太宰府は天満宮だけじゃない。
「観世音寺」は是非訪れる価値のある古刹でした。
【戒壇院】
観世音寺に行く前にお隣の「戒壇院」(かいだんいん)に訪れてみました。
のどかな風景の先に戒壇院があります。
戒壇とは中央部に石で築いてある壇のことで、出家する者に対して、正式な僧侶になるために必要な戒律を授けるための儀式が行われる場所ということです。
もとは観世音寺の一部として、唐の名僧鑑真和上を招いて創建した「三大戒壇」の一つでした。
三大戒壇とは奈良東大寺、下野薬師寺、それに観世音寺の戒壇院をいうそうです。
現在の戒壇院は、江戸時代に観世音寺から独立して、博多聖福寺の末寺となっています。
境内はきれいに掃き清められています。
中央は「毘廬舎那仏」で戒壇院の本尊。
平安時代の作で国の重要文化財です。
印はお釈迦様が説法するときの形で「説教印」といいめずらしいそうです。
向かって左は「弥勒菩薩」、右は「文殊菩薩」となっています。
境内には様々な石塔が見受けられます。
二つ並ぶ石塔の右側は「鑑真和上」の供養塔です。
石の五重塔もありました。
鑑真和尚が中国から持ってきたという菩提樹があります。
眺めているだけで心が和むような霊木です。
【観世音寺】
観世音寺で有名なのは「日本最古の梵鐘」です。
しかし境内に足を踏み入れて、まず感じるのは森の深さ。
多くの樹木から、マイナスイオンが降り注がれます。
観世音寺は、天智天皇が母君の冥福を祈るために発願されましたが、完成はその80年後の聖武天皇の時代でした。
当院は「源氏物語」でも語られている名刹で、
古くは九州の寺院の中心的存在であったと云います。
そして有名な梵鐘がありました。
この梵鐘は国宝で、京都妙心寺の梵鐘と兄弟鐘といわれています。
古さに於いても優秀さに於いても正に日本一と称され、
「都府楼は纔(わず)かに瓦色を看る 観音寺は唯(ただ)鐘声を聴く」と菅原道真も詠っています。
この鐘は糟屋郡多々良で鋳造されたと云われています。
以前は無防備なほどに置かれていた梵鐘ですが、最近博物館の方に移設されたようです。
気軽に見ることはできなくなりましたが、安全上その方が良いと思います。
本堂へ向かいます。
威風ある建物。
本堂前に「展磑」(てんがい)という大きな石臼がありました。
寺院建築の時に塗料として使用した「朱」を粉末にするのに使用されたものではないかと云われています。
本堂の「聖観音像」は顔が直接見れないようになっています。
さて、今までその存在は知っていましたが、入館をスルーしていた建物があります。
「宝蔵」とある正倉院風な建物は収蔵庫です。
500円の拝観料もあって一度も入ったことがありませんでしたが、初めて訪れてみるとその凄さに圧倒されました。
中での撮影は禁止されていましたので、パンフレットを掲載させていただきました。
しかしこれでは、本来の凄さは伝わらないと思います。
仏像に少しでも興味があれば、是非その目で確かめていただく価値が、十分にあると思います。