鋤山神社

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「京都府亀岡市の南に桑山神社というのがあります。この神社は当時赤い波の立つ亀岡を灌漑して豊かな田にした時に使った鍬の山が神社の始まりです。しかもなぜか神社のシンボルマークが円形のポッチャリウサギなのです。一度お参りください。」

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と以前、匿名の方からのコメントをいただいておりましたので、訪ねてみました。
桑山神社というのは京都府亀岡市南部、面降山(めんこうやま、天岡山)東麓に鎮座する「鍬山神社」(くわやまじんじゃ)の事のようです。

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駐車場に車を止めると、百太夫社という社がひっそりと建っていました。

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祭神は「豊磐間戸神」「櫛磐間戸神」となっており、本社に先立ってまず詣でるべき社と云われています。

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当社は「矢田社」や「矢田宮」とも呼ばれています。

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地名の「矢田」とは当社・鍬山神社が8つの神田を持っていたことから「八田」と言われ、のちに源頼政が当地を拝領するにあたって「矢田」に改めたと伝えられます。

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しかし天正4年(1576年)に丹波へ侵攻した明智光秀により当社の祭礼は廃され、別当寺として大智院が建立、8つの神田も接収されたと云います。

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慶長14年(1609年)になると、亀山城主「岡部長盛」が現在地に新社殿を造営して遷し、社地も寄進しました。
延宝9年(1681年)には杉原守親が祭礼を再興、同年に城主「松平忠晴」から神輿が寄進され、以来例大祭は口丹波一の大祭「亀山祭」(亀岡祭)として賑わうこととなりました。

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鋤山神社境内は、末社群や社務所の鎮座する中庭の先に本社が鎮座する敷地がありました。

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拝殿の先には、2つの本殿。

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向かって右側が「誉田別尊」(ほんだわけのみこと)を祀る八幡宮で、

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左側が「大己貴命」(おおなむちのみこと)を祀る「鍬山宮」となっています。

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延宝元年(1673年)に記された『矢田之祠記』によると、往古、泥湖であった亀岡盆地の開発のため出雲大神が八神と黒柄岳で談合した時、一艘の樫の舟に乗って浮田(うけた)の峡を切り開き、水を山城国方向に流して抜くことに成功して広大な平野が開拓されたと伝えられます。

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その後、出雲大神は天岡山の麓に祀られ、鍬山大明神として崇められたのが当社創建であると云うことです。

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また、この神は出雲国の神無月の会合には出席せず、郡内の八神は鍬山神社に会したそうです。

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出雲大神が当地を開拓した時、用いた鍬が山積みされ、それが山となったので「鍬山」と呼ばれるようになったとも伝えられます。

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隣の八幡宮に関しては、『矢田之祠記』に永万元年(1165年)に面降山(天岡山)に降臨したと記されます。

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以来新八幡宮として鍬山宮の隣に祀っていたのですが、雷雨の発生や鳩と兎の争いがあり、村人はこれを両神の不和と捉え、八幡宮を杉谷に遷したところ収まったと云われています。

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この鍬山宮の神紋が「兎」、八幡宮は「鳩」を用いています。

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慶長14年(1609年)に両宮が現在地に遷され、再び相まみえることになった二人ですが、争いを防ぐために両宮の間に小池が設けられているとのこと。

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この池を確認するのを忘れていましたが、それは四角く彫られた本当に小さな池のようです。

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境内の橋には弁財天社が鎮座する心字池もありました。

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それにしてもこの伝承、京の出雲族と宇佐族に諍いがあったということでしょうか。
八幡宮の祭祀に関しては、宇佐族が関わっていると思われるのですが。

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いや神紋を考慮に入れるなら、ウサギの宇佐族と鳩の鎌倉系の人たちということになるのかもしれません。

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鋤山神社を散策していると、もみじがたくさん植えられていることに気がつきます。

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秋には京都の隠れた紅葉の名所となるようで、赤く色づいた鋤山神社も見てみたいと思うのでした。

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14件のコメント 追加

  1. narisawa110 より:

    金色の神紋ですが、心頭を滅却して目線をずらすと、悪そうなブタさんに見えますw

    いいね: 1人

    1. CHIRICO より:

      🐷😄

      いいね

  2. ブサイク王 より:

    いつも楽しく拝見しています。

    鳩を源氏の鎌倉方とするなら、兎は宇佐氏と縁戚関係にある平家(残党?)とも見方がありますね。
    平清盛の娘が宇佐氏に嫁いでいたり、
    厳島神社と縁が深かったりと
    八幡信仰ではなく豊玉姫との何かしらの接点があったと推測できます。

    いいね: 1人

    1. CHIRICO より:

      なるほど、その見方がありますね!
      平家と宇佐家の関係を調べてみるのも面白そうです。平安時代までは豊玉姫の伝承ももっと残っていたはずですし。

      ところでせっかくブサイク王さんにお教えいただいた鹿ヶ谷の地には辿り着けませんでした。たぶん大豊神社のあたりなのではないかと睨んでいたのですが。また機会があれば探ってみたいと思います。

      いいね

      1. ブサイク王 より:

        鹿ヶ谷の史跡としては
        大豊神社の奥の五山の送り火の
        「大」の字の南のあたりに
        「俊寛僧都忠誠の碑」があり
        「俊寛僧都鹿谷山荘遺址記」とあります。

        が、私も到達できず手前の瑞光院で引き返しました。ちょうど今ぐらいの時期に行きましたが
        暑くてリタイヤしましたw

        いいね: 1人

  3. シゲちゃん より:

     おはようございます!!
    四国の神社と比べて立派ですね( *´艸`)
     しかも、ちゃんと管理されている所が素晴らしいです。
    しかも『ウサギ』にガチで驚きました( ゚Д゚)
    神社の世界は、奥が深い・・・。

    いいね: 1人

    1. CHIRICO より:

      四国の神社も立派ですよ♪
      石鎚神社、土佐神社、香川だとこんぴらさんがあるじゃないですか!

      いいね: 1人

      1. シゲちゃん より:

        こんぴらさんは何度か行きましたが、石鎚神社と土佐神社はまだ、未知なる土地です‼️

        いいね: 1人

        1. CHIRICO より:

          石鎚山、ぜひ一度登拝してみてください。刺激的ですよ😁

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  4. Nekonekoneko より:

    難しい歴史の事はよく分かりませんが、デブうさちゃんと鳩さんと菊紋と大層古くて建て直しとか全然してない社等、そして何より社の額部分に飾られた”鏡”が印象的です。清廉な光を持つ鏡ですね。しかし何でそんなにデブなうさ🐥

    いいね: 1人

    1. CHIRICO より:

      デブうさは実は滋賀県でも見かけました。
      三尾神社だったかな?

      いいね: 1人

      1. Nekonekoneko より:

        三尾神社とはどの様な祭神を祀る神社ですか?

        いいね

        1. CHIRICO より:

          イザナギさんだったと思います。腰の紐が三本垂れ下がっていて、それで三尾だったと思います。

          https://omouhana.com/2017/08/23/三尾神社/

          いいね: 1人

          1. Nekonekoneko より:

            ありがとうございます。行ってみたいとは思うけど、身軽に出掛けられる程の足は無いので(車とかも電車も)、写真だけでも見られて良かったです🐥

            いいね: 1人

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