佐賀県白石町の西部、杵島山麓の川津地区にある「縫ノ池」(ぬいのいけ)。
そこは枯渇から復活した、奇跡の池でした。
縫ノ池は早朝が美しいと聞いたので、日の出前に訪ねてみました。
するとまるで影絵の昔話のような、牧歌的な景色がありました。
縫ノ池は800年以上の歴史があるとされ、農業用水・生活用水として利用されていました。
地元の人たちは、この池で野菜を洗い、ハヤやシジミを採り、夏に子ども達は水遊びをしたそうです。
日が昇り始めました。
国策として干拓事業が進められると、より多くの農業用水が必要とされました。
さらに、昭和30年前半の旱魃対策として多数の深井戸が掘られ、生活用水も地下水に頼るようになった結果、この地域の湧水群は全て枯れ果ててしまいます。
縫ノ池も1958年に干上がり、池の底は地割れができてしまいました。
池の枯渇から40年、平成13年に飲料水が佐賀西部広域水道企業団によって表流水に転換されました。
すると直後から厳島神社の周囲から湧水が出はじめ、ついに縫ノ池は復活を果たしたのだそうです。
縫の池の中央に見える建物は「厳島神社」です。
ここには古くから弁財天が祀られており、「弁天の池」と呼ばれていました。
やがて須古城主平井経冶のおじ、縫殿助冶綱がこの地をおさめるようになってから「縫殿ノ池」あるいは「縫ノ池」と呼ばれるようになったと伝えられます。
その昔から縫ノ池の底には龍宮城があると云われてきました。
須古城主「平井経冶」は狩りを好み、いつも縫ノ池に来てはカモを獲っていました。
それを見ていた龍宮城の乙姫は怒って、経冶の家来を池の中に沈めてしまいました。
これを聞いた縫殿助冶綱は龍宮まで足を運び、乙姫に詫びて生きものを大事にすることを誓いました。
それから、縫ノ池には水鳥や魚がいっぱい棲息するようになったと云うことです。
平安時代のこと、病気に苦しむ高倉天皇の夢の中に那智山の観世音が現れ、須古の日輪山の霊水を飲むようにお告げがありました。
高倉天皇がそれを飲むと病気はたちまち治り、父の後白河法皇は霊験あらたかなこの地に厳島の弁天を遷すことを考えました。
そうして鎮座地を探していると「金妙水」と呼ばれる霊水が湧き出ている場所があり、この地を治めていた平重盛に命じて弁天様を祀る石の祠を建立させました。
それがこの厳島神社の元であると云うことです。
しかしながら祭神は市杵姫命でありますので、徐福に嫁いだ宗形の姫神が古来から祀られていたのかもしれません。
見てみれば池に浮かぶ小島の様相は、蓬莱信仰を思わせる雰囲気です。
境内にある亀の背に乗った「放生池碑銘」には、この「縫ノ池」の放生池のいわれが詳しく記されています。
縫殿助冶綱は神仏を尊ぶ心が篤く、生きものを慈しみ大事にしたことから、獲った魚や鳥などを池に放すことを始めたと伝えるものです。
一度は枯れた縫ノ池でしたが、やがて湧水が溜まり始め、透き通った冷たい綺麗な池へと蘇りました。
地区の人達から縫ノ池の整備と湧水の汲みやすい施設を作ろうという声が上がり、それは直ちに実行に移されたそうです。
金妙水と名付けられた湧水は、毎秒1.2L、1日に100,000Lもの量を滔々と湧き流していました。
これは1ヶ所の汲みとり口からの湧水量であり、池の中にある数ヶ所の湧水全量を推測すれば、倍の200,000Lになるといわれています。
この美しい池にはフナやハヤが泳ぎ、
鳥たちもたくさん集まっていました。
小ぶりながらも美しい縫ノ池は、まさに市杵島姫が坐すに相応しい場所です。
神社も元は下まで水が入ってくるようになっていたそうで、以前はお堂の上から魚の泳ぐ姿を見ることが出来たのだそうです。
しかし、地下水汲み上げの影響で池周囲に地盤沈下が起こり、堂の下まで水が来なくなってしまいました。
『肥前風土記』には、嬉野市の西部にある「轟の滝」の水は遠く白石へ流れていくと記されています。
この滝の水の流れに乗って、滝の龍神は縫ノ池の弁天との逢瀬を重ねたと伝えられていました。
http://www.nuinoike.sakura.ne.jp
本当に美しい写真です!!
いいねいいね: 1人
ありがとうございます。
車で行けば割と近い場所なのですが、他県になりますのでしばらく行けませんね(苦笑)
また思い切り旅ができる日を、辛抱強く待ち続けます!
いいねいいね: 1人
緊急事態宣言出ちゃいましたしね…(^^;
しばらく我慢すればきっと…と信じたいです(^^)/
いいねいいね: 1人
今の所、休業要請まで出ていないのが幸いです。
旅する栄養士さん、くれぐれもお気をつけください。
精神的にも、辛抱強く耐えていくしかありませんね。
いいねいいね: 1人
ありがとうございます(^_-)-☆
お互い頑張りましょう(^^)/
いいねいいね: 1人
CHIRICOさんが撮影するとアートになっていますね。
素晴らしい!
センス抜群です。
いいねいいね: 1人
ありがとうございます♪
僕のブログの場合、記録用としての側面もあるのでアートに寄り過ぎないよう気をつけていますが、でも美しさを最大限引き出したいという思いで撮影に臨んでいます。
ー花は野にあるようにー
野に咲く花の命ある様を活けるように、
そこに命の温度を感じ取れるよう集中して撮影しています。
いいねいいね: 1人