母であると記述されています。
前玉彦命に関する記述はありませんが、二神が夫婦神であるのなら、彼は速甕之多気佐波夜遅奴美神ということになります。
速甕之多気佐波夜遅奴美は西出雲王家・郷戸家の11代大名持「速瓮之健沢谷地乃身」(はやみかのたけさわやじのみ)のことであり、その后である前玉比売が郷戸家12代大名持「瓮主彦」の母であることに整合しています。
埼玉古墳群は雄略天皇の頃にはここまで政権が届いていた証拠になる遺跡であるとは8まんさんからの情報ですが、この21代雄略帝・ワカタケルに遣わされたヲワケの子孫が武蔵国造に就任しており、この古墳群も彼らに深く関わりがあると云われているようです。
しかしここで疑問が湧きます。
雄略帝といえば武内系のオオサザキ王朝大君のひとり、果たして郷戸家の神を当地に祀ったでしょうか。
強いていうなら、初代武内宿禰の大田根は富家に命を救われており、富家の姫を娶っていますので、富家の神を祭祀したというなら可能性はありそうです。
あとはヲワケが郷戸家の子孫だったという可能性、いやいや謎が残ります。
前玉神社境内に「龍泉池」という池がありました。
蓬莱信仰の片鱗を残しますが、龍神が祀ってあるあたりは出雲的です。
郷戸家の本家が出雲を遠く離れて東国に来ることはないでしょうから、当地はその分家が祭祀した聖地であると思われます。
がはっきりしたことは結局わかりませんでした。
この『八雲ニ散ル花』「東ノ国篇」は、ストーリーとしては成立していません。
東国の出雲に絡んでそうな神社をピックアップしているだけです。が、誠に東国は奥が深い。
またこのシリーズの多くは、『偲フ花』にコメントを寄せてくださっている方々からの情報を元に旅させていただいてます。
貴重な情報をいただき、ここに感謝申し上げます。
前玉神社の御朱印をいただいた日は、たまたま限定のお猫さまの印をいただける日だったようです。
僕がいただいた印は「ガガ」さまでした。
彼(彼女?)は前玉神社大好きっ子で、当社の守り神のようなお猫さまでした。
前玉神社様へようこそ。秋口の来訪でしたか。春には古墳群周辺では桜がオススメ。GW近辺で火祭り。最近では田んぼアートで有名に。
のぼうの城効果や足袋でも有名になりました。
ここ行田は羽生(はにゅう、昔はハブと呼ばれてて土が取れることに由来した地名)で取れる良質な土で埴輪を作成していたと何かで聞きました。
ルートを辿ってみてください。行田の埼玉古墳群から羽生を抜けると鷲宮(土師の宮)まで繋がってます。
ここで前玉の話。これはNHKのお名前番組で名前の由来に詳しい先生が多摩の先にあるから前多摩で前玉になったんだろうと言っておりましたが、
私は神前での出雲の唱え言葉の「祓い給い清め給へ神ながら幸(さ)き魂(みたま)守り給い幸わい給へ」の幸き魂(玉)こそが前玉の由来だと思ってます。埼玉県の憲章にも匂玉を入れるくらい出雲の匂玉にこだわってますから。(笑)あちらから土師の民も東国への出征もあったのでしょう。
西から埼玉に向かう手前の群馬は藤岡市に土師神社があります。ここでは火と土の里を謳ってます。群馬の豪族の古墳も多く在り埴輪も。ここにも土師の血筋の痕跡が。文化の流れも知る事が出来ます。
雄略天皇の時代、この地に赴任したヲワケは後の武蔵国造の始祖になる者ですが、祭祀においてここ東国の祀る神まで目が届いてはいないようにも思えます。諏訪のようにモレヤの神も許されてたのですから。
22日のお参り。まずは良いお参りでした。(笑)
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8まんさん、おはようございます♪
いつもながら、詳しい解説ありがとうございます。
改めて、8まんさんからの情報も記事に書き加えさせていただきたいと思っています。
幸き魂由来説もなるほど、興味深いですね。
埼玉の各社は、8まんさんのご紹介によるところが大きいです。多くの良社を教えていただきありがとうございます。
11代の垂仁帝・物部王朝から25代武烈帝・オオサザキ王朝までは世も荒れており王朝に魅力がなかったので、地方豪族も従うものは少なかったということです。
ヲワケも火消しに従事するだけで手一杯だったのでしょう。
まあ、今の政党も似たようなものですね(苦笑)
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ががが可愛すぎる。。。この写真だけで1週間乗り切れそうです笑
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調べてみると前玉神社には四柱のお猫さまがいらっしゃるようですね。
先に鳥居のところで登場した黒っぽいキジ猫さまは「きなこDX」さんのようです(笑)
ガガ氏は男の子ですね。
『元はご近所の飼い猫でしたが、神社から飼い主の家に連れて行っても戻ってきて、ご近所さん公認の神社の飼い猫になったくらいですから。』
と下記のサイトで紹介されています。
https://otekomachi.yomiuri.co.jp/lifestyle/20200207-OKT8T201319/
レアキャラのミントさん含め、コンプリートしたくなっちゃいますね!
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URLありがとうございます!!
これは可愛い――――❤
猫好きでなくとも、この子たちに会いに行くのも楽しみですね♪
いやぁーコンプリートしたくなります!!!
駅から歩くと40分。歩けない距離ではありませんね。
まさに「招き猫」です笑
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駅から歩くと40分。。。確かに歩けない距離ではありませんが、炎天下には厳しい道のりですね😅
寒くなると猫さんたちも出歩かなくなるかもしれないので、春先や秋頃が良いのでしょうか。
10月のこの日は、ガガさまは境内の神楽殿でひなたぼっこしていました😄
参道の入り口には金沢製菓という昔ながらのおもち屋さんがあります。
名物は「塩あんびん」ですが、砂糖を使わず塩だけで味付けした小豆の餡を使った大福で、驚きの素朴さです😁
他にも美味しそうなお餅がたくさんありましたので、ご参拝の折には覗かれてみてください♪
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詳細情報ありがとうございます!!
砂糖を使わない小豆餡☆楽しみです♪
もっと調べたらJRの吹田駅からだと片道1時間くらいでした。炎天下でサッカーをすることを思えば、、、ですが、猫たちも良い季節の方が気持ちいいでしょう。秋を待って小旅行の気分で電車と徒歩で会いに行きたいと思います♪
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