鬼八塚:八雲ニ散ル花 アララギ遺文篇 17

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高千穂に伝わる「鬼八」(きはち)の話は、草部吉見神社の「国龍命」( くにたつのみこと )であり、阿蘇津姫の父親「会知早雄」(おうちはやお)である可能性がでてきました。
「鬼八」は渡来人でこの地に稲作を広め崇められた人物だったと、高千穂の興梠氏の間に語り継がれています。

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三毛入野命は鬼八を退治したところ、一夜にして息を吹き返したため、今度は胴・手足・首とバラバラに3ヶ所に分け埋葬したと伝えられています。
その埋葬場所は「鬼八塚」と呼ばれ、高千穂町内に首塚、胴塚、手足塚と3ヶ所に別れて存在していました。

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「胴塚」は、旅館「神仙」の敷地内にありました。

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枯山水のような庭園の奥に、その塚があります。

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鬼八は当初、二上山を降り、豊玉姫眠る「祖母岳明神」の娘「鵜之目姫」(ウノメヒメ)を奪ってあららぎの里の鬼ヶ窟に隠していたと伝わりますが、地元の伝承では、実は鵜之目姫は鬼八の妻だったのです。

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この鵜之目姫とは、祖母岳の麓にある穴森神社宇田姫神社に伝わる「華ノ本・宇田姫」だったのではないでしょうか。

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「手足塚」は「道の駅高千穂」の近く、高千穂高校の裏山、淡路城跡中腹にあります。
ここには二つの塚が立ち並んでいました。
アクセスはやや困難です。

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「首塚」はホテル神州の近くにあり、もっともアクセスが容易です。

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鬼八が諏訪神タケミナカタの末・会知早雄であるならば、あららぎは「神呂木=神漏岐」(カムロギ)に通じる古い神の名称と繋がることができます。
阿蘇や高千穂の鬼八伝承から窺い知れるのは、鬼八は争いを好まず、朝廷の支配にも当初は恭順したものの、民へのあまりの過労・苦税に反旗を翻し、村民をまとめ果敢に戦いを挑んだ様子です。
力でねじ伏せる朝廷に、アララギ族は劣勢ながらも抵抗し続けた様子を、度々蘇る鬼八の伝承として伝えたのではないでしょうか。

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当ブログにコメントをいただいた「れんげ」さんより、『名草戸畔 古代紀国の女王伝説』という書籍をご紹介いただきました。
この書籍によると、紀国の名草戸畔も「遺体を頭・胴体・足の三つに切り分けられ埋められた」とつたえられており、この伝承とインドネシアのセラム島に伝わる「ハイヌヴェレ神話」の関連付けが検証されています。
この「頭・胴体・足の三つに切り分けられ埋められた」という話は他にも見受けられており、私の知る限りでは安曇野の「魏石鬼八面大王」(ぎしき はちめんだいおう)もその一つということができます。
もっと「ハイヌヴェレ神話」の本質を示す伝承としては五穀豊穣の女神の話で「オオゲツヒメ」と「ウケモチノカミ」の神話があり、それぞれスサノオとツクヨミに斬り殺され、その遺体から様々な食物が生まれたとされています。

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鬼八も遺体である御神体を祀る阿蘇の火焚神事や高千穂の猪掛祭も霜から作物を守り、豊穣を願った祭です。
その根底に、この「ハイヌヴェレ神話」があるのは間違いなさそうです。

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しかしながら、乙女らの犠牲を伴った両祭は鬼八鎮魂の祭であり、アララギの鬼八を祟り神にしてしまった畏れを鎮めなくてはならない事実があったことは否めないのです。
蒲池族の大ナマズも切り分けられた話が伝わっていますが、こちらは鎮魂の祭りの存在は見えず、阿蘇神社系の祭祀のほとんどが蒲池系の祭祀であることを鑑みれば、彼らはうまく生き残り、健磐龍族を取り込んだものと考えられます。
猪掛祭ではその祭に先駆けて、この「鬼八塚 首塚」で神事が行われていました。

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