比婆山熊野神社

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比婆山御陵と奥宮・命神社の里宮にあたる神社が「比婆山熊野神社」です。

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大鳥居の扁額には「比婆大社」の文字。

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東西南北に広がる御陵参道の南口にあたり、ここが表参道の入口であるといえます。

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参道左手を流れる小川の先には大きな岩が。

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特になんの標識もないですが、これ磐座か磐境ではないでしょうか。

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この穴とか、とても気になります。

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熊野神社創建は不詳。

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和銅6年(713年)には「比婆大神社」と称していたと記録されています。

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しかし比婆山御陵の奥に「産子の岩戸」磐座を見てきた僕は、ここが出雲族の聖地であったことを確信しています。
当地は広島県最北端に位置し、比婆山の先はもう奥出雲なのです。

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参道の階段を上り切ると、杉の巨木群が出迎えてくれます。

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熊野神社神域には、広島県内の巨杉50位までが集中しており、

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「熊野神社の老杉」として県天然記念物に指定されています。

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圧倒的な樹勢。

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大樹の回廊を抜けると、社殿が見えてきました。

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明治期には毎月祭日に 1~3 万人の参拝があったと云われる当社。

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主祭神は「伊邪那美神」(いざなみのかみ)、国生み神話の母神となります。

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相殿には「伊邪那美神」「天照皇大神」「大国主神」「須佐之男神」の四柱の神が祀られます。

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国生み神話は710年頃の奈良時代に作られました。

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この時、イザナギ・イザナミの夫婦神のモデルとされたのは、出雲のサイノカミのクナト大神と幸姫(さいひめ)だったと云います。

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比婆山の山頂には、いかにも出雲的な、女神を象徴する磐座が鎮座していました。
つまり当地は往古に幸姫を祀っていたのではないでしょうか。

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時の右大臣、藤原不比等の命により日本書紀が世に出されました。
その時、全国の神社に対して、祭神の書き換えが徹底して指示されたという話です。

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そうでなくても古事記・日本書紀が国史とされ、長い年月の間にそれに合わせた祭神の変更がなされた神社は多いはずです。
メジャーな神を祀った方が、多くの国民の崇敬を得やすいからです。

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そうした行いが、僕らから正しい歴史が失われていくことに繋がっていったのです。

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本殿の左横に道があります。

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拝殿から回廊が続き

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本殿まで、全体像がよく分かります。

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そこの先に広がる神域。

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先には二宮・三宮があり、さらに奥には那智の滝があるそうです。
これは行ってみないといけません。

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特に二宮付近は、一般にパワースポットであると言われているようです。

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この神侘びた木の鳥居のそばには、二つの小社が鎮座します。
ひとつは須佐之男神を祀る「三宝荒神社」で、

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もう一つは大山祇神を祀る「牛馬荒神社」。

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後者の背後には、磐座のような小ぶりな岩がありました。

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少し歩くと見えてくるのが

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二宮です。

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が、その手前に素通りできぬ巨大な磐座が。
これは磐境(いわさか)と呼ばれ、高さ5m、周囲が23mほどあるといいます。
ここには霊が宿るとされていて、733年まで祭祀が行われていたと伝えられていました。

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手前にある社は「金蔵神社」といい、金山彦神を祀ります。
金山彦は出雲系の製鉄の神であると考えられます。
昔は、この小社は岩の上に鎮座していたということです。

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二宮の祭神は、スサノオの別名とされる「速玉男神」。
スサノオは出雲の祖神とされていますが、実は渡来系で、当地の本来の神ではないでしょう。

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この辺りがパワースポットとされているそうですが、そう言われればそうなのかもしれません。

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しかしここに限らず、比婆山全ての神域において神気の強さを感じているのでよく分かりません。

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そうこうしていると、三宮が見えてきました。
祭神は「黄泉事解男神」。
この神は、黄泉に旅立った事代主を表しているのではないでしょうか。

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当社の社名でもある熊野は、今では和歌山の熊野三山を本宮とする向きがあります。

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しかし大元の熊野とは、出雲の天宮山の里宮、熊野大社を指します。

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古代出雲では王家の者が亡くなると、遺体に丹を流して防腐処理をした後、大樹の枝に吊るし風葬にしました。
そして3年後に遺体を洗骨し、聖なる山の山頂付近にある巨石の側に埋葬します。
その大樹には後にしめ縄をかけ神籬(ひもろぎ)と呼び、巨石を磐座(いわくら)と呼びました。

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また遺体を埋めた磐座を埋め墓とし、里の近くに拝み墓用の石を置いて、二墓制をしいていたということです。

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出雲の熊野大社の神奈備である天宮山、今は天狗山などと呼ばれていますが、その山頂付近の磐座には、東出雲王家の富家の者が埋葬されており、かの8代目少名彦である八重波津身「事代主」もそこに眠っておられます。

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当社が熊野神社と名乗っており、そのほぼ真北に熊野大社と天宮山が位置しています。

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僕は聖地と聖地を線で結んで五芒星などを描き、オカルト的な意見を述べることに懐疑的ではありますが、単純に天宮山の祭祀を行っていた一族の分家あたりが南下し、当地に一大磐座信仰を広めたと考える上での南北の位置関係は線で結ぶ意味があるのではないかと考えます。

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さて、15分ほど山道を登ってきて、ひいこら言い始めた頃、前方にアレが見えてきました。

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那智の滝です。

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正式名称は「鳥尾の滝」(ちょうおのたき)。
伯耆の鳥上山に対してこの名で呼ぶとありますから、こちらが本来の意味を示しているのでしょう。

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そしてその名の通り、尾長鶏の尾のような水流を描く美しい滝です。
和歌山の熊野に那智の滝があるからと、その経緯を知らない後の人が勝手に呼んだのが前者の名称なのだと思われます。

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しかしそのようなうんちくはどうでもいいくらいに、汗ばんだ体に心地よい風が吹いているのでした。

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