「しかるべき時・しかるべき状態でないとお詣りできない」、「呼ばれないとたどり着けない」、
そう噂される神社が奈良の吉野郡天川村の山奥にあります。
「天河大辨財天社」(てんかわだいべんざいてんしゃ)といいます。
本当に山奥にありました。
長々と山道を運転してきましたが、なんとか呼んでいただけたようです。
そういえば冒頭のフレーズ、聞き覚えがあります。
同じく奈良の玉置山にある「玉置神社」がそうです。
「大辯財天」の扁額があります。
玉置神社が男性的な感じなのに対し、天河大辨財天社は女性的な雰囲気を感じます。
どちらも気高い龍神的な気配が漂っているように思いました。
天河大辨財天社は「天河神社」とも呼ばれています。
天河神社のパワーの一端が「手水舎」の水です。
と言っても物理的なパワーですが。
龍の口からまるでレーザービームのように、勢い良く水が噴き出しています。
龍口から直接水を汲み取ろうとすると、はじけた水しぶきで全身冷んやりすること請け合いです。
境内を散策したいと思います。
千年の灯「斎灯殿」という社がありました。
手前の丸い石垣は火を焚くためのものでしょうか。
ここで、立て看板の注意書きが目に留まりました。
なんと、本当に呼ばれなくなってた可能性もありました。
来れて良かった。
太鼓橋を渡って参道を進みます。
この先に拝殿があるのですが、途中横道に逸れます。
「五社殿」がありました。
各ご祭神は手前から
「龍神大神」(弁財天の化身なる龍神の神)
「大将軍大神」(八ツの杜の内森本神社ご祭神)
「大日霊貴神」(天照大御神の御別名)
「天神大神」(菅原道真公 )
「大地主大神」(琵琶山の地主守神)
となっています。
御社殿の前に玉垣に囲まれた石があります。
「天石」です。
天石は聖なる石と言われています。
この地は天から降った石というのが4つあるそうで、その内3つの天石が境内に祀ってあるといいます。
他の2つも探してみます。
この石も気になりましたが、違うようです。
もう一つは五社殿と参道を挟んで反対方向にありました。
こちらはやや丸みを帯びています。
最後の1つはなかなか見つけられませんでした。
裏境内の方へ進んでいくと神田がありました。
社があり、
ぽつんと石があります。
どうやらこれのようです。
なぜかこれだけは、玉垣で囲ってありません。
無事、天石を見つけたので、拝殿へ足を進めます。
拝殿へ進むと、その神々しさに心が震えます。
主祭神は宗像三女神の一柱、「市杵島姫命」(いちきしまひめのみこと)。
一説では日本三大弁財天のひとつとされています。
弘法大師「空海」も行を行った海抜1000メートル級の山々に囲まれたこの地は、日本の三大霊場の中心地と言われており、
人生の原点「命の誕生の地」とされているそうです。
天河神社は「芸能」「能」との縁が深く、多くの関係者が参拝に見えます。
元の祭神は七福神の一つの「弁財天」で、4本の腕を持ち、2本の腕に数珠とヴェーダ、もう1組の腕に琵琶に似た弦楽器を持つ「サラスヴァティー」でした。
拝殿に前にある鈴は、天河神社の象徴となる特殊な形をしています。
「五十鈴」(いすず)と呼ばれ、天照大神を岩戸からお出しする時に使った「神代鈴」と同じものだと言われています。
普通に振るのではなく、鈴緒を丸く円を描くように回すことで、不思議な音を奏でます。
拝殿向かいには立派な舞台もしつらえてあり、演奏などが行われるそうです。
しばらくのんびり過ごしていると、どこからともなくプオーンと甲高い音が聴こえてきました。
何事かと思えば、白装束の山伏のご一行数十名がやってきました。
普段見ることのない光景に、思わず驚きました。