「そうだ、京都へ行こう!」
と思い立っていつも向かうのは、雅な寺院立ち並ぶ「京の都」ですが、今回「海の京都・天橋立」へ足を向けてみました。
天橋立で最初に「大内峠一字観公園」へ向かいました。
そこは妙見宮というお堂が建っています。
そこにありました、「股のぞき発祥の地」の石碑。
天橋立の股のぞきは、砂州の両端にある展望台からの眺めが有名ですが、本来はこの大内峠からの景観が発祥だそうです。
はじめて股のぞきをやった人物というのが、実は「小野小町」だったと言い伝えられているそうで、
京都市内からを故郷の京丹後市五十河へ帰る途中、この大内峠で我慢できず用を足したそうです。
お茶目な小野小町は、そこで股の下から天橋立を覗いてみるのですが、その景色が素晴らしかったと云います。
その景色がこれです。
曇天の空の色と、海の色が同色なので、確かに天に橋が架かっているように、見えなくもなくもない、かも。
ここからは天橋立が横一文字に見えるので「一字観」と呼ばれています。
この景色、松尾芭蕉や与謝蕪村、与謝野寛・晶子など、古くから多くの歌人が愛したと云われています。
文珠山の山頂にある「天橋立ビューランド」へリフトを使って登ります。
そこから望む股のぞき。
その姿はまるで龍が天に登る姿のようで「飛龍観」と呼ばれています。
展望台を少し降ったところからの写真ですが、リフトも写って、観光パンフのような写真になりました。
北側の傘松公園へ向かいます。
そこからの眺めは「斜め一文字」と呼ばれていますが、飛龍観に対して「昇龍観」とも呼ばれています。
天橋立から車で20分ほど、丹後半島の東端にある「伊根」(いね)へ向かいます。
そこにはどこか懐かしい、日本の原風景が残っています。
周囲5kmの湾に沿って230軒あまりの船のガレージ「舟屋」が立ち並ぶ姿は、とてもノスタルジック。
舟屋は、細い道路の反対側、海際に建てられ、1階には船揚場や作業場になっています。
2階は生活の場や客室、中には民宿になっているところもあります。
何があるというわけではないのですが、ゆっくり時を過ごしたい、そんな気持ちになれるところです。
さて、天橋立へ戻ってきました。
中の砂州を歩いてみます。
天橋立は、宮津湾と内海の阿蘇海を南北に隔てる砂州で、その長さは約3.2kmあります。
「日本三景」の一つに数えられ、年間180万人の観光客が訪れ、京都市を除いた京都府内の観光地で第1位の動員数を誇ります。
砂州の中を歩いていると、名がついた幾つもの、見ごたえのある松が迎えてくれました。
しかし受難も多く、台風で倒木したり、松食い虫が大量発生し全滅の危機に瀕したこともあります。
海岸線に出てみると幻想的な美しい海が見えます。
この砂州自体の面積も侵食により減少しつつあるようで、砂州の外海側に設置された小型の堆砂堤がこれを守っています。
そのため外海側はノコギリ状の砂浜になっています。
約8,000本生えていると云われる松林は、植林されたものではなく、大部分が自然発生的に生えたものだそうです。
天然の道「天橋立」は、「日本の道100選」にも選定され、古代より奇勝・名勝として知られています。
そして多くの詩人・歌人たちに、永く愛され続けてきました。
「大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみもみず 天橋立」ー 小式部内侍
天橋立がある内海「阿蘇海」で獲れるいわしは名物だそうです。
砂州の中ほどに、「磯清水」(いそしみず)と呼ばれる井戸があります。
両側が海であるにもかかわらず、口に含んでも塩味を感じない不思議な名水として古くから珍重されていると伝わります。
和泉式部が「橋立の松の下なる磯清水都なりせば君も汲ままし」と詠ったことでも有名です。
名水百選に選ばれていますが、湧き水であるので飲まないようにと書かれていました。
磯清水のそばにあるのが「橋立神社」です。
侘びた感じが風情あります。
御祭神は「橋立明神」。
参道の方を歩いてみると、
海に面した鳥居がありました。
更に歩いて行くと、
茶屋があり、
対岸に着いたようです。
天橋立、松島、宮島が「日本三景」と呼ばれるようになったのは、1689年(元禄2年)に刊行された貝原益軒の著書「己巳紀行」において書かれた記事によるようです。
「廻旋橋」と呼ばれる橋を渡ります。
日本三大文殊の「智恩寺」があります。
808年(大同3年)に創建、知恵を授かる文殊信仰の寺院です。
重要文化財の多宝塔です。
早朝の境内を散策。
「知恵の輪灯篭」があります。
この灯篭の輪を3回くぐり抜けると知恵が授けられると言い伝えられていますが、僕の体では到底無理なようです。
ここから観光船で対岸に戻ろうと思いますが、ちょうど廻旋橋が回転していました。
天橋立の大橋立と小橋立を結び、橋の中央部分が90度回転する仕組みになっています。
1923年に人力で動く橋が完成し、1957年から現在の電動式になったそうです。
船がゆっくり進み出します。
天橋立を真横から眺めるのも、また違った景色で一興。
と、背後でなにやら殺気を感じました。
これは。。。
これでしょうね。
かっぱ的なやつを手に掲げると、
ヤツらが襲ってきます。
食べます。
食べます。
時には軽く、指も持って行かれます。
と、まあ、ひとり楽しむ天橋立でした。