穴師坐兵主神社:八雲ニ散ル花 出雲屋敷篇03

投稿日:

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奈良県桜井市、三輪山の北部に鎮座する「穴師坐兵主神社」(あなしにますひょうずじんじゃ)を訪ねました。

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細い道を入り込んだところに駐車場があり、そのそばに「相撲神社」があります。

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立派なお相撲さんの石像の先に、

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神社があります。

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祭神は「野見宿禰」、本来なら出雲王家18代目の大名持になっていた「富大田彦」です。

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国技発祥の由来は、垂仁帝の代、野見宿禰と当麻蹴速が初めて天皇の前で相撲を取ったことによるとされますが、真実は大和へ東征を果たしたイクメ(垂仁)が協力を要請した田道間守(当麻蹴速)の傲慢な存在が疎ましくなり、滅ぼした旧出雲王家に討伐を依頼したという身勝手な話が元となっています。

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大田彦は物部帝の要請に従う義理はないと考えましたが、田和山神殿を徹底的に破壊し、多くの出雲人を殺害した田道間守に復讐したい念が勝り、これを承諾しました。

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細道を歩いていくと境内への入り口が見えてきました。

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周りはミカン畑になっています。
田道間守は魏国からタチバナの種を持ち帰ったと云われ、「果物(当時は菓子と呼ばれた)の神様」と呼ばれました。

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トトロの森のような入口から中に入ると、本当にトトロの森のような素敵な参道が続いていました。

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狛犬もジブリ感に満ちています。

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穴師坐兵主神社は、垂仁天皇2年に大和姫が天皇の御膳の守護神として祀ったとも、景行天皇が八千矛神(大国主)を兵主大神として祀ったとも伝えられています。

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元々は巻向山(穴師山)の弓月岳にあった上社・穴師坐兵主神社と山麓の下社・穴師大兵主神社の2社があったそうですが、応仁の頃に上社が焼失し、下社に合祀されたのだそうです。

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さらに後年、巻向山にあった卷向坐若御魂神社も合祀されて現在の祭祀形態となりました。

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祭神は左殿に「大兵主神」、中央に「兵主神」、右殿に「若御魂神」。
社伝によると垂仁天皇二年の創祀で、中殿に祀られる兵主神は鏡を神体としているそうです。

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神社側では兵主神は「御食津神」であるとしています。
しかしこれには他説あり、「天鈿女命」、「素盞嗚尊」、「天富貴命」、「建御名方命」、大己貴神の分身の「伊豆戈命」、「大倭大国魂神」などさまざまな考察がなされています。

若御魂神は神社側は勾玉と鈴を神体とする稲田姫命のことであるとされます。

大兵主は神剣を神体とし、正体は「八千戈命」、「素盞嗚命」、「天鈿女命」、「天日槍命」などという説があるようです。

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これについて富家伝承本の「出雲と大和のあけぼの」では次のように記しています。
『笛吹に住んだ尾張家の一部は、後に三輪山の西北麓・穴師に移住した。その地名は穴師(金属精錬者)が住んだことに依る。この付近で金属精錬が行われたことは、三輪山の南麓に金屋の地名があることでも知られる。そこに穴師坐射楯兵主神社を建てた。「射楯」の字は、ホアカリの息子「五十猛」の発音「イタケ」を「イタテ」に変え、当てはめたものである。「五十」は、「イ」とも発音する。「猛」は、「建」の字に変える場合が多い。』

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とするなら当社は垂仁帝の時期よりもさらに古い時代の創建となります。
が、いくつか気になる点も。

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当社の神紋は「橘」。
橘といえば橘君「田道間守」の存在が示唆されます。
田道間守が大和で拠点とした當麻地区は、当社と奈良盆地を挟んで対面にありますが、彼の子孫が当社の社家となったのか?
いや、神社の入り口に彼らの先祖を打ち負かした野見宿禰を祀ったというのも考えにくいです。

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右殿に祀られる「若御魂神」は、「稚産霊」とも呼ばれています。
神体は勾玉と鈴。
そして芸能の神であると伝えられます。

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このキーワードから導き出される人物、それは豊玉女王の娘「豊姫」ではないでしょうか。
豊姫は大和で、「稚日女命」(わかひるめのみこと)と呼ばれています。

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当社からほど近い笠山荒神社でも彼女の痕跡を感じ取りましたが、彼女が月神を祀った大和笠縫邑は、三輪山の北麓方面であった可能性がより高まりました。

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穴師坐兵主神社の古社地は弓月岳といいます。
さらにその場所は「ゲシノオオダイラ」と呼ばれ、弓月岳と上社跡、下社は一直線上にあるのだとか。

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豊姫は伊勢で、外宮の豊受大神として祀られ、食物神としての側面を持っています。
すると兵主神=御食津神とする社側の説明にも関連してくるのです。

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当社は、元は笛吹に住んだ尾張家の聖域だったが、垂仁期に豊家がやってきて当域を支配し、笠縫邑として豊姫が月神を祀った。
その時、元祭神の五十猛は変えられ、「射楯」の名も社名から外された、などという話が浮かび上がります。

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穴師坐兵主神社の境内に佇むと、確かにミステリアスな月神の残り香を感じるような気がしてくるのです。

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2件のコメント 追加

  1. ブサイク王 より:

    いつも楽しく拝見しています。

    最近ソフトカバーで再販された
    吉田大洋 著者「謎の出雲帝国」の
    記述に著者が当時の神主(中一郎氏)から
    主祭神は天ノヒボコであり現在も左殿に祀られており、明治に朝鮮系であることから表だって祀ることを控えたという記述があります。

    戦前の国の方針と神話教育が皮肉にも現在の在り方に至っているようです。

    いいね: 1人

    1. CHIRICO より:

      ブサイク王さん、お久しぶりですね。
      コメントありがとうございます。
      おそらく、穴師坐兵主神社にはヒボコも祀られていると思われます。
      社紋も橘をデザインしており、そのことを主張しています。
      しかしそれは後に合祀されたものでしょう。
      本来は海部・尾張家系の神社だったはずであり、
      それに相撲の神として野見宿禰を祀っているあたり、出雲系でもあったはずです。
      果たしていつの時代に、誰がヒボコを合祀したのか、それが気になります。

      ところで吉田大洋氏は、シュメール系の持論を発表したいがため、富氏の話もそこそこに、自分のイメージで語ってしまっているところがあります。
      つまり『謎の出雲帝国』は正確性に欠ける、ということです。
      このことは富当雄氏本人が吉田氏を批判しておられます。
      吉田大洋氏もそうですが、出雲王国を語る人たちは得てして、出雲族を悲劇の一族に仕立て上げたい向きがあるようです。
      確かにその方がドラマティックでしょう。
      「謎の出雲帝国」にも出雲王家の子孫たちが毒殺をされたり、狂人のふりをして支配者の目を逃れたようなことが記されていると思います。
      このことについて、僕は富さんに直接尋ねました。
      すると氏は、「むしろ逆だよ」と言って、穂日家の子孫らが良からぬことを為そうものなら、出雲散家と呼ばれる全国に散った出雲族が集結して押しかけ、怒鳴りつけたんだよ、と語ってくれました。
      出雲族はあまりの人の良さに虐げられたイメージが先行していますが、実のところはとても誇りたかく、強かであったとのことです。

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