ダンノダイラ:八雲ニ散ル花 出雲屋敷篇05

投稿日:

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山ノ神遺跡の反対側、第二の鳥見山霊畤と直線で結んだ三輪山の8合目付近にある出雲族の聖地「ダンノダイラ」を訪ねました。

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三輪山の南側麓に「十二柱神社」(じゅうにはしらじんじゃ)が鎮座します。

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ここは桜井市の出雲地区のほぼ中央にあたります。

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地名にあるように、ここはかつて、出雲族が居住した地域なのです。

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祭神は神代七代の神として
「国常立神」「国狹槌神」「豐斟渟神」「泥土煮神」「沙土煮神」「大戸之道神」「大苫辺神」「伊邪諾神」「伊邪冊神」「面足神」「惶根神」
地神五代の神として
「天照大神」「天忍穂耳尊」「瓊瓊杵尊」「彦火火出見尊」「彦波瀲武鸕鷀草葺不合尊」が祀られています。

なんのこっちゃ。

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さすがに最初から、こんな破茶滅茶な祭神ではなかったことでしょう。

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凛々しい狛犬の足元を見れば、

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縁の下の力持ち、お相撲さんが踏ん張って支えています。
ちなみに写真、撮り忘れました。
先の全景を拡大しております。

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当地、出雲集落は「当麻蹴速」(たいまのけはや)と「野見宿禰」(のみのすくね)を祖としており、穴師の相撲神社とならんで相撲発祥の地として知られているのだそうです。
しかし当麻蹴速は違うでしょう。
奴はめっさ出雲人を殺しています。

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境内には野見宿禰の五輪塔というものも鎮座しています。
高さ2.85mの鎌倉時代初期の五輪塔で、もとはここから約350m南東の狛川のほとりの塔ノ本にあったそうです。
4側面に梵字が彫られ、地輪には一字一石経が納められているとのこと。

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野見宿禰の五輪塔とのことですが、野見宿禰大田彦はここで亡くなったわけではありません。
彼は大和で田道間守を制圧したのち、出雲に帰る途中に寄った「たつの」の屋敷で毒殺されました。

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当社は、武烈天皇の泊瀬列城宮跡ともされています。

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武烈帝は富家の彦太殿がオホド大王となる前の大王です。
オホド以前の平群王朝時代は国が荒れ、評判は良くなかったようです。
武烈帝の後は、大和で揉め事が収まらず、困った豪族たちは、越国の蘇我氏に養子に入っていた出雲の王族・彦太殿に政権運営を依頼しました。
しかし大和の戦乱は落ち着かず、オホド大王が大和入りしたのは、その11年後になってからのことでした。

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nokananさんに教えていただきましたが、この十二柱神社は昔は拝殿も無くダンノダイラの遥拝場だったそうです。

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もちろんここから登拝するのが正式な参拝ルートなのだと思いますが、僕はズルして翌日最短ルートでダンノダイラを目指しました。

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早朝、三輪山と巻向山の間の細道を車を走らせ、奥不動まで向かいます。
この道、険し。
写真はまだかなーり穏やかな道です。
この先身の危険を感じるほどの酷道となります。
写真を撮ってる余裕はありません。

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奥不動に到着。
生きた心地がしませんでした。

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まずはここまでたどり着けたことに対する感謝と、駐車場をお借りするお詫びのためにお参りをさせていただきます。

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節分星供の文字から、ん?物部系かと思いましたが、

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おや?

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こ、これはもしや!?

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さて、ダンノダイラへ向かいます。

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最短ルートとはいえ酷道を乗り越えた後、さらに山道を10分ほど登っていくことになります。

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以前、ダンノダイラは山ノ神遺跡から道が繋がっていたそうです。

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その道は今は禁足地となっています。
出雲屋敷で暮らしていた出雲族・登美家の人たちは豊彦軍に攻められ、大和笠縫邑を明け渡しました。
彼らはこの道を抜けて、ダンノダイラに逃げ住んだのかもしれません。

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禁足地の先からは、行き交う彼らの足音とともに神の息吹が吹き抜けていきました。

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再び尾根道を歩いていきます。

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朝一ということもあり、蜘蛛の巣が激しく絡んできます。

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森のくまさんに襲われないか、ドキドキしながら歩いていきます。

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道はあるけど、これで合ってんのー?と不安になりかけた頃、

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案内板のようなものが見えてきました。

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どうやらここがダンノダイラのようです。

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ダンノダイラとは「段の平」。
5段の円丘状になっている平地であると言いますが、僕には緩やかな坂にしか見えません。

