二度目の「上高地」訪問では、念願だった安曇族の聖地「明神池」へ足を伸ばすことができました。
いつも人で溢れている「河童橋」。
初老のご夫婦がささやかな時間を過ごしておられました。
河童橋から今回の最終目的地「明神池」までは約3km。
手軽にいくなら左岸ルート50分のコースを往復するのが良いのかもしれませんが、僕はあえて、往路は70分の「自然探勝道」を歩くことを強く勧めます。
その道は労に見合うだけの景色が、道行を楽しませてくれるからです。
自然探勝道を歩み進めていきなりの絶景。
穂高連峰と清流の風景が眼前に迫ってきました。
そこからは再び林道に入って行きます。
鳥のさえずり、
川のせせらぎなどを聴きながら、足を進めます。
木の橋を渡り、
まるで不思議の森へと迷い込んでいくようです。
空が開けた場所に出ました。
木道が続いています。
足元には水が流れ、
水辺に草が多い茂っています。
ここは「岳沢湿原」と呼ばれる場所のようです。
立ち枯れた木が見えます。
木道から続くウッドデッキに出てみると、
これまた幻想的な風景が広がっていました。
清らかな水に浮かぶ岳沢湿原。
いつまでも佇んでいたい気持ちになります。
名残惜しみつつも先へ進むと、
そこにもたっぷりと清水が湧き出る場所がありました。
水って本当に青いんだということを教えてくれます。
岳沢湿原でまったりしていると、山ガール子ちゃんに追い抜かれてしまいました。
早朝の上高地は、上高地観光客の数はまばらですが、穂高山登山客はそこそこ見かけます。
そうした方の多くは左岸の最短ルートを進むのですが、彼女はこの自然探勝道も楽しむルートで登るのでしょう。
良い選択です。
穂高連峰には「涸沢カール」(からさわカール)という、素晴らしい場所があるといいます。
いつか行ってみたいと思っていますが、相応の日数と準備が必要なようです。
それにしても、景色はコロコロ変わり、
全く飽きさせることのない、この道。
アップダウンは多少あるものの、キツさを感じさせません。
70分の冒険も、
そろそろゴールが近づいてきました。
河原に出ました。
奥に明神橋が見えます。
そこから左に折れると、
着きました、「穂高神社・奥宮」です。
鳥居の先に明神岳の峰が見えます。
あそこに「嶺宮」が鎮座しているのでしょうか。
社務所の先に、小さな社殿があります。
穂高の水で手口を清めます。
ある時、志賀島を拠点としていた海人族の安曇一族は、海を捨て内地へと散らばって行きます。
安曇族が移住した地とされる場所は、阿曇・安曇・厚見・厚海・渥美・阿積・泉・熱海・飽海などの地名として残されたと云われており、これらは安曇が語源とされています。
そして長野上高地のこの奥地を、安曇族は最も聖なる場所として崇めたのです。
奥宮の脇から、明神池の方へ足を進めます。
明神一之池、
そこには類稀なる絶景がありました。
これほどに清らかな水が存在するものなのか、と思わずため息が漏れます。
明神池は、梓川の流路が明神岳からの崩落砂礫によって堰き止められ、池になったといいます。
池の水は、明神岳から湧き出た伏流水が常に湧き出て満たされているので、とても透明度が高くなっています。
背後にそびえる明神岳が風を遮り、水面は水鏡のようです。
明神池に浮かぶ、赤い舟。
龍と鳳凰があしらってあります。
この舟は、毎年10月8日に行なわれる例大祭「お船祭り」で使用され、1年の山の安全と万物永世安静が祈願されます。
一之池を左手に進むと、明神二之池があります。
そこはまた雰囲気一転、
点在する小島が侘び寂びを感じさせるものでした。
一時は栄華を極めた安曇族、しかし野望が過ぎたのか、仲皇子のクーデターに加担し、敗れてしまいます。
失墜した一族に転機が訪れたのが白村江の戦いでしたが、ここでも英雄「安曇連比羅夫」は大敗を喫してしまうのです。
夢破れて一族がたどり着いた安住の地「安曇野」。
海を捨てた彼らがその奥地でみた光景に、何を思ったことでしょう。
清らかな水は、心のうちも、透かし映し出しているようでした。
明神池で心身清らかになったら、胃袋を満たしたい頃合いです。
明神池のそばには「嘉門次(かもんじ)小屋」という店があります。
上高地を世界に紹介したウォルター・ウェストンを北アルプスに案内した「上條嘉門次」が建てた山小屋を使っています。
ここで頂くものと言えば、じっくり炭火で焼いた「岩魚」、絶品です。
焼き上がるまでに少々時間がかかるようでしたので、燻製を先にいただきました。
スモーキーで、こちらも美味。
席から何気に目を向けると、
きのこ一家がいらっしゃいました。
まるでジブリ。
そして来ました、岩魚の炭焼き!
定食にしましたが正解でした。
ご飯やみそ汁、漬物全てがあまりに美味しくて、ペロリ完食です。
岩魚はもちろん、頭から尻尾まで、全て頂きました。
腹を満たしたら、もうひと歩きです。
明神橋を渡り、
左岸ルート50分の道のりを歩いて行きます。
やはりこちらのルートは、自然探勝道ほどにはわくわくする道ではありません。
それでも時折出会う巨岩や
巨木は、非日常を感じさせます。
野に咲く花や実を愛でつつ歩くのも良いでしょう。
人が賑わって来たら河童橋に到着です。
大正池から明神池まで、上高地をたっぷり堪能して約5時間。
心地よいひと時を過ごしました。
きれいな場所ですね。
自分は山登り、ハイキングなどほとんどしないのですが、行ってみたいと思いました。
浄化されそう(^.^)
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上高地はアップダウンもそれほどきつくなく、のんびり散策を楽しむのにちょうど良く、手軽に日本アルプスの空気を味わえる所です。
マイカーの乗り入れが規制されていますが、それだけ大切に自然が残されているということです。
僕は初秋の頃しか訪れたことがありませんが、四季を通じて、様々な表情を見せてくれるのも人気の理由のようです。
神が降りたったところと云われる神垣内、まさに神が創りたもうた天然の浄化装置です!
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