神功皇后の三韓征伐に同行することになった「安曇磯良」。 その安曇族が信奉するのは志賀島を中心とする「綿津見神」(わだつみのかみ)です。 そして対馬にも「和多都美神社」(わだつみじんじゃ)がありました。 つまり対馬も安曇族…
カテゴリー: 神功皇后紀
神住居神社〜神功皇后紀 25
「武に云わしめた武内殿も、さすがに弱っておられるようですな。」 武内宿禰はこの飄々とした老人に言い返す気力もなかった。 対馬海流の波は容赦なく、幾度も転覆かと思わせるほど船は揺れた。 大海原に流される木の葉のような船にあ…
邇耳神社〜神功皇后紀 24
風がない。 壱岐の勝本に神功皇后の船団は風を待ちながら停泊していた。 これから先、対馬まではさらに厳しい航海となる。 せめて良い風を得たいと思っていたが、なかなか風は吹かなかった。 神功皇后は里人より磐座があると聞き及び…
神集島〜神功皇后紀 23
壮観だった。 青い海に浮かぶ千数百の船。 武内宿禰はその中でひときわ大きな御座船に神功皇后とともにいた。 船団はひとまず松浦を目指し、そこから壱岐・対馬へと航路を進む予定だ。 しかしどうも皇后の容体が思わしくない。 にわ…
御島神社〜神功皇后紀 22
海水にその身の全てを沈ませ、女は思った。 ここはいつも、懐かしい故郷のようだ。 雑音は消え、静かな息遣いのみが聴こえる。 振りほどかれた長い髪は波の流れになびいていた。 … 橿日の浦では潮が引き、海を割るように一筋の砂州…
志賀海神社〜神功皇后紀 21
奈多の浜では夜通しかがり火が焚かれ、一人の女が舞を踊っていた。 その周りには数人の人影がある。 そのうちの一人は神功皇后であり、武内宿禰であった。 夜空に星は出ているものの、明かりは乏しく、海原は漆黒の闇に見えた。 やが…
宮地嶽神社〜神功皇后紀 20
神功皇后は橿日の宮を過ぎ、福津の宮地嶽山の麓に来ていた。 先ほど山頂では天神地祇を祭祀したばかりである。 麓の社では皇后の知る二人が祀られていた。 「姫様、もう日が暮れます。そろそろ宮へお戻りください。」 武内宿禰が皇后…
現人神社(住吉本津宮)〜神功皇后紀 19
「辺りの木を切り倒せ。」武内宿禰は檄を飛ばし、兵士らを突き動かした。やがて水路の先にある頑強な大岩が全容を見せる。 … 「この山の連なりの向こうに、住吉様の聖地がございます。そこに神田を設けられてはいかがでしょうか。」 …
伊都の層々岐山(雷山)〜神功皇后紀 18
不思議な音色が聴こえていた。 流れるような琴の音だ。 真っ白な霧の向こうに人影が見える。 後ろ姿は、どこか懐かしい面影。 そういえば、ここは仲哀天皇の父君が訪れた聖地であった。 あの方が尊であろうか。 もしそうであるなら…
鏡神社〜神功皇后紀 17
「みろ襲津彦、釣れた、釣れたぞ!」 大きな石の上に裸足で立ち、釣竿を手にはしゃいでいるのは神功皇后。 晴れ渡った空の下、武内宿禰は胸を撫で下ろしていた。 久しぶりに見る皇后の笑顔だ。 そう、もともとはこんなに無邪気な人…
香春岳〜神功皇后伝 16
燃えていた。辺り一面火の海だった。熱い紅蓮の龍がのたうち回り、苦しみから逃れるように襲いかかろうとする。 おのれ、大和、我が恨みはここに極めり…ただこのまま死ねるものか。俺と妹を育んだ、この土地だけは我が命を賭しても奴ら…
蜘蛛塚〜神功皇后伝 15
仲哀天皇が崩御された後の3月、山門の姫は香春岳の麓にある兄の屋敷へとやってきていた。 「本当にやるのか。」 兄、夏羽は問う。 「兄さまは神夏磯様が受けた仕打ちをお忘れか。」 しばし沈黙が流れる。 仲哀天皇の祖父、景行天皇…