物部神社:八雲ニ散ル花 46

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島根の大田市と飯南町にまたがる優美な山は「三瓶山」(さんぺいざん)と呼ばれる活火山です。
この三瓶山、『出雲国風土記』では「佐毘売山」(さひめやま)の名で記されています。
古代の出雲では幸神の三神を祭り続けていましたが、父神「クナト王」の篭る神奈備を「大山」、子神「サルタ彦大神」の篭る神奈備を「鼻高山」として崇めてきました。
そして母神「幸姫」の篭る神奈備として大切に祀り続けたのがこの「佐毘売山」だったのです。

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古代出雲では、この佐毘売山から太陽が昇る様に神秘を見たので、やがて佐毘売山に祀られる神を「出雲の太陽の女神」と呼ぶようになりました。
やがてこの太陽の女神は大和の三輪山に移され、「三輪山の太陽の女神」となります。
さらに後の時代、日葉酢姫の娘「大和姫」は、より太陽の女神にふさわしい場所を求めて東に旅に出ます。
そこで見つけた清らかな場所に女神を祀ったのが、今の伊勢神宮内宮です。
そして太陽の女神は後世、「天照大神」と呼ばれるようになりました。

つまり、日本人の総氏神であり、皇室の御親神の大元は、ここ佐毘売山にあったのです。
しかし今はなぜか三瓶山という意味不明で美しさのかけらもない名で呼ばれています。
元の麗しい、「佐毘売山」に名称に戻して欲しいものです。

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ところで、その三瓶山にほど近いところに「物部神社」があります。
石見国一宮です。

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背後にある「八百山」(やおやま)は神体山で、513年に社殿が創られています。

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参道の脇には狛犬が鎮座し、さらに狛鶴がいらっしゃいます。
物部神社の御祭神「宇摩志麻遅命」(ウマシマジノミコト)が鶴に乗ってこの地に御光臨された伝えられ、神使となっているようです。

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手水舎は、昭和57年の三瓶ダム開発の際に採掘された「含金石」とよばれる砂金を含んだ珍しい石の一枚岩で出来ています。

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石に5つの曲玉が彫られていて、「浄の曲玉」「勝の曲玉」「財の曲玉」「健の曲玉」「徳の曲玉」と、それぞれ撫でて祈願するようになっています。

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昭和13年(1938年)に建てられた拝殿。
重厚な風格に満ちています。

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当社の神紋は赤い太陽を背負った鶴で、「日負鶴」(ひおいづる)となっています。
全国でも唯一の神紋で、稀なデザインです。

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祭神のウマシマジ、『日本書紀』では「可美真手命」と表記されます。
記紀では「饒速日」と長髄彦の妹「三炊屋媛」の間の御子となっていますが、物部神社・社伝によれば、天香具山命と共に物部の兵を率いて、尾張・美濃・越国を平定した後、播磨・丹波を経て石見国に入り、都留夫・忍原・於爾・曽保里の賊を平定し、ここの八百山の麓に宮居を築き、この地で没したとなっています。

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まず記紀の内容ですが、饒速日とは、中華秦国からの渡来人「徐福」のことで、長髄彦は尾張家の「大彦」です。
大彦の10代ほどの先祖が饒速日なので、記紀のウマシマジは架空の人物であることが分かります。

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また神武東征の前半のストーリーは「五瀬」と「稲飯」、「三毛野」の3兄弟が登場しますが、五瀬が戦死したあと、残りの兄弟の名は出てこなくなり、代わりに「ウマシマジ」が登場します。
つまりこれは五瀬に代わって指揮をとったのが、どの弟のなのか、記紀の製作者には分からなかったので、名前を創作して使ったようなのです。

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実は「武内宿祢大田根」の弟に「甘美内宿祢」(ウマシウチ)がいました。
宇摩志麻遅は彼の名を使ったようです。
ちなみに穂日家の「甘美韓日狭」(ウマシカラヒサ)も彼の名を引用したのだとか。
人気のある名前だったのでしょうか。

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したがって、当社の社伝によるウマシマジも、架空の名前ということになります。

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では、物部神社に祀られる主祭神は誰なのか。
富家の伝承では、物部の「朝倉彦」の軍勢が日本海を東に進んできたとあるので、ここでいうウマシマジは朝倉彦将軍のことだったのではないでしょうか。

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第2次物部東征で朝倉彦が出雲制圧のための拠点とした場所が、当地、物部神社なのだそうです。

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物部神社の本殿です。
宝暦3年(1753年)に再建され、安政3年(1856年)に改築されたもので、高さ16m、春日造りとしては全国一の大きさです。

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数々の境内社の中で、ひときわ存在感のある「後神社」。

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主祭神の妃神「師長姫命」(しながひめのみこと)を祀っています。

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社務所に面白いものがいろいろありました。

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目を引くのが、鶴の焼き物のおみくじ。

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この手のものは、最近神社でよく見かけるようになりましたが、可愛いものが多く、つい買ってしまいます。

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また、ちょっと凄そうなお札がありましたので、買ってしまいました。

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物部神社は、宮中でも行われている「鎮魂祭」を行うことで、石上神宮および彌彦神社と共に有名な神社です。
鎮魂というと霊を鎮める祭りをイメージしますが、本来はその逆で、活力を与える・復活を促す・甦る・悪影響をもたらすものを払拭するという、意味を持つ「祓いの本義」であると云います。

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鎮魂の儀では、「宇気槽」(うきふね、うけふね)と呼ばれる箱を伏せ、その上に女官が乗って桙で底を10回突く「宇気槽の儀」が行われるそうです。
これは神話の岩戸隠れにおいて「天鈿女」が槽に乗って踊ったという伝承に基づくとされています。
また、鎮魂の儀の後、天皇の衣を左右に10回振る「魂振の儀」が行われます。
これは饒速日が天津神より下された十種の神宝を用いた呪法に由来するとされ、死者をも蘇らせる、強力な呪法であると言う人もいるようです。

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境内の隅に「御腰掛岩」なるものがありました。

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「勝石」とも呼ばれるようで、宇摩志麻遅命が天降った時に腰掛けたと伝えられます。

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撫でるとすべての願いに通じる「勝運」を授かるとも言い伝えられています。

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さらにその先に上へと続く、気になる階段がありました。

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その先は神体山である「八百山」山中に到る道でした。

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少し登ると、謎の建造物に行き着きます。

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何かの像の台座のように見えます。

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そこから先の道には、結界がありました。
この先は聖域ということです。

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木の根道などの山道が続きます。

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結構登るものと覚悟していましたが、十数分で目的地にたどり着きました。

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それは石垣の上に、ひっそりとありました。

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物部神社の元宮、「御神墓」です。

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物部東征に尽力した宇摩志麻遅命の陵墓と伝わります。

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往古に激しい戦いの歴史を刻む場所。
永い時を経て、八百山の杜の木に囲まれた聖地は、すがすがしい光が差し、爽やかな風が吹き抜けていました。

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