阿蘇神社:八雲ニ散ル花 アララギ遺文篇 08

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2016年4月16日、2回目の熊本大地震によって、阿蘇神社の楼門と拝殿は、崩壊してしまいました。
そこは阿蘇の国造りを行なったとされる「健磐龍命」(たけいわたつのみこと)を祀った、由緒ある古社のひとつです。

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参拝者を最初に迎える見事な楼門は、「日本三大楼門」に数えられ、高さは18mあります。

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かつて一年だけ熊本に住んでいた時、もっとも心が安らかに落ち着いたのが阿蘇神社でした。
苦しい時もここへ訪れると、不思議と安らぎを得られたことを、今も覚えています。

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古くは「阿蘓神社」と表記された阿蘇神社は、健磐龍命の子で、初代阿蘇国造に任じられた「速瓶玉命」(ハヤミカタマノミコト/阿蘇都比古命)が、両親を祀ったのに始まると伝えます。

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以来、速瓶玉命の子孫と云われる阿蘇氏が代々宮司を務めているそうです。

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楼門の外にある「一の神陵」は、健磐龍命のお墓で、

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草部で娶った妻、「阿蘇都媛」のお墓は「二の神陵」だと云われています。

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阿蘇神社付近は清らかな水が豊富に湧き出る「水基」がいたるところにあり、阿蘇神社の手水舎も「神の泉」と呼ばれる神聖な水が溢れています。
そのほかにも、阿蘇のカルデラ地区では白川水源など、豊富な水が、あちこちで湧き出しています。
阿蘇地方には、この豊かな水に関する伝承が伝わっていました。

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健磐龍命が阿蘇の地にやってきた時、阿蘇のカルデラは水が満たされた湖だったそうです。
そこで命は外輪山の一部を蹴破り、水を流して干上がらせ、そこに田畑を造り人が住めるようにしたと云います。
そんなわけないやん、って思っていましたが、カルデラの3Dデータをみると本当にそんな形になっていて、びっくりしました。
鉄道まで引いて5万人の人が移住して生活を営んているカルデラは、他に類を見ないそうです。

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最初に蹴破ろうとしたところは、二重になっていて壊れなかったので「二重の峠」と名付けられました。
そこで別のところを蹴ると山は音を立てて崩れ、湖の水はどっと流れ出ました。
「数鹿流」(すがる)はスキマガアルを縮めた名前とか、鹿が数匹流されたので「数鹿流が滝」と名付けられたなどと伝わります。
また蹴破った拍子に命は尻をつき、「もう立てぬ」と言ったので「立野」となったそうです。

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阿蘇神社の拝殿の奥には品の配置で3つの神殿があります。

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向かって左側にある「一の神殿」には全て男神で、
一宮:健磐龍命(初代神武天皇の孫)
三宮:國龍神 (二宮の父)
五宮:彦御子神 (一宮の孫)
七宮:新彦神 (三宮の子)
九宮:若彦神 (七宮の子)
が祀られています。

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右手の「二の神殿」にはいずれも女神で、
二宮:阿蘇都比咩命(一宮の妃)
四宮:比咩御子神(三宮の妃)
六宮:若比咩神(五宮の妃)
八宮:新比咩神(七宮の娘)
十宮:彌比咩神(七宮の妃)
が祀られています。

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両神殿の間の奥にある少し小さな神殿は「諸神殿」といい、
十一宮:國造速瓶玉神 (一宮の子で阿蘇国造の祖)
十二宮:金凝神(一宮の叔父で第2代綏靖天皇と云う説もある)
の男神が祀られています。

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境内を散策してみます。

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阿蘇神社は本殿の周りをぐるりと一周できるように砂利道が作られています。

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どっしりとして、風格のある本殿の屋根が見えます。

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杜に囲まれた細道も少しだけありました。

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表に戻ってくると、とても勇ましい狛犬があります。

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「願掛け石」は古代より神石として伝承保存されているそうです。

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石を3回なでてから、願い事を唱えると叶うと云います。

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「縁結びの松」は謡曲「高砂の松」に因んだもので、男性は左から2回、女性は右から2回まわると縁結びのご利益があるそうです。

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熊本大震災は、美しかった楼門から拝殿まで、壊滅的な被害をもたらしました。

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それはこの地震がどれほど激しく、大地を揺さぶったかを示しています。

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これから気の遠くなるような時間と労力をもって、阿蘇神社は再建していこうとしています。

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いつしか必ず、不死鳥のように屋根を広げた楼門を再び見ることができるでしょう。

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倒壊し、雨に濡れてなお、その姿は勇姿を奮い立たせているように見えました。

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瓦礫の撤去された境内では、仮の参拝所が設けられていました。

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そこには露わになった、3つの本殿の姿があります。

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今回の地震が引き金となり、阿蘇山の巨大噴火が起こるのではないかという噂がありました。
もし、今大噴火が起きれば、まず九州は全滅でしょう。

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楼門・拝殿を倒壊させつつも、毅然と立ち続ける本殿を見ていると、健磐龍命が、阿蘇山の噴火を鎮める為に身を呈して守ってくれたのではないかと、
そんな思いが胸をよぎりました。

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