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その斜面を登っていくと、小石が積まれた場所が。

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これが「天壇」跡のようです。

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間違いなく祭祀場の跡でしょうが、よくこれを残したものです。

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そしてこれは「白石の神域」によく似ています。

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ダンノダイラと白石の神域(ゲシノダイラ)は尾根道で繋がっていますので、両地とも元は出雲族の聖地だったのでしょう。

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ゲシノダイラは豊彦軍に占拠されたのだと思われます。

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小川跡というものもありました。

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今はだた溝があるだけですが、かつては山頂方面に湧水地があり、少ないながらも水が流れていたといいます。

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ダンノダイラには一部の出雲族が定住し暮らしたのだと聞きました。
こんな山奥に本当に人が住んだだろうか、と僕は懐疑的でしたが、水があるならその可能性もありうると思い直します。

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しかしやはり、それはほんの一部の人たちだったでしょう。

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特別な祭祀の一族が、聖域を守るために当地に住んだのではないでしょうか。

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それを確信させるものがこの先にありました。

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見えてきました、

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巨大な磐座です。

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そのサイズ、約20㎥。

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磐座は三段になっていました。

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一つだけ離れて、しめ縄のかけられた石があります。
ここが聖域への入口、結界であると言わんばかりに。

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恐る恐る近づいてみます。

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すごい威圧感。

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この先は真の聖域、足を踏み込むことを躊躇いましたが、靴を脱ぎ裸足にて失礼します。

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三輪山周辺にはたくさんの磐座が存在してるそうです。

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山頂にも無数の磐座群があり、それはそれで圧巻でした。

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しかしそれらはおそらく、人の手で運び込まれたものでしょう。
このダンノダイラの磐座は、人類の生まれる遥か昔からここに鎮座する、太古の神。

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どことなく熊野のゴトビキ岩を彷彿とさせます。
ここには古代の出雲式に倣って、王家の遺体が葬られてきた可能性を感じ取りました。

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僕は聖域では、あまり余計なことをしないことにしていますが、少しだけ目を閉じ、往古に思いを馳せる時間をいただきました。
そして足を踏み込み、写真を撮りまくってごめんなさい。
とても美しい。

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聖域をパワースポットと呼んでしまうことは、あまりに軽々しくて僕は好きになれません。
その呼び名だと、訪れると何か特別な力を得られるような勘違いをする人たちもいます。
特別な力など得られないし、そんなものは必要ありません。
ただただ、シンプルな美しさが、そこにあるだけです。
明治の初め頃まで、出雲の全村民が「ダンノダイラ」へ登って出雲の先祖を祀り偲び、一日中相撲をしたり、食べたりしたのだそうです。

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聖域とは正にそうしたもの。
古いご先祖に今日の生を感謝し、偲ぶべき処なのです。

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この心の故郷がこれから先も清らかにあり続けますよう、切にお祈り申し上げた次第です。

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3件のコメント 追加

  1. wildsum より:

    十二柱神社と言えば、わたしがよく行く神社で、十二神社というのがあります。詳しいことはわからないのですが、やはり十二の神様がまつられているようです。それから、神奈川県には十二柱神社というのが三ヶ所あるようです。

    いいね: 1人

    1. CHIRICO より:

      WILDSUMさん、コメントありがとうございます。
      なぜ12なのでしょうか、通常は主祭神として一〜三柱が祀られ、その他諸々の神は配祀神として祀られるのですが、十二社では十二柱が同列に祀られます。
      困った時のWikiさんによると、
      「古くからの十二様と称する土着の山の神を祀ったものと、熊野神社の系列のものとがある。前者の信仰は射日儀礼を含む「十二講」の習俗を伴い、北関東・甲信越を中心にして東日本の山間部に分布する。後者は十二所権現社などと呼ばれる熊野三山の神(熊野権現)を勧請して祀ったものである。それらの中には明治の神仏分離によって祭神を「天神七代・地神五代」としている所もある。」
      とのことです。
      天神七柱・地祇五柱という一定のパターンがあるということなのでしょう。
      しかし天神七柱というのは道教の聖数であり、物部氏、及び海部氏に由来する数字の可能性が高いです。
      彼らの祖先は星神を信仰しており、北斗七星からその数字が導き出されたものと推察されます。

      この十二柱神社の祭神を見る限り、本来は出雲族の聖地だったはずですが、後から来た物部・豊族によって祭神か書き換えられてきた可能性が濃厚です。
      ただ普通なら天神系とする物部の神を地神としているあたりが面白いと思いました。

      いいね: 1人

      1. wildsum より:

        詳しいご説明、ありがとうございます。神奈川県の十二柱神社も、そのうち行ってみたいと思います。

        いいね: 1人

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