大洗磯前神社:八雲ニ散ル花 東ノ国篇13

投稿日:

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斉衡3年(856年)、常陸国鹿島郡の大洗磯前に降り立つ神があった。
海水で塩作りを生業とする者、夜半に海を望めば、そこに光り輝くものを見た。
翌日、海辺には二つの奇妙な石がある。
それは両方とも一尺ほどの神が造ったとしか思えないものであった。
さらに次の日、20個ほどの小石がある。
それらはまるで、怪石の周りに侍坐するようであった。
彩色は派手で、僧侶の姿を成していたが、目と耳はなかった。
神霊は人に依って
「我は大奈母知(おおなもち)・少比古奈命(すくなひこなのみこと)である。昔、この国を造り終えて、東の海に去ったが、今人々を救うために再び帰ってきた」
と託宣した。

(常陸国上言。鹿嶋郡大洗磯前有神新降。初郡民有煮海為塩者。夜半望海。光耀属天。明日有両怪石。見在水次。高各尺許。体於神造。非人間石。塩翁私異之去。後一日。亦有廿餘小石。在向石左右。似若侍坐。彩色非常。或形像沙門。唯無耳目。時神憑人云。我是大奈母知少比古奈命也。昔造此国訖。去徃東海。今為済民。更亦来帰。)

―『日本文徳天皇実録』

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茨城県東部、太平洋に面して鎮座する「大洗磯前神社」(おおあらいいそさきじんじゃ)を訪ねました。

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当社で有名なのが、海岸の岩の上に建つ鳥居、「神磯の鳥居」です。

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こんな写真や、

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こんな写真を撮りたくて、日の出前にやってきましたが、

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あいにく雲でご来光を拝むことができません。

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同じ思いで集まっていた人も、一人、二人と撮影を諦めて帰っていきます。

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しかし与えられた条件の中で最高の絵を狙うのが僕流。
努力に微笑まない女神はいないのです。

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神磯の鳥居そばには、「神磯顕彰の碑」が立っていて、次の文が彫られています。

「大洗磯前神社は大己貴命 少彦名命二神を祀る
御鎮座の縁由は文徳実録に詳なる所なり
両神の神徳宏大無辺協力一致国土を経営し医薬の道を開き 療病の術を創め給ふ
その降臨の所今に伝えて神磯と称す
御鎮座壱千壱百年の秋に会し 有志相計り恩頼に報へ欽仰の誠を致さんとす
即ち茲に石鳥居を建立し 降臨神聖の地を顕彰し 以って後世に伝ふと云ふ

昭和31年8月  大洗磯前神社宮司 篠塚康之助」

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もともと海の中だったという神磯の浜に鳥居が立てられたのは、昭和38年(1963年)のこと。

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江戸時代に「徳川光圀」(みつくに)公が、
「あらいその岩に砕けて散る月を一つなしてかへる月かな」
とその景観を讃えています。

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大鳥居の右手奥には「清良神社」という社があります。

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そこには鳥居が立つ四角い池がありました。

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参道の階段を昇ります。
100段にも満たない階段ですが、なかなか急で息が切れます。

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この階段は萌え系アニメ「ガルパン」で戦車が駆け下りた「聖地」なのだということで、アニオタにも人気だとか。へぇー。

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階段を上った先の二の鳥居を振り返ると、海が。
癒されます。

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湧き水の神水で満たされた手水で手口を清めます。

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神仏習合の名残を感じさせる隋神門。

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その両脇には、陶器製の狛犬が鎮座します。

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この狛犬は岡山県の備前焼でできているそうで、その昔、海運で物資を運んだ人々が奉納したものと考えられています。

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非常に立派な社殿。

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主祭神は「大己貴命」 (おおなむちのみこと)で、配祀神として酒列磯前神社の分霊「少彦名命」 (すくなひこなのみこと)を祀ります。

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この二柱の神は国造りを行うため神磯の浜に降り立ち、大己貴命(大奈母知)が大洗に、少彦名命(少比古奈命)が酒列に祀られ、両社の創建となったと伝えられています。

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しかし中世になると、戦乱で全てが焼かれ荒廃し、江戸中期までは小さな祠があるだけだったと云います。

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その惨状に心を痛めたのが水戸藩2代藩主「徳川光圀」公でした。

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「大洗の大神に申し訳ない」と元禄3年(1690年)に社殿造営を指示し、3代「綱條」の代で現在の本殿・拝殿・随神門が完成しました。

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本殿はなんとも侘びた、重厚な茅葺の造りです。

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拝殿は「日光東照宮」と同時期に造営されているため、装飾の造りがとても似ています。
ただ、仏教を嫌った光圀公は、華美さを抑え、実に侘びた風情を造り上げたのです。

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大洗磯前神社境内にはいくつもの摂社が鎮座していますが、

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境内の隣にも、摂社群が鎮座する場所があります。

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『日本文徳天皇実録』によると、856年、大洗磯前の神磯の浜に降り立つ神があったと伝えています。

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856年といえば非皇族では初の、「藤原良房」が摂政になった年です。
時は平安時代、東国では地震・噴火・天然痘に人々が苦しんでいまいた。
そんな折、大洗に神が降り立ち、「民を救うため帰り来た」と宣託したと云います。

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その時、神の依代となった二つの石の玉が、現在の大洗磯前神社の御神体だと伝えられます。
日本文徳天皇実録の話は、苦しむ東国の人々が、神磯に伝わる伝承を元に執り行った祭祀の様子を伝えているのではないかと思われます。

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ではさらに古い時代、神磯に降り立った神、一族とは誰だったのか。
それは出雲の神を信奉する一族であったのは間違いありません。

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この摂社群の中で、別格に立派な神社がありました。
「與利幾神社」、御祭神は「建御名方命」です。
当地に至って国造りを行った一族は、諏訪から伊豆を通ってやってきたということを物語っているのでしょうか。

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御朱印をいただきに、再び境内に戻りました。
絵馬を見てみると、神社もガルパンブームに乗っかっている様子。

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こういったブームも、騒がず、礼節をわきまえて参拝するなら良いのではないかと思っています。
そもそも僕が子供の頃は、近所の神社は絶好の遊び場でした。
境内の裏山へ、よく冒険の旅に出かけていたものです。

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そうしたことも許容されるのが、日本の神のおおらかさです。
ただ、あくまでも日本の聖地。
そこで今も営まれる祈りを妨げるような騒がしさ、行為は恥ずべきです。

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実は常陸の港に行けば、浜焼きしている漁師さんたちに会えるよとアドバイスをいただいていたのですが、この日残念ながら、その姿に会えず、

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しかしちゃっかり漁師めしの店を見つけて、潮の味を堪能したのでした。

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2件のコメント 追加

  1. 生きる塾 より:

    港の磯焼きは残念でしたが、また良い店を見つけましたねー!! 笑

    いいね: 2人

    1. CHIRICO より:

      はい、獲れたての好きな魚や貝を選んで焼いて食べました!
      おいしかったです。

      いいね: 2人

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