紀州東照宮:白姫 29

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「和歌の浦はな、昔は稚日女(わかひるめ)の神様の名前で、若浦(わかうら)って言っていたんだよ。それがこの玉津島がな、和歌の歌枕として有名になったんで、和歌の浦って呼ばれるようになったんだ」
「久助、詳しいな」
「へへ、おいらは歌人になるのが夢なんだ。ここの玉津島神社の神様は、和歌の神様でもあるんだぜ。おいらは歌が上手くなりますようにって、ここに父様と参拝に来たんだ」
「へぇ、そんで父様はどこにいるんじゃ」
「昨日呑んだくれて、まだ寝ているよ」
アハハ、と二人して笑った。
「あと和歌の浦の見所としては東照宮があるぜ。行ってみる?」
「行く」
紀州東照宮は、玉津島から少し離れた場所の雑賀山(さいかやま)にあった。入口の参道は杜で鬱蒼とし、青石が敷きつめてあった。参道を過ぎると、目の前に急な階段が現れた。
「これはな、侍坂って言って108段もあるんだぜ、どうする、降参する?」
「いや、登る」
確かに急な傾斜の階段だったが、大根地山を走り回っていた”わらわ”には何てことのない坂じゃ。上まで登って下を見ると、久助がヒイヒイいいながら、まだ途中を登っているところだった。
「おま、ハアハア、すごいな」
ようやく登り切った久助は、しばらく息ができないようだった。
侍坂を登った先には、朱塗りの豪華な楼門があり、その先に本殿があった。本殿でお参りをして振り返ると、深い木立の間から、キラキラと太陽の光を輝かせる、和歌の浦の海が広がって見えた。
「きれいじゃな」
「ああ、きれいだろ。頼宣様は尊敬する権現様に、この景色を見せたかったんだろうな」
そんな久助の横顔を見ると、歌人になりたいと言っていた少年の目も、きらきらと輝いていた。この和歌の浦の海のように。

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和歌山飯といえば、やはり魚でしょうか。

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シックな「わかうら食堂」さんは2度目の訪問です。

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とても開放的な店内。

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ランチにドリンクが付いていたので、先にレスカで喉を潤わせていただきます。

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「こちら、相席よろしいでしょうか」
と、やって来たねこさん。
「ええ、構いませんよ、お嬢さん」
ダンディな僕は答えます。

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窓の外の陽気にほんわかしていると、

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来たぜ、

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お刺身定食!

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オプション追加・しらす丼スペシャル!!!!やったー。

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「ここのプリンが美味しい♪」っていう隣のレディの話が聞こえたので、昔プリン追加。
固めのプリンが、懐かしいお味でした。

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さて、「紀州東照宮」(きしゅうとうしょうぐう)に来ました。

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東照宮は和歌山市和歌浦西の雑賀山に鎮座しています。

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朝近ちゃんタソが言っていた通り、参道は杜で鬱蒼として、青石が敷きつめてあります。

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参道を折れ曲がると、

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ドーン!と目の前に急な階段が現れます。

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その右手には、

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なんか石碑と、

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お稲荷さんがあります。

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お稲荷さん萌え~。
最近、お稲荷さんを見ると、萌える体質になりました。

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左手下の池にも神社があります。

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池に建つ神社といえば弁財天社。
なんだかエキゾチックな雰囲気です。

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さて、これから煩悩を一つずつ削ぎ落としながら、108段の侍坂(さむらいざか)を登るわけですが、

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降参したい人のために、別のルートもご用意いたしました。

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これはこれで悪くない道ですが、言うほど楽ちんなコースでもありません。
僕は下りで、この道を利用しました。

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ロリ近ちゃんに負けるわけにもいかず、侍坂を登ります。

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毎年5月には、この階段を御輿をかついだ男衆が勇ましく駆け下りる「和歌祭」が催されるそうですが、えっ、マジ。
およそ人のなせる技とは思えません。

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ヒイヒイ言いながら、パンツが程よくしっとりする頃、立派な楼門に辿り着きました。

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奥に聳えたるは、これぞ関西の日光、

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紀州東照宮です。

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元和5年(1619年)、徳川家康の十男である徳川頼宣は紀州藩主になると、南海道の総鎮護として東照大権現を祀る東照社の建立を計画し、元和7年(1621年)に完成しました。

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本殿には左甚五郎の作といわれている彫刻や狩野探幽作の壁画があり、優美で豪華な造りとなっているのですが、残念なことに撮影禁止です。
ぜひともヒイヒイ言いながら階段を登って、その目で確かめてください。

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ちょっとだけチラ見せ。
この拝殿前の門の屋根下に、天女の彫刻が施されています。
僕は徳川頼宣公は、羽衣天女と恋をした、と思っています。

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紀州東照宮は当初、別当寺として天台宗の天曜寺も建立され、天海大僧正が初代別当に就任していました。
明治時代の神仏分離と廃仏毀釈により、天曜寺は廃寺となり、東照宮は県社に列せられ今に至ります。

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祭神は初め、東照大権現として家康を祀るのみでしたが、後に徳川頼宣を南龍大神として合わせ祀っています。

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参拝を終え振り返ると、楼門の先に和歌の浦の海が見えます。

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風光明媚な名所として名を馳せた和歌の浦。
今は残念なことに、土地開発で当時の面影は大きく失われました。

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雑賀山は和歌浦湾の入り江を眼下に納め、右手には天橋立のような片男波の砂嘴が延び、左手には玉津島を見る、「扇の要」の位置にありました。

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頼宣公は、敬愛する父親に、この紀州で最も美しい景色を見せたかったのだと思われます。

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余談ですが、とても可愛い巫女さんが綺麗な字の御朱印を書いてくださいました。
紀州東照宮の装飾のことなども丁寧に教えていただき、苦労して侍坂を登った甲斐があったものだと、ほっこりしました。

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ぜひ和歌の浦の夕景を見たいと思い、海へと向かいました。

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最初は片男波(かたおなみ)に行こうとしましたが、先にも記した通り、今は地形が変わってしまっているため、新和歌の浦の雑賀崎(さいかさき)観光灯台に進路を変えました。

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雑賀崎では、沈む太陽からさまざまな色の光の玉が降る様子を「ハナが降る」と例え、彼岸の中日の夕陽を見ることを「雑賀崎のハナフリ」と呼び、親しまれているのだとか。

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海原の左手には、地の島、沖ノ島も見えています。

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やがて沈みゆく太陽。
与四郎と朝近が手を繋ぎ見た景色、そして母となった朝近が見た夕景が、そこにありました。

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2件のコメント 追加

  1. coccocan のアバター coccocan より:

    >>紀州で最も美しい景色
    → 素敵な場所ですね。絵画のようです。
    年末に和歌山の「加太」に行き、本当は友ヶ島へ行きたかったのですが、欠航で行けず、
    深山砲台へ歩いて行きました。
    その日は山道も含めて16㎞ほど歩いたのですが、山と海がとても近くて、海がキレイで。
    夕陽も見ることが出来ました。

    紀州東照宮は最寄りのJRから徒歩でも行けそうな場所なのですね!とても魅力的です。機会があったら是非行ってみたいです。そして、この四角く切られたしっかりとしたプリン、甘党ではない私でも食べてみたいです♪

    1. 五条 桐彦 のアバター 五条 桐彦 より:

      かつての和歌の浦は、もっと美しかったのでしょう。今訪れても、心地よい場所です。

      友ヶ島は僕も行きたいと思いながら、なかなか行けないでいる場所です。16kmも歩かれるとは、なかなかな健脚ですね。ひと歩きした後の絶景と美食は、何よりのご褒美です😊

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