徳島市内中心地、小売店舗などが立ち並ぶ一角に、墓が立ち並ぶ一角があります。
ここは焼香庵跡墓地という、無縁仏の墓になるそうです。
その角にある奇妙な墓石が「オッパショ石」。
「オッパショ」というのは徳島地方の方言で「おぶってくれ」という意味になるそうです。
この墓石は、元は名のある力士の墓石だったそうですが、いつしか石が「オッパショ」と声を出し始めたので、この名前で呼ばれるようになったと云います。
言われるがままに石を背負った村人は、最初は軽く感じるものの、次第に重さを増し、気味悪がりました。
噂は広まり、やがてこの石のそばを通る者は少なくなりましたが、これを聞きつけた力自慢の男が試してやろうと思い立ちました。
さて、男が訪ねてみると、確かに石は「オッパショ」と声を上げます。
ならばと背負ってみると、石は次第に重くなっていきました。
たまらず男は石を力任せに地面に叩きつけたところ、石は見事に真っ二つに割れてしまいました。
それからというもの、石が声を出すことは無くなったということです。
なるほど、オッパショ石を訪ねてみると、確かに割れた跡があります。
しかしオッパショ石とは自然石ではなかったのでしょうか。
一説には、本当の「おっぱしょ石」はその板碑のすぐそばにあった別の石だと云われ、その石は今は所在不明とのこと。
またとある老人の話では、この墓石の裏に穴があり、そこがオッパショの本体であり、近づくと危険なのだそう。
僕が訪ねたのは夕暮れで、それ以上深入りしようとは思わなかったのです。