やっとの思いでたどり着いた「銀鏡神社」(しろみじんじゃ)は、木花咲耶姫の姉、「石長姫」(いわながひめ)を祀っています。
瓊瓊杵命が木花咲耶姫を妻に迎えたいと、姫の父「大山津見神」(おおやまつみのかみ)に申し出ました。
ならば姉の石長姫も一緒に差し上げましょうと、大山津見神は言います。
子孫が木の花が咲くように栄えるよう「木花咲耶姫」を
岩のように永く続くようにと「石長姫」を、願って差し上げた大山津見神の親心でした。
しかし石長姫は妹の木花咲耶姫とは対照的に、美しいとは言えない容姿の姫でした。
瓊瓊杵命は1日で石長姫を親元へ帰してしまいます。
その仕打ちに嘆いた石長姫は、自分の姿を写す鏡を遠く投げ捨てました。
これが米良山中の大木の枝にひっかかり、陽光・月光に反射して白く輝いていたそうです。
それが「銀鏡」(しろみ)というこの地名の由来となっています。
石長姫を親元へ返してしまった瓊瓊杵命とその子孫は、繁栄はしたものの、ただの人並みの寿命になってしまいました。
山奥の寂しげな村にひっそりと建つ「銀鏡神社」は、やや古びてはいるものの、
地元の人たちの愛情で、今もきれいに守られている、そんな印象を受けました。